甘えたオメガは過保護なアルファに溺愛される

ノガケ雛

文字の大きさ
上 下
137 / 208

第137話

しおりを挟む

 お風呂から上がり朝食兼昼食を食べた。
 凪さんがベッドを綺麗にしている間、俺はソファーに寝転んでテレビを見る。

 今日もテレビではオメガの周りで起こる性犯罪について議論されていた。
 前までは気にならなかったことも、オメガになってからはいつか自分にも同じことが起きるんじゃないかと不安を煽られてしまう。

 オメガのことを考えているとふと蒼太を思い出して、慌ててスマートフォンを手に取る。
 以前蒼太にメッセージを入れてから、あまりスマートフォンを見ていなかった。


「あー……申し訳ないことした」


 メッセージが返ってきていたのに気が付かなかった。
 凪さんが話をしたいと言っていたことに蒼太は了承してくれて、都合のいい日を教えて欲しいとの事だった。
 寝室にいる彼のもとに行く。


「凪さん。蒼太が都合のいい日を教えて欲しいって」
「直ぐに確認するよ」


 作業をやめて書斎に行った彼は、直ぐに戻ってきて空いている日を教えてくれた。


「時間は蒼太君に任せるよ。いつでも大丈夫。」
「そう伝えます」


 メッセージを打ってスマートフォンを置き、またソファーに戻る。
 凪さんも寝室に戻って、少しして傍にやってきた。


「喉乾いてない?」
「うん。大丈夫」


 ぎゅっと抱きしめられながらテレビを眺めていると、パチッと電源を消されてバッと凪さんを見る。


「何で消したの?」
「暗い話題だったから」
「でも見ておいた方が自分の為になるかもしれない」
「暗い気持ちにならないって約束できる?」


 そう言われたら頷けなくて、グッと口を噤むと彼が真剣な顔で俺を見る。


「真樹にとってマイナスになるような話題については聞くな。見るな。」
「う……」


 どうしてか勝手に首が動いて凪さんの言葉に頷いていた。
 反論出来ずに口をパクパクさせると、唇を彼のそれで塞がれる。



「ごめんね。真樹が俺の言葉に従う様にした。」
「っ、どう、やって……」
「オメガはアルファの命令に逆らえないんだ。ごめん」


 髪を撫でられ、また強く抱きしめられた。
 酷い、とは思ったけれどこれは俺のために彼がしてくれた事。そういうことにして、彼の背中に手を回す。



「ううん。怒ってない」
「そう……」
「でも知らなかった。アルファってそんな力があるんだね。」
「うん。アルファがオメガに対して強い言葉で命令したら、オメガは逆らえなくなる。」
「それは番間でだけ?」


 番の関係がないアルファとオメガには通用するのだろうか。
 聞けば彼は顔を上げて首を振る。


「アルファとオメガなら関係は無くても使える。それが犯罪にも繋がってるんだよ」


 ギョッとして目を見開くと、凪さんは悲しそうな表情になった。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

どうも。チートαの運命の番、やらせてもらってます。

Q.➽
BL
アラフォーおっさんΩの一人語りで話が進みます。 典型的、屑には天誅話。 突発的な手慰みショートショート。

たしかなこと

大波小波
BL
 白洲 沙穂(しらす さほ)は、カフェでアルバイトをする平凡なオメガだ。  ある日カフェに現れたアルファ男性・源 真輝(みなもと まさき)が体調不良を訴えた。  彼を介抱し見送った沙穂だったが、再び現れた真輝が大富豪だと知る。  そんな彼が言うことには。 「すでに私たちは、恋人同士なのだから」  僕なんかすぐに飽きるよね、と考えていた沙穂だったが、やがて二人は深い愛情で結ばれてゆく……。

花婿候補は冴えないαでした

いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

ベータですが、運命の番だと迫られています

モト
BL
ベータの三栗七生は、ひょんなことから弁護士の八乙女梓に“運命の番”認定を受ける。 運命の番だと言われても三栗はベータで、八乙女はアルファ。 執着されまくる話。アルファの運命の番は果たしてベータなのか? ベータがオメガになることはありません。 “運命の番”は、別名“魂の番”と呼ばれています。独自設定あり ※ムーンライトノベルズでも投稿しております

Ωの不幸は蜜の味

grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。 Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。 そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。 何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。 6千文字程度のショートショート。 思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。

偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜

白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。 しかし、1つだけ欠点がある。 彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。 俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。 彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。 どうしたら誤解は解けるんだ…? シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。 書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

運命の番はいないと診断されたのに、なんですかこの状況は!?

わさび
BL
運命の番はいないはずだった。 なのに、なんでこんなことに...!?

処理中です...