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番外編

プラネタリウム

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 翌日、仕事を終えてフロントで待っていると、蒼太がエレベーターから降りてきて、俺を見つけた途端に駆け寄ってきた。子犬が遊んでくれと走ってきたかのように可愛らしい。


「待った?ごめんね。」
「ううん。このまま俺の家でいい?それか外でご飯食べてからでもいいし……」
「ヒロくんの家に行ったらご飯あるの?」
「出前頼む」
「そっちの方がゆっくりできて嬉しいな」
「じゃあそうしよう」


 出前は何を頼もう。駅まで歩いてスマートフォンのアプリを開き、電車に乗ってから蒼太に渡す。


「何がいい?」
「んー、あ、チキン食べたい。」
「チキン?何かある?」
「この韓国料理の……」
「本当だ。美味そう」


 他にもメニューを見て、結局チキンとラーメン、それからピザというおかしな組み合わせを注文した。
 電車を降りて、なるべく自然に蒼太の手を繋ぐ。


「ねえ、僕に見せたいものって何?」
「それはお楽しみ」
「えー、気になるなぁ。」
「多分、喜んでくれると思う……。期待外れだったらごめんね。」
「ヒロくんと一緒にいるのは楽しいから、僕はそれだけでも幸せだよ。」


 幸せなのは俺の方です。
 そんなこと言って貰えるなんて……。
 『やっぱり俺には蒼太しか居ない』という気分になる。
 家に着くと蒼太は恐る恐るといった様子で「お邪魔します」と言い、部屋に上がった。


 それから十分ほどで頼んでいた出前が届いて、先にご飯を食べることに。


「チキン美味しい……!ヒロくん、ラーメンちょっとだけ頂戴?」
「好きなだけ食べてどうぞー」


 ピザを一切れ取ってバクバク食べる。
 久しぶりに食べると普段の何倍も美味しい。


「ありがとう。僕もピザ食べる」
「蒼太って細いけど意外と食べるよね」
「いや、太るから普段は制限してるよ。ポチャポチャなの嫌でしょ?」


 想像してみると、ふにふにしてる蒼太も可愛かった。


「全然」
「嘘だぁ。でもどっちにしろ、健康で長生きしたいから暴飲暴食はしないよ。」
「凄いね。俺は食べたいなって思ったら食べちゃう。家でご飯を食べる時は自炊をしないからインスタントラーメンで済ませることが多いし。」



 そう言うと蒼太は小さく苦笑を零す。


「インスタントラーメンもダメなわけじゃないけど……時間がある時、ここに来させてもらって、僕が何か作ろうか?」
「え、いいの?」
「うん。お口に合うかは分からないけど、ヒロくんがいいなら」


 蒼太の手を勢いよく握り目を合わせる。


「お願いします!蒼太のご飯食べたい!」
「そ、そんなに美味しくないと思う……」
「蒼太の作ってくれるってことに意味がある!」
「……凄い勢いだね」


 くすくす笑う彼に、俺もつられて笑う。
 確かに、嬉しいからといってはしゃぎ過ぎた。


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