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多すぎる護衛
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騎士達は姿勢を正して直立しつつマリアローゼに頭を下げ、ノクスが素早く先回りして、扉を開けた。
「ご苦労様です」
マリアローゼは軽く膝を屈してお辞儀をして、部屋の中に入った。
正面は応接間の様で、部屋の中央には長机と長椅子2脚と一人用の椅子2脚で、机をぐるっと囲んでいる。
その奥の窓際には執務机と椅子が誂えられていた。
左側の扉をあけると廊下が有り、右側と正面に扉がついている。
右側をあけると浴室、奥の扉を開けると寝室になっていた。
「反対側も見て参りますわ」
奥の部屋で荷解きを始めたルーナに声をかけると、ルーナはこっくりと頷いて、オリーヴェに視線を移し、オリーヴェはぺこりと会釈をしてマリアローゼの後ろに続いた。
反対側も同じ様な作りになっていて、お風呂と寝室があり、寝室には簡素なベッドが4つ程並んでいて、同じだけの箪笥や机が置いてある。
「こちらはマリアローゼ様付きの、女性の護衛の方に割り当てられたお部屋でございます」
「そうなのですね。男性の騎士さまのお部屋は別にございますの?」
「はい。正面のお部屋が男性の騎士様の詰め所となっております。近侍となられる御三方の他に、常に20人程入れ替わりで護衛に務めさせて頂きます」
(に、20人……!?)
マリアローゼはその人数に驚愕した。
(幾ら何でも過保護が過ぎるというものではないかしら……?)
顔にうっかり出てしまったのか、オリーヴェが優しく微笑んだ。
「この領地には10万近い兵士と、1000人程の騎士様や見習い騎士様がおりますれば、マリアローゼ様の護衛というのは余りある栄誉な職務なのです」
「まあ……オリーヴェ、沢山勉強致しましたのね。わかりましたわ」
沢山の従業員を抱えるという事は、その生活を公爵家が支えているという事に他ならない。
多すぎる…!等と言って、勝手に解雇も拒否もできないのだ。
それが地位に付随する義務なのである。
マリアローゼは重々しくこくりと頷いた。
(でも、どこまで護衛に付いていらっしゃるのかしら?)
よくよく考えたら、物凄く邪魔である。
護ってもらうのに失礼と言えば失礼なのだが、街へ行った時に鎧姿の20人に付き添われたら…と思うと、まるで満員電車の中ではないか、としょんぼりと眉を下げる。
「お屋敷にいる時だけですわよね?まさかその人数で何処に行くにも付いて回られる訳では……」
「申し訳御座いません、お嬢様。お屋敷の外での警備につきましては、寡聞にして存じ上げません」
逆にオリーヴェをしょんぼりとさせてしまって、マリアローゼは慌てて両手を振った。
「いえ、そうですわよね!その事については後でレイ様に直接お伺い致しますわ。オリーヴェがあまりに立派に成長したので、無理な質問までしてしまいましたわ。気を悪くしないでね?」
「そ、そんな、私如きに、畏れ多いお言葉です」
上目遣いで済まなそうにマリアローゼに微笑まれて、オリーヴェは頬を染めて、ぺこぺこ会釈を繰り返した。
そんな遣り取りをしていると、応接間の方からひょっこりルーナが顔を覗かせる。
「お嬢様、階下へ挨拶に参られますか?」
「ええ、参りましょう。それからマリーちゃん達の様子も見なくては!」
意気揚々と歩き出すマリアローゼに釣られて、オリーヴェとルーナも微笑を交わし、その後に続いた。
「ご苦労様です」
マリアローゼは軽く膝を屈してお辞儀をして、部屋の中に入った。
正面は応接間の様で、部屋の中央には長机と長椅子2脚と一人用の椅子2脚で、机をぐるっと囲んでいる。
その奥の窓際には執務机と椅子が誂えられていた。
左側の扉をあけると廊下が有り、右側と正面に扉がついている。
右側をあけると浴室、奥の扉を開けると寝室になっていた。
「反対側も見て参りますわ」
奥の部屋で荷解きを始めたルーナに声をかけると、ルーナはこっくりと頷いて、オリーヴェに視線を移し、オリーヴェはぺこりと会釈をしてマリアローゼの後ろに続いた。
反対側も同じ様な作りになっていて、お風呂と寝室があり、寝室には簡素なベッドが4つ程並んでいて、同じだけの箪笥や机が置いてある。
「こちらはマリアローゼ様付きの、女性の護衛の方に割り当てられたお部屋でございます」
「そうなのですね。男性の騎士さまのお部屋は別にございますの?」
「はい。正面のお部屋が男性の騎士様の詰め所となっております。近侍となられる御三方の他に、常に20人程入れ替わりで護衛に務めさせて頂きます」
(に、20人……!?)
マリアローゼはその人数に驚愕した。
(幾ら何でも過保護が過ぎるというものではないかしら……?)
顔にうっかり出てしまったのか、オリーヴェが優しく微笑んだ。
「この領地には10万近い兵士と、1000人程の騎士様や見習い騎士様がおりますれば、マリアローゼ様の護衛というのは余りある栄誉な職務なのです」
「まあ……オリーヴェ、沢山勉強致しましたのね。わかりましたわ」
沢山の従業員を抱えるという事は、その生活を公爵家が支えているという事に他ならない。
多すぎる…!等と言って、勝手に解雇も拒否もできないのだ。
それが地位に付随する義務なのである。
マリアローゼは重々しくこくりと頷いた。
(でも、どこまで護衛に付いていらっしゃるのかしら?)
よくよく考えたら、物凄く邪魔である。
護ってもらうのに失礼と言えば失礼なのだが、街へ行った時に鎧姿の20人に付き添われたら…と思うと、まるで満員電車の中ではないか、としょんぼりと眉を下げる。
「お屋敷にいる時だけですわよね?まさかその人数で何処に行くにも付いて回られる訳では……」
「申し訳御座いません、お嬢様。お屋敷の外での警備につきましては、寡聞にして存じ上げません」
逆にオリーヴェをしょんぼりとさせてしまって、マリアローゼは慌てて両手を振った。
「いえ、そうですわよね!その事については後でレイ様に直接お伺い致しますわ。オリーヴェがあまりに立派に成長したので、無理な質問までしてしまいましたわ。気を悪くしないでね?」
「そ、そんな、私如きに、畏れ多いお言葉です」
上目遣いで済まなそうにマリアローゼに微笑まれて、オリーヴェは頬を染めて、ぺこぺこ会釈を繰り返した。
そんな遣り取りをしていると、応接間の方からひょっこりルーナが顔を覗かせる。
「お嬢様、階下へ挨拶に参られますか?」
「ええ、参りましょう。それからマリーちゃん達の様子も見なくては!」
意気揚々と歩き出すマリアローゼに釣られて、オリーヴェとルーナも微笑を交わし、その後に続いた。
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