甘えたオメガは過保護なアルファに溺愛される

ノガケ雛

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番外編

蒼太と洋哉

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 手を繋ぐことにすら緊張していたのに、今のこの状況に緊張しないはずが無い。


「だから、蒼太君さえよければ、俺とお付き合いしてほしい、です。それから……ゆくゆくは番になれたらって、思ってます。」


 僕の自宅で、二人きりのこの状況。
 まだ手を繋いでからそんなに時間も経っていない。


「ぼ、僕、と……?え、本当に……?」
「うん。本当。」


 それなのにお付き合い……。
 嬉しい反面、不安が押し寄せてくる。


「お付き合いして、合わなかったら……」


 そうなればきっと一人ぼっちの生活に戻って、また寂しい日々がやって来る。
 今の会社に転職できたから、前の生活より随分と気が楽だろうけど。


「合わないことは無いと思うよ、俺は。」
「どうして?」
「俺が蒼太君を好きだと思っているし、何より運命の番だし。」
「す、すき……」


 その感情がどこまで信頼出来るものか分からないけれど、真剣に話をする彼の言葉にキュンとした。


「うん。少しの間だけど、一緒に過ごしているうちにそう思った。初めて会った時は運命の番って俺達の感情の話じゃないからよく分からなかったけど……好きな人が運命の番なら、俺はすごく嬉しい。」


 手を取られ、包むようにして握られる。
 ドキドキしていると顔が近づいて「ダメ?」と聞かれてしまった。


「ダメじゃない……」
「じゃあ、お付き合いしてくれる?」
「はい」


 こんな経験初めてで、慣れてなくて恥ずかしい。
 チラッと視線をあげると目が合う。


「キスしてもいい?」
「えっ」
「早い?」
「う……早いと思う……」
「ははっ、じゃあ俺達はゆっくり進んでいこうね。」
「うん。……よろしくお願いします。」
「こちらこそ」



 そうしてお付き合いをすることが決定した。
 ゆくゆくは番になるということも。



「じゃあまずは俺に慣れてほしいな。」
「そんなこと、いわれても……」
「堂山とは仲良いじゃん。俺を堂山だと思ったら話しやすくない?」
「橋本さんは真樹じゃないから無理です」
「その橋本さんっていう呼び方をやめようか。」


 むぐっと黙り、何だったらいいんだろうと首を傾げる。名前で呼べばいいだろうか。


「……洋哉、さん?」
「洋哉でいいよ。」
「呼び捨てはハードルが高いです」
「なら……ヒロくんとか?」
「あ、うん。そっちの方が呼びやすい」


 試しに「ヒロくん」と呼んでみると、彼は顔を真っ赤にして俯いた。耳までも赤くなっている。可愛い。


「すごい……可愛い。」
「……可愛いって言わないで」
「えへへ……」


 その日は少しだけ関係が進展して、ヒロくんは帰っていった。
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