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第43話
しおりを挟む昼ご飯は冷凍庫にあった冷凍食品のドリアを食べた。
歯磨きをして、眠たいなぁとソファーに座った時に玄関が開く音がし、廊下を見ていると凪さんが現れる。
「ぁ、おかえりなさい」
「ただいま。ご飯は食べた?」
「はい。……あの、本当にすみませんでした。早速休むなんて社会人として無責任な行為でした。」
「いやいや。俺が勝手にそうしたんだ。元々休ませるつもりだった。気にしないで」
そうは言われても気にしてしまう。
今後はこんなことがないように気をつけよう。明日は朝一番に中林さんに謝らないと。
「それより真樹、何食べたの?」
「あ、冷凍食品のドリアを……」
「え、それだけ?足りないでしょ。何か作ろうか?」
「いえ。もうお腹いっぱいです。」
本当に?と確認してきた彼に頷いた。
凪さんは着替えてくると言ってリビングを出ていく。
その後ろ姿を見ている時に思い出した。
昨日の夜、完全に頭が回らなくて色んなことを伝えてしまったんだった。その事についても謝らないといけない。
服を着替えて戻ってきた凪さんに近づき「あの……」と声を掛ける。
「どうしたの?」
「昨日の事、なんですが……」
「昨日?……あ、中林さんと話した内容について?」
「はい。……あの、色々と恥ずかしい事を言ってしまったと思います。はっきりとは覚えてないんですけど……。」
「俺もその事について話がしたかったんだ。体調が良いなら今、少しいいかな。」
頷くと彼に手を取られ、ソファーに連れられる。
本当に申し訳がないけれど、昨日のことはぼんやりとしか覚えていなくて、それを思い出すためにもしっかりと話がしたい。
「まず……こんな真昼間から話すような内容ではないから、それについては先に謝らせてくれ。」
「え……。もしかして俺そんなにもはしたない事を言ってましたか……?」
「いや、別に俺はそうは思ってないよ。むしろ嬉しかったし。それはまあ置いておいて、真樹は俺と番になりたい?」
「勿論です」
食い気味に返事をする。
当たり前だ。今更そんなことを聞くなんてどうしたんだろう。
「よかった。番になれるのは早くて二ヶ月後。それまでの間、俺は真樹には心の準備や色々と覚悟がいるだろうと思って、成る可く手を出さなかったんだけど……真樹は俺に触られるのは嫌じゃないか?」
「触られる……。いつも、あの……時々やるアレですか……?」
「それもそうなんだけど、最後までって事かな。」
「さ、最後、まで……」
ピシッと固まって、返事が出来ない。
それはつまり、凪さんに抱かれる事が嫌ではないかって事だよな。
「セックス、ですか……?」
「うん。」
凪さんから顔を逸らして、自分の膝の上にある手を見る。
嫌ではない。むしろされたい。
早く凪さんと繋がりたい。
けれど凪さんはいつも最後までしようとはしなかった。だから番になるその時まで本番はしたくないのかなって勝手に思っていて。
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