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第149話
しおりを挟む凪さんとお風呂に入って、今日は大人しくベッドに寝転んだ。
彼は明日も仕事がある。邪魔をしないようにくっついて目を閉じると、そっと背中に手が回って抱きしめられた。
「今日は疲れた?」
閉じていた目を、再度開ける。
「俺はそんなに……。凪さんの方が疲れたでしょ」
「いや、疲れより何よりワクワクしてる。早く真樹を苦しめた三森に自分のした事の罪深さとその罰を与えてやりたい。正直そこまでできる材料は準備できた。」
そう言う彼に、正直なところ恐怖しか感じなかった。
「……怖」
「え?」
「今の顔すごく怖かった。悪者の親分みたいな感じ。俺のためを思ってくれるのは伝わったけど……。ほら、凪さんって切れ長の目をしてるから、真顔でそんなこと言われたら……ねえ?」
「じゃあ三森の前でだけ使うことにするよ。真樹の前では常に笑っておく」
「うん、それがいい。」
凪さんの頬に手を当てて、顔を近づけキスをする。
何度か触れるだけのキスを繰り返し、そのうち深くなっていくそれ。
唇が離れて一息吐くと、苦しいくらいに抱きしめられて早々に彼の背中を叩きギブアップを伝えた。
「凪さんは大きくて力が強いから、俺との体格差も考えてくれないと苦しい!」
「苦しくしたからなぁ」
「俺は優しくされるのが好き」
「知ってる」
くすくす笑う彼が俺の髪を撫でる。
またもう一度目を閉じて、彼にくっついたまま、今度こそ深い眠りについた。
***
目を覚ますと凪さんはもう隣に居なかった。
ポヤポヤした頭のまま、ベッドを降りてリビングに行く。
「あ、おはよう真樹。サンドイッチ作ったよ。よかったら食べて」
「……おはよぉ」
ふわふわ欠伸を零して、まずは凪さんに抱きつく。
寝癖のついている髪を撫でられ、ぐりぐりと彼の肩に顔を押し付ける。
「寝惚けてるな」
「ンー……ぐっすり寝た……」
「よかったな。ほら、顔洗って歯磨きしておいで。」
「ふぁ、い」
欠伸混じりに返事をして、洗面所に行き顔を洗った。
歯磨きをして、軽く髪を濡らし寝癖をなおす。
そういえば、サンドイッチを作ったと言っていたな。
思い出すと無性に食べたくなって、小さくスキップしながらリビングに戻った。
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