甘えたオメガは過保護なアルファに溺愛される

ノガケ雛

文字の大きさ
上 下
57 / 208

第57話

しおりを挟む

 俺が検索したからか、凪さんが過保護だから困っていてそれの対処方法を調べているんだと思われたらしい。
 あながち間違いではないんだけど、あまりにも凪さんがショックを受けて固まっているので困ってしまう。


「あのー……凪さん?」
「ごめん。俺は真樹の事を気にしすぎていたんだな。鬱陶しいよな。そりゃあそうだ。家でも職場でも一緒でその上必要以上に心配されて……」
「鬱陶しくはないです。ただ気になっただけ!一般的にアルファはそうなのかなって。」
「……」
「俺はアルファだった時にそういう感情がなかったから余計に」


 俺を見た彼は、不安そうにしていて申し訳なく思う。
 そういう顔をさせたかったわけじゃない。



「本当に嫌じゃないです。俺の事心配してくれてるってわかってるから。ただ、世間一般的にはどうなんだろうって、興味を持っただけです。」
「……本当に?」
「本当です。だから落ち込まないで。ご飯も食べたいな」
「うん」


 突然強すぎる力で抱き締められて苦しさに彼の背中をバシバシ叩く。
 慌てて体を離した彼はまた謝ってくるから、笑って「大丈夫」を伝える。


「ご飯の用意手伝います。」
「真樹はまだプルプルしてるだろ?」
「お茶とコップを運ぶくらいできますよ。」


 立ち上がり、彼と一緒にキッチンに行って、お昼ご飯の準備をする。
 ちょうど正午になっていた。


「いただきます」


 手を合わせて食事を始める。
 今日はこれから、凪さんは何をするんだろう。
 俺としては彼とゆっくり過ごしたいけれど、何か用事があるなら無理強いできないし。


「今日は何か予定がありますか?」
「予定?いや、真樹とゆっくり過ごそうと思っていたけど。」
「よかった」


 不思議そうな彼は「どうして?」と聞いてくる。


「俺は凪さんと一緒にいたかったので。ご飯食べたら何しますか。」
「何しようかな……」


 そんな会話をしているうちに食事を終え、皿洗いは俺がすると言ったのに全くさせてくれない凪さんに少し不満を感じる。


「俺がやるのに」
「真樹は座ってて」
「何もしてないからやりたかった」
「何もしなくても可愛いからいい」
「……あの、俺って成人済み男性ですよ。何もしなくて可愛いわけがないじゃないですか。」


 皿洗いする彼の隣に立って不満をぶつける。
 ついでに少しイタズラしたくなったので、邪魔をするという意味で抱きついてみたり、すぐ傍で床に座り込んだりしてやった。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

朝起きたら幼なじみと番になってた。

オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。 隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた 思いつきの書き殴り オメガバースの設定をお借りしてます

どうも。チートαの運命の番、やらせてもらってます。

Q.➽
BL
アラフォーおっさんΩの一人語りで話が進みます。 典型的、屑には天誅話。 突発的な手慰みショートショート。

たしかなこと

大波小波
BL
 白洲 沙穂(しらす さほ)は、カフェでアルバイトをする平凡なオメガだ。  ある日カフェに現れたアルファ男性・源 真輝(みなもと まさき)が体調不良を訴えた。  彼を介抱し見送った沙穂だったが、再び現れた真輝が大富豪だと知る。  そんな彼が言うことには。 「すでに私たちは、恋人同士なのだから」  僕なんかすぐに飽きるよね、と考えていた沙穂だったが、やがて二人は深い愛情で結ばれてゆく……。

花婿候補は冴えないαでした

いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

ベータですが、運命の番だと迫られています

モト
BL
ベータの三栗七生は、ひょんなことから弁護士の八乙女梓に“運命の番”認定を受ける。 運命の番だと言われても三栗はベータで、八乙女はアルファ。 執着されまくる話。アルファの運命の番は果たしてベータなのか? ベータがオメガになることはありません。 “運命の番”は、別名“魂の番”と呼ばれています。独自設定あり ※ムーンライトノベルズでも投稿しております

Ωの不幸は蜜の味

grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。 Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。 そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。 何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。 6千文字程度のショートショート。 思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。

偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜

白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。 しかし、1つだけ欠点がある。 彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。 俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。 彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。 どうしたら誤解は解けるんだ…? シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。 書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。

初心者オメガは執着アルファの腕のなか

深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。 オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。 オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。 穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。

処理中です...