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第1章
第6話
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◇◇◇
大学での移動途中、目の前でフラフラ歩いていたのが佑里斗だ。
あいつ、大丈夫か……? と思っていたところ、彼がいきなり倒れたものだから驚いた。
琉生はすぐに駆け寄り、声を掛けたが反応がなく、慌てて医務室に運んだのが今日の出来事。
こっちに寝かせてと校医に言われて寝かせた時、ちらりと項に噛み跡があるのを見て、佑里斗がオメガということを知った。
校医は佑里斗を診ると寝不足で倒れたのだろうと言う。
このまま寝かせてあげていいよと言われたので、自分の講義が終わったら迎えに来ると伝え、琉生は講義室に行き、全ての授業が終えると医務室に戻ったのだが。
戻ってきても佑里斗はまだ眠っていた。
けれど、少しだけ顔色が良くなった気がする。
琉生はそうして彼起きるまでじっと待っていた。
◇◇◇
琉生はお腹いっぱいになって幸せそうに微笑んでいる佑里斗に、何故だか思わず手を伸ばしそうになった。
グッと堪えて「もう食べない?」と聞く。
「はい。すごくお腹いっぱいです。もう何も入らない」
「そうか」
「久しぶりにこんなに食べたかも。最近はずっともやしばっかりだったので」
「……節約のため?」
「はい。でもたまに豆腐とかコンニャクとかも食べてたな。コンニャクをステーキにするんです」
琉生は佑里斗がニコニコしながら話すのを聞いて、少し寂しい気持ちになる。
きっと元番と一緒に暮らしていた時は、しっかり食事や睡眠をとっていただろうに、と思って。
どうして番を解消するという、普通では考えられないことになったのかはわからない。
なぜなら、琉生は佑里斗の元番と同じ"アルファ"で、オメガである佑里斗は庇護対象だからだ。
一部のアルファやベータは何かを勘違いしている。
オメガは決して虐げられるような対象ではない。
それなのに毎日のニュースでは、オメガ関する事件が報道され、何か不都合が起きれば彼らせいになる。
そもそも、希少であるのは同じなのにアルファだけを大切にし、オメガを大切にしないその感覚が琉生にはわからなかった。
だからまさか、番になるという奇跡にも近いことが起きたのに、それを自らの手で手放す馬鹿が存在していることに驚きを隠せない。
食事を終え、車に戻った二人。
佑里斗は明るく「ご馳走様でした!」と琉生に微笑みかける。
またどこかに連れて行ってやろうと、助手席に座る佑里斗をチラリ盗み見た琉生は、切なそうに外を見る彼にむかい、思わず口を開いていた。
大学での移動途中、目の前でフラフラ歩いていたのが佑里斗だ。
あいつ、大丈夫か……? と思っていたところ、彼がいきなり倒れたものだから驚いた。
琉生はすぐに駆け寄り、声を掛けたが反応がなく、慌てて医務室に運んだのが今日の出来事。
こっちに寝かせてと校医に言われて寝かせた時、ちらりと項に噛み跡があるのを見て、佑里斗がオメガということを知った。
校医は佑里斗を診ると寝不足で倒れたのだろうと言う。
このまま寝かせてあげていいよと言われたので、自分の講義が終わったら迎えに来ると伝え、琉生は講義室に行き、全ての授業が終えると医務室に戻ったのだが。
戻ってきても佑里斗はまだ眠っていた。
けれど、少しだけ顔色が良くなった気がする。
琉生はそうして彼起きるまでじっと待っていた。
◇◇◇
琉生はお腹いっぱいになって幸せそうに微笑んでいる佑里斗に、何故だか思わず手を伸ばしそうになった。
グッと堪えて「もう食べない?」と聞く。
「はい。すごくお腹いっぱいです。もう何も入らない」
「そうか」
「久しぶりにこんなに食べたかも。最近はずっともやしばっかりだったので」
「……節約のため?」
「はい。でもたまに豆腐とかコンニャクとかも食べてたな。コンニャクをステーキにするんです」
琉生は佑里斗がニコニコしながら話すのを聞いて、少し寂しい気持ちになる。
きっと元番と一緒に暮らしていた時は、しっかり食事や睡眠をとっていただろうに、と思って。
どうして番を解消するという、普通では考えられないことになったのかはわからない。
なぜなら、琉生は佑里斗の元番と同じ"アルファ"で、オメガである佑里斗は庇護対象だからだ。
一部のアルファやベータは何かを勘違いしている。
オメガは決して虐げられるような対象ではない。
それなのに毎日のニュースでは、オメガ関する事件が報道され、何か不都合が起きれば彼らせいになる。
そもそも、希少であるのは同じなのにアルファだけを大切にし、オメガを大切にしないその感覚が琉生にはわからなかった。
だからまさか、番になるという奇跡にも近いことが起きたのに、それを自らの手で手放す馬鹿が存在していることに驚きを隠せない。
食事を終え、車に戻った二人。
佑里斗は明るく「ご馳走様でした!」と琉生に微笑みかける。
またどこかに連れて行ってやろうと、助手席に座る佑里斗をチラリ盗み見た琉生は、切なそうに外を見る彼にむかい、思わず口を開いていた。
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