甘えたオメガは過保護なアルファに溺愛される

ノガケ雛

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第181話

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 ■■■



 一年後。


 茹だる様な夏の暑さも落ち着いてきて、漸く秋にさしかかろうとしている。
 クーラーの効いたマンショの一室で、俺は洗濯物を畳みながら凪さんの帰りを待っていた。


 玄関のドアが開く音がして、洗濯物を放り出し、玄関に向かう。
 靴を脱いでいるその姿を確認して、そっと大きな背中に抱きついた。


「おかえりなさい、凪さん。」
「ただいま。」


 振り返った凪さんとキスをして、荷物を貰いジャケットを脱がせる。


真都まなとは?」
「寝てるよ。手洗ったらリビングに来てね」
「うん」


 凪さんの荷物を片付けて、リビングに行く。
 少し待っていると凪さんが洗面所からやって来て、俺の隣に座った。


「真都ぉ、ただいまぁ。」
「凪さん、声大きい。驚いて泣いちゃうよ」
「ごめん」


 二ヶ月前、凪さんとの間に子供が生まれた。
 男の子で、名前は真都。
 凪さんも、彼の御両親も喜んでくれて、俺も幸せいっぱいな日々を送っている。


「仕事から帰ってくれば真樹と真都がいるから、疲れが吹っ飛ぶよ。」
「それはよかった」


 眠る真都を抱き、プクプクしている頬っぺにキスをした凪さんは、小さな手に自分の指を持っていきギュッと握らせる。


「はぁ、可愛い……。」


 真都がうっすらと目を覚まして、ふわふわ欠伸を零した。


「じゃあパパ。今からご飯作るから、真都をよろしくね。」
「はーい」


 真都にデレデレな凪さんは、真都を立てた膝に乗せてちいさな手を握り軽く運動をさせている。
 そんな二人の姿を見れるのが嬉しい。

 キッチンに行き、練習したおかげで少し上達したであろう料理をして、出来上がると盛り付け担当の凪さんと交代する。

 ミルクを飲ませて、それが終わると真都はスヤスヤタイムに突入した。
 眠っている間に食事を済ませる。


「真都は毎日成長して大きくなってる気がする。」
「そうだね」
「可愛いな。あ、俺がお風呂入れてもいい?」
「うん。ありがとう」


 真都と居れる時間が俺より少ないからか、凪さんは少しでも真都の世話をしたいらしい。
 凪さんは食事を終えて、皿洗いを済ませた後、すぐにお風呂に行った。少しして真都を連れて行く。

 二人がお風呂から上がって、今度は俺がお風呂に入り、あがってきた時には真都はもう眠っていて、凪さんも隣でうつらうつらとしていた。


 真都を真ん中にして、大きなベッドに寝転ぶ。
 大きな欠伸をした凪さんが、真都を撫でて「おやすみ」と言ってから、俺の手を取る。


「真樹、おやすみ……」
「おやすみなさい」


 そして唇を重ねて、眠りに落ちた彼。
 二人に布団を掛け直してから、寝顔を見る。


 真都はどうやら凪さんに似たらしい。眠っている顔がそっくりだ。


「二人とも、また明日。おやすみ」


 そう言って、俺も目を閉じる。
 こんな幸せで優しい日常が、これからもどうか続きますように、と願って。






 END



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