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第87話

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「一気にいかなきゃ無理かもな……」
「うっ、も、もう、一思いに、やって……っ!苦しいっ、は、はぁ……」
「大分柔らかくなったから痛くはないと思うけど、いいの?」
「いいからっ!」


 こんな快楽地獄みたいな方が嫌だ。
 涙ながらに訴えると、凪は苦笑を零して、俺の腰をがっちりと掴んだ。


「じゃあ、力抜いて」
「ん……」


 深呼吸を繰り返す。
 そうすれば余計な力が抜けていって、少し体が落ち着きを取り戻した。



「──ッッ!?」



 腰を掴む力が強くなったかと思うと、一気に強く突き込まれた。
 お腹の中でぐぷっと音がした気がする。

 目の前がチカチカと白くなって、もう何も考えられない。
 口が開いたまま閉じられなくなって、律動されると呼吸と共に小さく声が漏れていった。


「ぁ……あ、アァ……ぁ……」
「っは、すごい……真樹、気持ちいいな……」


 体に上手く力が入らない。
 お腹の中がぐちゃぐちゃに混ぜられている気がする。
 許容を超えた快感のせいで、体がバカになったのかペニスからチョロチョロと何かが漏れている。


「ああ、潮まで吹いて……可愛い……」


 勝手に涙が溢れ出て、もうこんな強い快感は要らないと足をバタバタさせた。


「あぁぁっ、や、だ、もういや、だめ、おかしく、なる……っやめ、やめて、やだぁっ!」
「もうちょっと頑張って」
「ひっ、ひあっ、あぁぁ……っ」


 ガクガク揺らされ、意識が遠くなる。
 ふと頭が飛んでいるような感覚を覚えた時、ピタッと律動が止まり、漸く後孔からペニスが抜けた。
 どうやら彼も達したらしい。外したゴムがタプんと重くなっている。


「真樹、大丈夫か……?」
「……死ぬかと、思った……」


 まだ力が入らない。
 隣に寝転んだ凪が俺のお腹を撫でてきて、その度にビクッと反応してしまう。


「お腹、ダメ……やめて、まだ……」


 のそのそ手を動かして、凪の手を掴む。
 小さく謝った彼は、タオルを取ってくると言って部屋から出て行った。


 まだお腹の中に入っている感覚がする。


「気持ちよかった……」


 目を閉じて余韻に浸った。
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