甘えたオメガは過保護なアルファに溺愛される

ノガケ雛

文字の大きさ
上 下
37 / 208

第37話

しおりを挟む

 昼休みになって、親睦を深めようと中林さんと二人で近くのカフェにやって来た。
 凪さんは仕事があるらしく、二人で行っておいでとのこと。


「専務とはどこまでいったの?」
「……」


 突然の質問、しかもその内容に驚いて固まる。
 中林さんは慌てて「ごめんなさい」と謝ってきた。


「どうしても気になっちゃって……。だって二人とも顔が良いしスタイル抜群だし……馴れ初め気にならない?」
「そう、ですかね……。でも、出会って一ヶ月くらいだし、一緒に暮らしてはいるけど、特に何も……。」
「え、セックスは?」
「中林さんっ!!」


 真昼間から何を言っているんだこの人は。
 クールビューティーだと思っていたけど違ったらしい。


「……してないの?」
「……してませんよ。」
「キスは?ちょっと触れ合ったりは!?」
「それは……まあ、たまに……」


 注文した料理が運ばれてくる。
 頼んだ物が揃ってから手を合わせてフォークを持った。
 今日のランチは俺の好物のクリームパスタだ。


「ダメよ。それはダメ。専務ってすごく人気なの知ってるでしょ?」
「……あの容姿だと人気でしょうね」
「人気も人気よ。他の幹部の秘書達はいつも私に羨ましいって言ってくるんだから!」
「……嘘」
「本当!」


 中林さんの言葉にフォークに巻き付けていたパスタをポロッと落とし、皿の中に戻ってしまった。
 真剣に俺を見た彼女は、箸で切り分けたハンバーグを食べゴクッと飲み込むと、小さく息を吐いて箸を置いた。


「まだ番でも無いんでしょ?」


 小声で聞かれてコクッと頷く。
 だって、次の発情期が来るのはあと二ヶ月後。
 番になるには発情期中に項を噛んでもらわないといけないわけで、今すぐなりたくてもなれない。


「どうしたらいいんでしょうか……。」
「そうね。まずは私に対する敬語をやめてもらえると嬉しいかな。二十四歳よね?私達同い年よ。」


 驚いて目を見開く。
 大人っぽいしクールに見えるからか、年上だと思っていた。


「同い年?」
「そう。入社二年目のぺーぺー。第一秘書が少し前までいたんだけど、寿退社されたの。他の所から第一秘書をって話が出た時に、第二だった私が第一になれば問題ないって有難いことを言ってくださったの。」
「なるほど……」


 パスタを食べて、咀嚼し飲み込む。


「たまーにチラって見えるそれは専務からもらったの?」


 中林さんが俺の首を指さしてニヤニヤしながら言うから、恥ずかしくなって慌てて首を隠した。
しおりを挟む
感想 16

あなたにおすすめの小説

朝起きたら幼なじみと番になってた。

オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。 隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた 思いつきの書き殴り オメガバースの設定をお借りしてます

どうも。チートαの運命の番、やらせてもらってます。

Q.➽
BL
アラフォーおっさんΩの一人語りで話が進みます。 典型的、屑には天誅話。 突発的な手慰みショートショート。

たしかなこと

大波小波
BL
 白洲 沙穂(しらす さほ)は、カフェでアルバイトをする平凡なオメガだ。  ある日カフェに現れたアルファ男性・源 真輝(みなもと まさき)が体調不良を訴えた。  彼を介抱し見送った沙穂だったが、再び現れた真輝が大富豪だと知る。  そんな彼が言うことには。 「すでに私たちは、恋人同士なのだから」  僕なんかすぐに飽きるよね、と考えていた沙穂だったが、やがて二人は深い愛情で結ばれてゆく……。

花婿候補は冴えないαでした

いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。 本番なしなのもたまにはと思って書いてみました! ※pixivに同様の作品を掲載しています

ベータですが、運命の番だと迫られています

モト
BL
ベータの三栗七生は、ひょんなことから弁護士の八乙女梓に“運命の番”認定を受ける。 運命の番だと言われても三栗はベータで、八乙女はアルファ。 執着されまくる話。アルファの運命の番は果たしてベータなのか? ベータがオメガになることはありません。 “運命の番”は、別名“魂の番”と呼ばれています。独自設定あり ※ムーンライトノベルズでも投稿しております

とろけてまざる

ゆなな
BL
綾川雪也(ユキ)はオメガであるが発情抑制剤が良く効くタイプであったため上手に隠して帝都大学附属病院に小児科医として勤務していた。そこでアメリカからやってきた天才外科医だという永瀬和真と出会う。永瀬の前では今まで完全に効いていた抑制剤が全く効かなくて、ユキは初めてアルファを求めるオメガの熱を感じて狂おしく身を焦がす…一方どんなオメガにも心動かされることがなかった永瀬を狂わせるのもユキだけで── 表紙素材http://touch.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=55856941

Ωの不幸は蜜の味

grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。 Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。 そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。 何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。 6千文字程度のショートショート。 思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。

偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜

白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。 しかし、1つだけ欠点がある。 彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。 俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。 彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。 どうしたら誤解は解けるんだ…? シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。 書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。

処理中です...