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第2章
第54話
しおりを挟むいつも通り一人で登校した佑里斗は、お昼に琉生とランチをするという事が楽しみでルンルン気分で構内を歩いていた。
好き嫌いは特にない。ただ琉生が好きなものを一緒に食べられるのが嬉しい。
「おはよ」
「あ、おはよう」
講義室に向かう道すがら、声をかけられて振り返れば智がいた。
眠たそうな表情に「寝不足?」と聞けば、こくこく頷いて返事をする。
「バイトで結構遅くて」
「バイト……」
「お前は? バイトしてんの?」
「今はしてない」
というのも、これまで何度かアルバイトを再開しようと琉生に話を持ちかけても中々許可が降りないのである。
まだ全快したわけじゃないだろう、また倒れたらどうするんだ、と言われると確かにそうだ何も言えなくて。
発情期の時、一週間も大学に行けなかったせいで周りに追いつくのに大変だった。
もしまた倒れたら、その分勉強の面で周りに置いていかれてしまうのではと不安だ。
そして間違いなく琉生に迷惑をかける。
佑里斗は琉生に迷惑をかけるのがとにかく嫌だった。
「前はしてた?」
「うん。大学に来ている時以外は殆どずっと」
「え゛……ずっと?」
「ずっと。本当に夜中まで働いたよ。それで倒れちゃって、今先輩にお世話になってるんだ」
「ああ、ルームシェアね」
「うん」
講義室に着いて席に座る。
準備をしていると智の友人が次々と佑里斗達の周りを囲うようにして席に座った。
「今日昼飯どっか行こ」
誰かがそう言うと、周りはどこに行くかと話をし始める。
「高津は?」
「え、」
「昼飯、どうする?」
そう聞かれた佑里斗は「あ……」と言って苦笑する。
「先約があって」
「そっか、じゃあしゃーない」
「ごめんね」
そう言うと皆「また今度行こうぜ」と言ってくれて有難かったのだが、智は「また美澄先輩?」と先程とは違い若干拗ねた様子で聞いてくる。
「うん」
「……一緒に暮らしてんだからこっち優先したって良くね?」
「ご、ごめん」
「いいけど」
「え、高津って美澄先輩と暮らしてんの!?」
まさか今、智がその事を言うとは思わなかった。
周りにいた同級生達は興味深そうに「なんで!?」と詰め寄ってくる。
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