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第3章
第94話
しおりを挟む智と仲を取り戻してからしばらく。
前期の試験を終えて夏休みが始まった。
そんな中、佑里斗は珍しく琉生に向かいプンスコ怒っている。
「バイト、させてほしい!」
「……」
「体調ももう問題無いし、試験だって終わった! 本当なら夏休みに入る前にはどこで働くか決めたかったのに……」
そう、琉生は佑里斗にバイトしてほしくなくて中々首を縦に振らない。
夏休み前にその話を何度かされたのだが、途中からその話題が嫌になってしまった。
なので少しでもバイトの話が出そうになると逃げるように話題を変えていたのである。
「だってさ……」
「?」
「……バイト始めたら、時間のある限りシフト詰め込んだりするんだろ」
「え、そりゃあ折角時間があるし……」
琉生は唇をへの字に歪ませると、「それが嫌」と拗ねたように言う。
「折角休みで一日一緒にいられる日が多くなるのに、バイトばっかりで朝早くから夜遅くまで毎日のように家に居ないかもしれないって思うと……嫌だ」
「……琉生」
「なに」
佑里斗はキョトンとした後、彼の名前を呼んで小首を傾げる。
「もしかして、寂しい?」
「……もしかしなくてもそうだけど」
素直に答えた彼に佑里斗はムフフと笑う。
機嫌よく琉生の手を取りそのまま甘えるように擦り寄れば、琉生は鼻の上に皺を作り少し不満そうな顔をする。
「寂しいんだ? ふふ」
「……俺だけがそうみたいですね」
「そういうわけじゃないんだけどね」
苦笑した佑里斗は、琉生を抱きしめて「だってね」と少し明るい声を出す。
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