悪役令嬢? 何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く

ひよこ1号

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探検したいお嬢様

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ふああむ、と大きな欠伸を手で覆い隠し、涙目でルーナを見ると、ルーナはこくん、と頷いた。
布を手に足元に跪き、陶器に満たされたお湯からマリアローゼの足を掬い上げると、柔らかい布でしっかりと水滴を
拭き取っていく。
それに合わせて、小間使い達も陶器の湯や台を片付け始めた。
ルーナが足を拭き終わると、マリアローゼは足をベッドに潜り込ませる。

「皆さま、ありがとうございました。お陰で旅の疲れが取れましたわ。お休みなさい」
「お休みなさいませ」

小間使い達は嬉しそうに、頬を上気させてお辞儀をすると、部屋を出て行く。
それを見送ってから、マリアローゼはぽふん、と大きな枕に身を預けた。
ルーナが掛け布団を引き上げて、マリアローゼを覆う。

「ルーナとノクスも、サンドイッチを食べてね…お休みなさい」
「お休みなさいませ、お嬢様」

笑顔で頷いたルーナを最後に、マリアローゼは意識を手放した。


目が覚めると、部屋は夕暮れに染まっている。
ふあ、と欠伸をしつつ、伸びをしてマリアローゼは辺りを見回した。

「お目覚めですね、お嬢様。そろそろ晩餐の準備を致しましょう」
「ん……ええ」

もぞもぞと起き上がったマリアローゼは、ルーナの持ってきてくれた紅茶に口をつけた。

甘くて美味しい…。

「ユリアさんとカンナさんは続き部屋のほうで待機されてます。ウルススさんとグランスさんとパーウェルさんは騎士団の訓練に参加されていて、終り次第こちらに参られます」
「ルーナとノクスも休憩出来まして?」

ルーナの報告に頷いて、マリアローゼが問いかける。
笑顔でルーナも頷き返した。

「お嬢様がお休みになられた後、カンナ様達にここをお任せして、階下に行って参りました。
お嬢様からの贈り物を皆さんにお渡しして、休憩もして参りました」
「まあ、有難う。ここの皆さんにもお世話になりますものね。わたくしも晩餐が終ったら挨拶に伺いますわ」
「とても良い方達なので歓迎してくださると存じます」

言葉を交した小間使い達は確かに皆優しかったので、マリアローゼはこくん、ルーナの言葉に頷く。
着替えをしながら見る窓からの眺めは、大きな庭とそれを取り囲むように森が広がっている。
木々に遮られて町の明かりは見えないが、狩猟場として機能しそうな程広大な森なのだろう。

いつか探検したいですわ、とマリアローゼは微笑んだ。
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