甘えたオメガは過保護なアルファに溺愛される

ノガケ雛

文字の大きさ
上 下
132 / 208

第132話

しおりを挟む

 朝ご飯を食べた凪さんは、六時を過ぎた頃に家を出た。あまりにも早い。
 俺は食器の片付けをしてから、二度寝をしようかなと悩んで結局洗濯物をすることに決めた。
 とはいえそれもそんなに時間がかからないから、他に何をしようかと考えてソファーに座っているうちに寝コケてしまい、八時半に目が覚めて焦り倒した。

 貰った仕事をこなし、昼ご飯は適当に食べて彼が帰ってくるまでにお風呂掃除も終わらせて雰囲気作りを開始する。

 ベッドは綺麗にメイキングし直して、今日の夜、風呂上がりに履く予定の新しい下着を準備した。
 ただのボクサーパンツだけれど、グレーの下地に差し色で赤や青が散らばっていて可愛い。
 けれど凪さんがこんな下着で興奮するはずはない。完全に自己満足だけれどこうして準備をしている自分が結構好き。
 今日はボディミルクも塗ってみようと棚に入れたままのいい香りのするそれも風呂場に置いておいた。


 三時頃、玄関のドアが開いた。
 急いで出迎えに行き、「おかえりなさい!」と言うと笑顔で「ただいま」を返してくれる。


「これお土産」
「何?」
「シュークリーム。甘いの好きだろ?」
「うん。大好き。ありがとう」
「真樹はもう仕事終わった?」
「うん」


 シュークリームを冷蔵庫に入れて、凪さんが着替えに部屋に入ったのを見届けてから出しっぱなしだったパソコンを片付けた。


「凪さーん、晩ご飯、家にある食材で作れるかなぁ。」
「できるよ。普段から色々買ってあるし大丈夫。」
「わかったー!」


 凪さんが部屋から出てきて、いきなり俺を抱きしめてくる。


「お仕事お疲れ様。少し休んだら?」
「真樹も休もう。終わったんでしょ?」
「うん。……あ、ちょっと」
「ごめん、ちょっと触らせて」


 凪さんの手が俺の内腿に触れていやらしく撫でてきた。その手をそっと押さえると凪さんが何度も項にキスをしてくる。


「んっ、ん、項、やだ……ゾクゾクするから……」


 どうして急にこんな……。疲れて発情してるんだろうか。


「凪さん、ねえ、夜にしようよ。ご飯食べてお風呂入って、ゆっくり……ね?」
「んー……」
「朝早く起きたから眠いでしょ。ほら、ちょっと休んで」
「真樹も休もうよ」
「駄目。また触るでしょ」


 そっと体を離させて、ソファーに移動させる。
 座らせればコロンと倒れて俺の手を掴んだ。


「真樹」
「珍しい。凪さんが甘えたになってる」
「キスしてほしい」
「俺もしたいと思ってた」


 唇を重ねると、彼の口角がゆっくり上がる。
 もう一度同じことを繰り返し、最後に軽く鼻に噛み付いた。


「痛いよ」
「嘘だ。優しくしたもん」
「真樹ぃ」
「なぁに。マッサージでもしようか?」
「ううん、いいよ。ちょっとだけ寝るね」
「うん。」


 凪さんのこんなに甘えた姿を俺にだけ見せてくれるんだと思うと嬉しさが溢れた。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

朝起きたら幼なじみと番になってた。

オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。 隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた 思いつきの書き殴り オメガバースの設定をお借りしてます

どうも。チートαの運命の番、やらせてもらってます。

Q.➽
BL
アラフォーおっさんΩの一人語りで話が進みます。 典型的、屑には天誅話。 突発的な手慰みショートショート。

たしかなこと

大波小波
BL
 白洲 沙穂(しらす さほ)は、カフェでアルバイトをする平凡なオメガだ。  ある日カフェに現れたアルファ男性・源 真輝(みなもと まさき)が体調不良を訴えた。  彼を介抱し見送った沙穂だったが、再び現れた真輝が大富豪だと知る。  そんな彼が言うことには。 「すでに私たちは、恋人同士なのだから」  僕なんかすぐに飽きるよね、と考えていた沙穂だったが、やがて二人は深い愛情で結ばれてゆく……。

花婿候補は冴えないαでした

いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

ベータですが、運命の番だと迫られています

モト
BL
ベータの三栗七生は、ひょんなことから弁護士の八乙女梓に“運命の番”認定を受ける。 運命の番だと言われても三栗はベータで、八乙女はアルファ。 執着されまくる話。アルファの運命の番は果たしてベータなのか? ベータがオメガになることはありません。 “運命の番”は、別名“魂の番”と呼ばれています。独自設定あり ※ムーンライトノベルズでも投稿しております

Ωの不幸は蜜の味

grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。 Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。 そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。 何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。 6千文字程度のショートショート。 思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。

偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜

白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。 しかし、1つだけ欠点がある。 彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。 俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。 彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。 どうしたら誤解は解けるんだ…? シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。 書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

処理中です...