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第151話
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■
モゾモゾと体を動かす。
何だか息苦しさを感じて目を開けると、知らない場所にいた。
ベッドに寝かされて、手足を縛られている。
何があったっけ。
目が覚めたばかりであまり働かない頭動かす。
そうだ。三森に首を絞められて、それで意識が飛んだんだった。
凪さんに渡すはずの書類も届けられていない。
凪さんに対しての申し訳なさを感じたけれど、今はそれより、ここから無事に脱出することが大切だ。
幸い手足は左右を一緒に結ばれているだけで、簡単に解けそう。
とにかく足首に手を伸ばして、雑に巻かれているガムテープをビリビリと破って剥がした。
「……拘束する気ないだろ、これ。」
あまりにも簡単過ぎる拘束。加えて部屋には誰も居ない、監視の目もないここから、俺がすぐに抜け出すことは容易に想像できただろうに。
手のガムテープは口を使って細かく破いていった。
数分経てば自由になって、さっさとここから出ようと玄関に向かう。
玄関に向かうまでの間、ドアが少し開いている部屋があって、その隙間から見た事のあるものが見えた。
足を止めて、そっとドアを開く。
「──ひっ……」
壁一面中に俺の写真が貼ってある。
大学生の頃のものから、いつどこで手に入れたのか小学生や中学生のものも。
驚いて絶句していると、肩をトンと叩かれた。
吃驚して腰が抜け、床に座り込み振り返ると、三森が冷めた目で俺を見下ろしていて。
「み、三森……」
「いつの間に拘束解いたんだ」
「っ、な、なあ、今までの事は誰にも何も言わないから、このまま家に帰して……」
この部屋を見た途端に襲ってきた大きな不安。
もしかするとこのままここに監禁されるんじゃないか、下手をすれば殺されるんじゃないかと心臓が大きく音を立てる。
「一晩でも売るのはやめた。折角捕まえたんだ。飽きるまで堪能したい。」
「う……み、もり……」
「こっち」
腰が抜けているせいで立てずに、三森に引き摺られるままさっきまで寝かされていたベッドに戻された。
「あ、あの写真、何……」
「何って、お前だけど。まさか本当に気付いてなかったのか?」
折角解いた拘束を再度行われる。
けれど今度は両手を背中側に、足は折り曲げた状態でガムテープで巻かれた。
「も、もうやめようって……」
「俺、ずっとお前のこと憧れてたんだよ。綺麗だし、なにせアルファだったから。憧れて、それがいつの間にか好きになって……。なあ、本当、なんでオメガになったんだよ。」
三森の手が服に掛かり、ゆっくりと腹筋を撫でる。
ゾワゾワと嫌な感覚に襲われた。
今現実に起こっている事を受け入れたくなくて、ギュッと目を閉じる。
モゾモゾと体を動かす。
何だか息苦しさを感じて目を開けると、知らない場所にいた。
ベッドに寝かされて、手足を縛られている。
何があったっけ。
目が覚めたばかりであまり働かない頭動かす。
そうだ。三森に首を絞められて、それで意識が飛んだんだった。
凪さんに渡すはずの書類も届けられていない。
凪さんに対しての申し訳なさを感じたけれど、今はそれより、ここから無事に脱出することが大切だ。
幸い手足は左右を一緒に結ばれているだけで、簡単に解けそう。
とにかく足首に手を伸ばして、雑に巻かれているガムテープをビリビリと破って剥がした。
「……拘束する気ないだろ、これ。」
あまりにも簡単過ぎる拘束。加えて部屋には誰も居ない、監視の目もないここから、俺がすぐに抜け出すことは容易に想像できただろうに。
手のガムテープは口を使って細かく破いていった。
数分経てば自由になって、さっさとここから出ようと玄関に向かう。
玄関に向かうまでの間、ドアが少し開いている部屋があって、その隙間から見た事のあるものが見えた。
足を止めて、そっとドアを開く。
「──ひっ……」
壁一面中に俺の写真が貼ってある。
大学生の頃のものから、いつどこで手に入れたのか小学生や中学生のものも。
驚いて絶句していると、肩をトンと叩かれた。
吃驚して腰が抜け、床に座り込み振り返ると、三森が冷めた目で俺を見下ろしていて。
「み、三森……」
「いつの間に拘束解いたんだ」
「っ、な、なあ、今までの事は誰にも何も言わないから、このまま家に帰して……」
この部屋を見た途端に襲ってきた大きな不安。
もしかするとこのままここに監禁されるんじゃないか、下手をすれば殺されるんじゃないかと心臓が大きく音を立てる。
「一晩でも売るのはやめた。折角捕まえたんだ。飽きるまで堪能したい。」
「う……み、もり……」
「こっち」
腰が抜けているせいで立てずに、三森に引き摺られるままさっきまで寝かされていたベッドに戻された。
「あ、あの写真、何……」
「何って、お前だけど。まさか本当に気付いてなかったのか?」
折角解いた拘束を再度行われる。
けれど今度は両手を背中側に、足は折り曲げた状態でガムテープで巻かれた。
「も、もうやめようって……」
「俺、ずっとお前のこと憧れてたんだよ。綺麗だし、なにせアルファだったから。憧れて、それがいつの間にか好きになって……。なあ、本当、なんでオメガになったんだよ。」
三森の手が服に掛かり、ゆっくりと腹筋を撫でる。
ゾワゾワと嫌な感覚に襲われた。
今現実に起こっている事を受け入れたくなくて、ギュッと目を閉じる。
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