甘えたオメガは過保護なアルファに溺愛される

ノガケ雛

文字の大きさ
上 下
171 / 208

第171話

しおりを挟む
 ***


 あれから少し時間は経ち、週末に凪さんと家で休んでいると、突然来客があった。
 インターホンを見て「嘘だろ……」と零した凪さんは、俺を見て申し訳なさそうな表情をする。


「何?誰が来たの?」
「……うちの親」
「えっ!?」


 驚いている間に玄関に向かった彼。
 慌ててお茶を用意しようとキッチンに向かう。


「お、久しぶり!」
「痛ッ……叩くなよ」
「あ、ごめん。久しぶりで加減を忘れた」


 初めて聞く声が聞こえて緊張する。
 珈琲にしよう。お茶よりきっとそっちの方がいい。
 ドリップのコーヒーバックを出してお湯を沸かしていると、三人分の足音が聞こえた。

 慌てて廊下の方に行くと、凪さんと、二人の男性がいて。
 どうして男性が二人?と思ったけれど、前に凪さんと話してくれたことを思い出す。
 彼は以前母親がオメガ性だと言っていた。オメガであれば、男性も女性も関係なく子供を産むことができる。



「こちらが俺の番の堂山真樹さん。同じ会社で俺の秘書をしてもらってる。」
「は、はじめまして。堂山真樹です。」


 勢い良く頭を下げる。


「真樹、こっちが俺の母さん。で、こっちが親父。親父は何度か見てるだろうから知ってると思う」
「はじめまして。凪の母親の丙 あきらです。凪から聞いてはいたんだけど……、色々大変だったって。同じ性別だから悩みがあったら遠慮なく言ってね。」


 丙さんは凪さんに似た柔らかい雰囲気でそう言ってくれた。
 お礼を伝えてまた頭を下げると、肩をぽんと叩かれる。


「はじめまして。父親の信英です。今日は突然すまないね。丙が凪と君に会いに行くって執拗くて」
「凪に会うのは久しぶりだから仕方ない!連絡は取ってたけどね。それに話に聞いていた真樹君に会ってみたかった。」


 このまま立ち話をするのも申し訳ないので、ソファーに案内して座ってもらった。
 キッチンに戻り、すぐに珈琲を入れて運ぶ。


「式はいつ挙げる?場所は?オススメはハワイだけど、国内がいい?」
「母さん、気が早い。まだその事について真樹と話せてない。」
「あ、そうなんだ。」



 丙さんは結構、グイグイといくタイプらしい。
 式というワードが出て、少し照れくさいけど気にせずにそっと珈琲を出した。

しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

花婿候補は冴えないαでした

いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

どうも。チートαの運命の番、やらせてもらってます。

Q.➽
BL
アラフォーおっさんΩの一人語りで話が進みます。 典型的、屑には天誅話。 突発的な手慰みショートショート。

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?

冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。 オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。 だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。 その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・ 「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」 「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

【完結】可愛いあの子は番にされて、もうオレの手は届かない

天田れおぽん
BL
劣性アルファであるオズワルドは、劣性オメガの幼馴染リアンを伴侶に娶りたいと考えていた。 ある日、仕えている王太子から名前も知らないオメガのうなじを噛んだと告白される。 運命の番と王太子の言う相手が落としていったという髪飾りに、オズワルドは見覚えがあった―――― ※他サイトにも掲載中 ★⌒*+*⌒★ ☆宣伝☆ ★⌒*+*⌒★  「婚約破棄された不遇令嬢ですが、イケオジ辺境伯と幸せになります!」  が、レジーナブックスさまより発売中です。  どうぞよろしくお願いいたします。m(_ _)m

僕の番

結城れい
BL
白石湊(しらいし みなと)は、大学生のΩだ。αの番がいて同棲までしている。最近湊は、番である森颯真(もり そうま)の衣服を集めることがやめられない。気づかれないように少しずつ集めていくが―― ※他サイトにも掲載

【完結】幼馴染から離れたい。

June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。 βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。 番外編 伊賀崎朔視点もあります。 (12月:改正版) 読んでくださった読者の皆様、たくさんの❤️ありがとうございます😭 1/27 1000❤️ありがとうございます😭 3/6 2000❤️ありがとうございます😭

欠陥αは運命を追う

豆ちよこ
BL
「宗次さんから番の匂いがします」 従兄弟の番からそう言われたアルファの宝条宗次は、全く心当たりの無いその言葉に微かな期待を抱く。忘れ去られた記憶の中に、自分の求める運命の人がいるかもしれないーー。 けれどその匂いは日に日に薄れていく。早く探し出さないと二度と会えなくなってしまう。匂いが消える時…それは、番の命が尽きる時。 ※自己解釈・自己設定有り ※R指定はほぼ無し ※アルファ(攻め)視点

処理中です...