25 / 208
第25話
しおりを挟む暫く言葉を零し続け、漸く口を閉ざす。
冷めた料理を食べて、泣き疲れたのか眠たくなった頃に「風呂に入ろうね」と凪さんに風呂場に連れて行かれる。
「え、一人で入れる……」
「甘えてほしいな」
服を脱がされ、彼も同じように裸になると風呂場に入って髪と体を丁寧に洗われた。
人に洗ってもらうなんて子どもの頃以来で、気持ちよさに余計眠たくなってくる。
「真樹」
湯船に浸かり、名前を呼ばれて彼に近づく。
裸だって事を理解した上で、彼の膝に向かい合って座り首に腕を回した。
「すごく気持ちよかったです。ありがとうございます」
「良かった。」
腰に腕が回され、より密着する。
彼の肩に頬をつけて、目の前にある首筋に鼻をすりすりと擦り付け、ちゅっと唇で触れた。
「明日はどこかに出かけますか……?」
「少しだけ会社に行ってくる。直ぐに戻るよ」
「本当……?」
「ああ。どうかした?」
ギュウっと抱き着く力を強くする。
俺から彼が離れてしまう。ほんの少しの時間でも離れると思うと寂しい。
「好きです……」
けれどそんなことを伝えたら重たくて嫌われそうで、本音を言うのは我慢する。
「好き。凪さん。」
「……可愛い。俺も好きだ。愛してるよ」
顔をあげればキスをされて、自分から舌を伸ばし彼の唇を舐めた。
お互いの舌を絡ませ合い、零れそうな唾液を嚥下する。
唇が離れると、低く濡れた様ないやらしい声で名前を呼ばれた。途端に体がビクビク震えて、前にお尻をさわられて達した時のような感覚が背中を走り抜ける。
「っは、はぁ……っ」
「真樹?」
「ぁ、だめです……呼ばないで、多分、イった、から……」
「名前を呼ばれてイっちゃうの?」
「はぁ……う……」
恥ずかしい。顔を隠すためにまた彼の肩口に顔を埋める。
いやらしい手で腰を撫でられて、ペニスがだんだん熱を持ち始めた。
「もう上がる……!」
「でもこれどうするの?」
ペニスのことも気付かれて、羞恥心で死にそうだ。
「……水で冷やす」
「気持ちよくないだろ」
「いい」
「楽にしてて」
「あっ、ぁ……!」
ペニスに触れた手が射精を促すように動く。
凪さんから離れて逃げようとしたけど、腰に回されている腕が許してくれない。
「ん、やだっ、お湯汚しちゃうから……!」
「お湯の外ならいいの?」
「へ……?」
ザバッと俺を抱いたまま湯船から出た彼は、椅子に座って、休めていた手を再開させる。
高まる射精感を無視できずに欲を吐き出した。
127
お気に入りに追加
1,972
あなたにおすすめの小説

朝起きたら幼なじみと番になってた。
オクラ粥
BL
寝ぼけてるのかと思った。目が覚めて起き上がると全身が痛い。
隣には昨晩一緒に飲みにいった幼なじみがすやすや寝ていた
思いつきの書き殴り
オメガバースの設定をお借りしてます


たしかなこと
大波小波
BL
白洲 沙穂(しらす さほ)は、カフェでアルバイトをする平凡なオメガだ。
ある日カフェに現れたアルファ男性・源 真輝(みなもと まさき)が体調不良を訴えた。
彼を介抱し見送った沙穂だったが、再び現れた真輝が大富豪だと知る。
そんな彼が言うことには。
「すでに私たちは、恋人同士なのだから」
僕なんかすぐに飽きるよね、と考えていた沙穂だったが、やがて二人は深い愛情で結ばれてゆく……。

花婿候補は冴えないαでした
いち
BL
バース性がわからないまま育った凪咲は、20歳の年に待ちに待った判定を受けた。会社を経営する父の一人息子として育てられるなか結果はΩ。 父親を困らせることになってしまう。このまま親に従って、政略結婚を進めて行こうとするが、それでいいのかと自分の今後を考え始める。そして、偶然同じ部署にいた25歳の秘書の孝景と出会った。
本番なしなのもたまにはと思って書いてみました!
※pixivに同様の作品を掲載しています

ベータですが、運命の番だと迫られています
モト
BL
ベータの三栗七生は、ひょんなことから弁護士の八乙女梓に“運命の番”認定を受ける。
運命の番だと言われても三栗はベータで、八乙女はアルファ。
執着されまくる話。アルファの運命の番は果たしてベータなのか?
ベータがオメガになることはありません。
“運命の番”は、別名“魂の番”と呼ばれています。独自設定あり
※ムーンライトノベルズでも投稿しております

とろけてまざる
ゆなな
BL
綾川雪也(ユキ)はオメガであるが発情抑制剤が良く効くタイプであったため上手に隠して帝都大学附属病院に小児科医として勤務していた。そこでアメリカからやってきた天才外科医だという永瀬和真と出会う。永瀬の前では今まで完全に効いていた抑制剤が全く効かなくて、ユキは初めてアルファを求めるオメガの熱を感じて狂おしく身を焦がす…一方どんなオメガにも心動かされることがなかった永瀬を狂わせるのもユキだけで──
表紙素材http://touch.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=55856941

Ωの不幸は蜜の味
grotta
BL
俺はΩだけどαとつがいになることが出来ない。うなじに火傷を負ってフェロモン受容機能が損なわれたから噛まれてもつがいになれないのだ――。
Ωの川西望はこれまで不幸な恋ばかりしてきた。
そんな自分でも良いと言ってくれた相手と結婚することになるも、直前で婚約は破棄される。
何もかも諦めかけた時、望に同居を持ちかけてきたのはマンションのオーナーである北条雪哉だった。
6千文字程度のショートショート。
思いついてダダっと書いたので設定ゆるいです。

偽物の運命〜αの幼馴染はβの俺を愛しすぎている〜
白兪
BL
楠涼夜はカッコよくて、優しくて、明るくて、みんなの人気者だ。
しかし、1つだけ欠点がある。
彼は何故か俺、中町幹斗のことを運命の番だと思い込んでいる。
俺は平々凡々なベータであり、決して運命なんて言葉は似合わない存在であるのに。
彼に何度言い聞かせても全く信じてもらえず、ずっと俺を運命の番のように扱ってくる。
どうしたら誤解は解けるんだ…?
シリアス回も終盤はありそうですが、基本的にいちゃついてるだけのハッピーな作品になりそうです。
書き慣れてはいませんが、ヤンデレ要素を頑張って取り入れたいと思っているので、温かい目で見守ってくださると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる