甘えたオメガは過保護なアルファに溺愛される

ノガケ雛

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第82話

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 車に揺られていると、急に下腹部が重たくなった。


「ぅ……」
「大丈夫?気持ち悪い?」
「……おしっこ行きたい……」


 お酒と水を飲んでトイレに行っていなかった。
 少しの振動が辛くて俯き背中を丸める。


「もう着くからね」
「うぅ……だめ、漏れる……凪さんはやく……」


 歯を食いしばって堪えて、漸くマンションに着いた頃には歩くのすら億劫だった。
 走ることはできなくて、ヨタヨタと歩きやっと部屋の玄関に辿り着いてほっとする。


 途端ジワジワと下半身に生暖かい感覚が広がって……


「え、ぇ……うそ、やだ、やだっ!」
「……」


 下腹部の重みが無くなっていくのと同時、体の体温が一気に奪われて床に座り込む。


「ひっ、ひ……っごめん、なさい……っ!」
「……真樹、お漏らししちゃったの?」
「ごめ、なさい、ごめんなさいっ!」


 恥ずかしい。恥ずかしすぎて消えてしまいたい。
 涙が溢れて頬を濡らす。咄嗟に股間を押えた手は濡れ、ぴちゃぴちゃと水音がする。


「大丈夫だよ。先に全部脱ごうね」
「うぅぅ……」
「まーき、ほら、脱いで。タオル持ってくるから足拭いてそのまま風呂に入っておいで。大丈夫、大丈夫。」
「ごめんなさいぃ……我慢、出来なかったぁ……!」


 悲しくて動けないでいると、ベルトを取られジッパーも下ろされて下着と一緒に服を脱がされた。
 タオルを取りに行った彼は俺を立たせると、軽く足を拭いてお風呂場に連れて行ってくれる。


「ゆっくり入っておいで」
「な、凪さん、凪さん……ごめんなさい……」
「怒ってないよ。謝らなくていい。」
「じ、自分で片付けるから、すぐ出るから……」
「あ、でも酔ってるから一人で入るのは危ないかもしれないね。ちょっと待っててくれる?すぐ戻ってくるから」


 そう言って颯爽と消えた彼。
 俺は情けなさに涙が止められなくて、言われた通りに待っていることしかできない。


 しばらくすると戻ってきた彼は、まだ俺が着ていたシャツを脱がせて全裸になると、自分の服も脱いでお風呂に入ってきた。


「もう泣かなくていいよ。ビックリしたね」
「っ、こ、子供扱い、やめて……っ」
「あ、ごめん。」


 漏らしてしまった今、子供扱いをされると悲しさを通り越して絶望感すら生まれる。


「とりあえず体洗おう。ほら、泣き止んで。」
「……」


 鼻水まで出てきて、情けない姿を凪さんに晒してしまう。それでも凪さんは笑って俺の世話を焼いてくれた。
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