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第137話
しおりを挟むお風呂から上がり朝食兼昼食を食べた。
凪さんがベッドを綺麗にしている間、俺はソファーに寝転んでテレビを見る。
今日もテレビではオメガの周りで起こる性犯罪について議論されていた。
前までは気にならなかったことも、オメガになってからはいつか自分にも同じことが起きるんじゃないかと不安を煽られてしまう。
オメガのことを考えているとふと蒼太を思い出して、慌ててスマートフォンを手に取る。
以前蒼太にメッセージを入れてから、あまりスマートフォンを見ていなかった。
「あー……申し訳ないことした」
メッセージが返ってきていたのに気が付かなかった。
凪さんが話をしたいと言っていたことに蒼太は了承してくれて、都合のいい日を教えて欲しいとの事だった。
寝室にいる彼のもとに行く。
「凪さん。蒼太が都合のいい日を教えて欲しいって」
「直ぐに確認するよ」
作業をやめて書斎に行った彼は、直ぐに戻ってきて空いている日を教えてくれた。
「時間は蒼太君に任せるよ。いつでも大丈夫。」
「そう伝えます」
メッセージを打ってスマートフォンを置き、またソファーに戻る。
凪さんも寝室に戻って、少しして傍にやってきた。
「喉乾いてない?」
「うん。大丈夫」
ぎゅっと抱きしめられながらテレビを眺めていると、パチッと電源を消されてバッと凪さんを見る。
「何で消したの?」
「暗い話題だったから」
「でも見ておいた方が自分の為になるかもしれない」
「暗い気持ちにならないって約束できる?」
そう言われたら頷けなくて、グッと口を噤むと彼が真剣な顔で俺を見る。
「真樹にとってマイナスになるような話題については聞くな。見るな。」
「う……」
どうしてか勝手に首が動いて凪さんの言葉に頷いていた。
反論出来ずに口をパクパクさせると、唇を彼のそれで塞がれる。
「ごめんね。真樹が俺の言葉に従う様にした。」
「っ、どう、やって……」
「オメガはアルファの命令に逆らえないんだ。ごめん」
髪を撫でられ、また強く抱きしめられた。
酷い、とは思ったけれどこれは俺のために彼がしてくれた事。そういうことにして、彼の背中に手を回す。
「ううん。怒ってない」
「そう……」
「でも知らなかった。アルファってそんな力があるんだね。」
「うん。アルファがオメガに対して強い言葉で命令したら、オメガは逆らえなくなる。」
「それは番間でだけ?」
番の関係がないアルファとオメガには通用するのだろうか。
聞けば彼は顔を上げて首を振る。
「アルファとオメガなら関係は無くても使える。それが犯罪にも繋がってるんだよ」
ギョッとして目を見開くと、凪さんは悲しそうな表情になった。
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