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第130話
しおりを挟む食事をしてから、凪さんが一緒に、と言うのを拒否して一人でお風呂に入った。
髪と体を先に洗い、さっぱりとした所で湯船に入る。
こうしてぼんやりする時間は好きだ。
お湯をすくってバシャッと顔にかけ、力を抜いて肩まで浸かる。
「はぁ……」
ゆっくりとカフェに行くのは久々だったから楽しかった。
また近い内に、今度は凪さんも一緒に行きたいな。
お風呂から上がり、リビングに行くとなにやら電話をしている彼。邪魔しないようにキッチンで牛乳を飲んで一息吐いていると、首にかけていたタオルを突然取られて驚いた。
「また乾かしてない」
「……驚かさないでよ」
わしゃわしゃと髪を拭かれ、それからドライヤーを持ってきた彼にされるがまま乾かしてもらう。
特に何も話すことなく、ブォーと鳴る音を聞きながら目を閉じる。
人に頭を触られていると眠たくなるのはなんでだろう。体が前後左右に揺れて、倒れると思うと同時に体を起こして、その度に凪さんに笑われた。
「もう寝る?」
ドライヤーを切って、そう聞いてきた彼に頷く。
歯磨きをしてベッドに潜り込んだけれど、何も考えていなかった。ここはいつも彼と眠っているベッドだ。
「一緒に寝ないって言ってたのに、可愛い。」
「……今からでも自分の部屋に帰れるよ」
「それは無理だな」
隣に寝転んだ彼が、後ろから抱きしめてくる。
本当に眠たいから「お触り禁止で」と伝えて、下履きにかかっていた手を叩いた。
「凪さんも寝よう」
「俺は先に風呂かなぁ」
「そうだ……まだ入ってなかったね……」
話しているうちに意識がぼんやりとしてきた。
ゆっくりと寝返りを打って、彼の背中に腕を回す。
「明日の朝でいいんじゃないの……?」
「明日は少し早く家を出るつもりなんだ」
「……なんで」
「昼に会食があるから、それまでに済ませたいことがあって。会食が終われば帰ってくるよ。」
「んー……このまま寝ようよ」
胸に顔を埋めると、頭を撫でられる。
「明日の朝、早く起こされたくないだろ?」
「……いやだ」
「じゃあ今からすぐに入ってくるから、先に寝ておいてくれる?」
グリグリと胸に額を押し付ける。
首を左右に振ると、彼が少し困ったように笑う声が聞こえた。
「よしよし。眠たいね、もう寝ようね。」
「……」
トントンと、背中を一定のリズムで軽く叩かれ、いつの間にか眠りに落ちていた。
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