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第75話
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それはさておき、発情期で長く休んでいたけれど、凪さんは俺の眠っていた時間を使って、別の部屋で仕事をしていたのを知っている。
「あの……仕事、大丈夫……?」
「大丈夫。心配しなくていいよ」
今もそうだった。まだ少し休ませてもらったあと、さすがに暇になったのでフラフラになりながらリビングに出て、テーブルでパソコンを見る彼の足元に座る。
どうしても近くにいたくて、膝に頬擦りをすると、大きな手が頭を優しく撫でた。
「床に座らないで、こっちにおいで。」
「……邪魔しないようにしてる」
「邪魔?」
「うん。」
隣の椅子を叩いた彼。
そこに座ってしまえば抱き着きたくなるし肩や腕や手を触ってしまって、仕事の邪魔になる気しかしない。
足ならまだ邪魔にならないだろうと膝に顔を置くと、困ったように眉を下げる凪さん。
「あの……真樹。申し訳ないけど、隣にいてくれる方がまだ有難いかな。」
「どうして?手触られるのは仕事の邪魔になるでしょう?」
「……真樹に下から見上げられると、ちょっと困るんだ。」
邪魔になる方が困ると思うけど、彼がそう言うなら仕方がない。
隣の椅子に座って、早速彼の手に触れる。
「凪さん。ねえ凪さん。」
「何?」
「もうちょっとだけ……手、こうしてていい?何だか、あの……甘えたくて……」
「甘えたいの?それならこっちのほうがいいんじゃない?」
「えっ!?」
軽く椅子を引いた彼は、突然俺の腰に手を回して抱き上げた。そしてそのまま自分の膝の上に乗せられる。
驚いて目をぱちぱちさせる俺を可笑しそうにくすくす笑ったあと、頬にキスをされてカッと熱くなった。
「これだと邪魔どころか、仕事できないじゃないですか!」
「あ、また敬語。なかなか抜けないな」
「せっかく我慢してるのに!」
「我慢?する必要があるの?甘えたいならそうすればいいんだよ。」
ポンポン頭を撫でられ、彼の肩に顔を押し付ける。
甘えたいとは言っても、方法があまり分からない。
どこまでが鬱陶しく思われないのか……とか。最近はそういうことを考え始めた。
「鬱陶しいって思ったら絶対に言ってください」
「思わないけどな」
「絶対に言ってね」
「わかったよ」
彼に体を預ける。
まだ微かに香る彼のフェロモンを胸いっぱいに吸った。
「あの……仕事、大丈夫……?」
「大丈夫。心配しなくていいよ」
今もそうだった。まだ少し休ませてもらったあと、さすがに暇になったのでフラフラになりながらリビングに出て、テーブルでパソコンを見る彼の足元に座る。
どうしても近くにいたくて、膝に頬擦りをすると、大きな手が頭を優しく撫でた。
「床に座らないで、こっちにおいで。」
「……邪魔しないようにしてる」
「邪魔?」
「うん。」
隣の椅子を叩いた彼。
そこに座ってしまえば抱き着きたくなるし肩や腕や手を触ってしまって、仕事の邪魔になる気しかしない。
足ならまだ邪魔にならないだろうと膝に顔を置くと、困ったように眉を下げる凪さん。
「あの……真樹。申し訳ないけど、隣にいてくれる方がまだ有難いかな。」
「どうして?手触られるのは仕事の邪魔になるでしょう?」
「……真樹に下から見上げられると、ちょっと困るんだ。」
邪魔になる方が困ると思うけど、彼がそう言うなら仕方がない。
隣の椅子に座って、早速彼の手に触れる。
「凪さん。ねえ凪さん。」
「何?」
「もうちょっとだけ……手、こうしてていい?何だか、あの……甘えたくて……」
「甘えたいの?それならこっちのほうがいいんじゃない?」
「えっ!?」
軽く椅子を引いた彼は、突然俺の腰に手を回して抱き上げた。そしてそのまま自分の膝の上に乗せられる。
驚いて目をぱちぱちさせる俺を可笑しそうにくすくす笑ったあと、頬にキスをされてカッと熱くなった。
「これだと邪魔どころか、仕事できないじゃないですか!」
「あ、また敬語。なかなか抜けないな」
「せっかく我慢してるのに!」
「我慢?する必要があるの?甘えたいならそうすればいいんだよ。」
ポンポン頭を撫でられ、彼の肩に顔を押し付ける。
甘えたいとは言っても、方法があまり分からない。
どこまでが鬱陶しく思われないのか……とか。最近はそういうことを考え始めた。
「鬱陶しいって思ったら絶対に言ってください」
「思わないけどな」
「絶対に言ってね」
「わかったよ」
彼に体を預ける。
まだ微かに香る彼のフェロモンを胸いっぱいに吸った。
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