甘えたオメガは過保護なアルファに溺愛される

ノガケ雛

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番外編

蒼太と洋哉

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 ***


 転職して漸く研修を終えたある日、ヒロくんに誘われて夜ご飯を食べに行く事になった。
 何度か家で会って発情期になる兆候は無かったから、もう大丈夫だろう判断して。


 フロントのソファーに座って待っていると、肩をトンと叩かれて振り返る。


「お疲れ様。」
「ヒロくんもお疲れ様」
「……イイ」
「イイ?」


 ぼんやりとしている彼はどうやらお疲れの様子。
 もう一度名前を呼ぶと、ハッとしてから「どこ行く?」と聞いてきた。


「あれ、ヒロくんが何か食べたい物あったんじゃないの?」
「え、いや、別に。」
「そうなんだ。えっと……じゃあ……何だろう?」
「好きな食べ物何?俺は焼鳥」
「じゃあ焼鳥を食べに行こうよ。僕も好きだよ」


 外食で焼鳥は初めてかもしれない。
 焼鳥なら、行くのは居酒屋だろうか。
 正直居酒屋も片手で数えられるくらいしか行ったことがない。


「じゃあ、俺のオススメの店でいい?」
「うん。もちろん」


 ヒロくんが案内してくれる隣で、初めての外食での焼鳥にワクワクする。


「なんか楽しそうだね。」
「あの、実は外食で焼鳥に行くのが初めてで、すごく楽しみ。」
「え、そうなの?……わ、その笑顔可愛すぎるからちょっとタイム。」
「は?」
「俺本当、可愛いものを見ると堪らなくなるんだよ。」
「……変なの」


 これまでの人生でそんなに可愛いと言われた記憶もなければ、実際自分の顔を見てそう思ったことがない。
 ヒロくんはアルファだからか、オメガの僕が魅力的に見えてしまうようだ。



「蒼太君、手を繋いでもいいですか……?」
「え、えっと、外、ですけど……」
「ダメ?」
「う……。いいよ」


 その綺麗な顔で聞かれて断れるはずが無い。
 もとから断りたいとは思っていなかったけれど、外で手を繋ぐのは男同士だということもあって、少し気が引ける。


 差し出された手に手を重ねる。
 優しく握られて、胸がキュンっとした。


「あとちょっとで着くよ」
「うん」


 多分、顔が赤くなっている。
 そんな顔を見られたくなくて、唇を内側に隠して俯いた。


  
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