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番外編
蒼太と洋哉
しおりを挟むキスが深くなる。
息が出来なくて、そういえば鼻ですると言っていたことを思い出した。
けれど思い出しても上手く出来なくて、結局ヒロくんの胸をトントンと叩き唇を離してもらう。
「っふ、ぁ、はぁ……く、苦しい……」
「鼻でするの難しい?」
「ん、だって、キスで精一杯……」
「じゃあ練習する?」
「練習?」
返事をする前に、ヒロくんがまた唇を重ねてきた。
口を開けると舌が口内に入ってきて、ねっとりと舌を擦り合わせる。
「ふっ、ぅ……」
さっきよりゆっくりな動きに少しだけ余裕が出来た。
薄く目を開けながら鼻で呼吸をしてみると、ヒロくんも目を開けて優しく微笑んでいる。
「っは、はぁ……」
「ん、上手だね」
「う……でも、ゆっくりじゃないとダメかも。いっぱいいっぱいになっちゃう。」
「それは少しずつ慣れていこうね」
「うん」
ちょっとだけ、ほんの少しだけ先に進んだ。
それが嬉しくて自然と笑みが浮かぶ。
「何笑ってるの?」
「なんか、嬉しくて。」
「嬉しい?」
「うん。ちょっと、進めた。」
そのまま甘えるように彼の肩に頬をつけた。
そうすると優しく抱きしめてくれる。
「俺とこうしてキスしたり、触れ合ったりしたかったんだ?」
「したかった。けど、初めてでわからないし、嫌がられたら悲しいから、言わないようにしてた。」
チラッと彼を見上げる。
「それに……エッチな夢を見たなんて言ったら、引かれるかもって不安で」
「じゃあ夢じゃなくて現実でしようか」
「えっ!?」
驚いて大きな声が出た。
彼はくすくす笑って、「まだ早い?」と聞いてくる。
「ぁ、えっ、と……」
「ごめんごめん。調子に乗った。ゆっくりね」
「……うん。ありがとう」
夢が現実になるのは、まだもう少し先。
でも、そんなに遠くは無いだろうなと、ヒロくんを見ていて思う。
「ヒロくん」
「んー?」
「好きだよ。」
そう言うと、彼は目をぱちくりとさせた。
「え……。ぁ、お、俺も好き。わぁ……不意打ちの効果が凄い」
「……えっと……何?」
「ごめん、こっちの話。」
優しくて、いつも僕のペースでいてくれるところも、少し変な所も、全部全部、大好きだ。
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