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ゼリーとプリンはあるけど、トマトは?
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「あの、今のはただの、憶測で、推論でしかありません!決して、正確な情報ではございませんので…」
「推論とはいえ、素晴らしいよマリアローゼ」
頬を上気させて、知識欲の権化のキースが太鼓判を押す。
ノアークもこくりと力強く頷いた。
「……ローゼは凄い」
いやぁぁぁ褒め殺しタイムは勘弁してくださいませ!
「いえ、あの、レイ様もご存知ですのよ!ね?レイ様??」
慌ててジェレイドを振り仰いで助けを求めるが、ジェレイドはうっとりとした目を向けている。
「こんなに可憐で美しいのに、才女でもあるなんて、天使かな??」
相変わらず言葉すら通じていないのである。
「ふふ、ローゼの素晴らしさはこの世界に生まれてきた事ですわよ。さあさあ、ご飯に致しましょう」
母の助け舟に乗り、何とか褒め殺しから抜け出したマリアローゼは、昼食を嬉しそうに食べ始めた。
甘える双子に、新しい玩具を与えて慰めようとしただけなのだけれど、思ったより大事になってしまったのである。
美味しいスープとサンドイッチを平らげて、食後のゼリーを食べつつマリアローゼは首を傾げた。
ユリアを見ると、ほわわーと嬉しそうにゼリーを頬張っている。
「ユリアさんもゼリーが好きなのですか?」
「はい、大好きです!公爵家でしか食べれませんし!」
「えっ?」
マリアローゼは、食後によく出てくるものだから、ゼリーやプリンは一般的なのかと思っていたのだ。
「プリンはありますよ、もっと雑味は多いですけど、材料ぶち込んで蒸すだけですからね」
身も蓋もない言い方だが、それで間違いはない。
転生者がいなかったとしても、何れ生み出される菓子である事は間違いないのだ。
「でもゼリーは…えーと羊羹ぽい食感の物はありますけど、こんなぷるっぷるのつやつやなゼリーは無いです」
「そうですのね……」
羊羹だったら、寒天…天草から作れるものだろう。
植物性だから、菓子に使うのも難しくはない。
動物性のゼラチンは、魚や肉を煮た時にぷるぷるに固まる煮凝りで、動物特有の臭いも含んでいる。
ゼリーはゼラチンからなので、匂いを除去して効果を得る手法を知っていなければお菓子に転用は出来ない。
ジェレイドを見上げると、ふふっとジェレイドが悪戯っぽく笑った。
「バレたか~。領地の特産にしようと思って開発してたんだ。牧畜はフォルティス家に任せてるんだけど、うちで牛の骨から加工してゼラチンを作っているんだよ。そのうちフォルティスに技術ごと受け渡す予定がある。
君がその内レストランを始めると思ってね」
「それも未来予知、ですの?」
「そういう事かもね」
最後は濁して、片目を瞑ってみせる。
相変わらず胡散臭さ満点のジェレイドに、マリアローゼは唇を尖らせた。
「全部が見えてた訳じゃないし、君は君の好きなように生きていいんだよ、ローゼ。
でも一朝一夕にはいかない技術もあるだろう?例えばそう、てんさい糖とかね?」
何もかも掌の上で、マリアローゼが考え付きそうな技術は残してあったのかと思うと、微妙に悔しくもあったのだが、ジェレイドの言うとおり、何もかもをマリアローゼが賄えるわけではない。
だが、そんな悔しさを吹き飛ばす言葉に、マリアローゼは嬉しげに問いかけた。
「ま、まさか!?…ではトマトもございますの!??」
「いや、無い」
気になっていたトマトは無いと笑顔で即答されて、マリアローゼは伸ばした背を縮めた。
しょんぼりする5歳児なのである。
「推論とはいえ、素晴らしいよマリアローゼ」
頬を上気させて、知識欲の権化のキースが太鼓判を押す。
ノアークもこくりと力強く頷いた。
「……ローゼは凄い」
いやぁぁぁ褒め殺しタイムは勘弁してくださいませ!
「いえ、あの、レイ様もご存知ですのよ!ね?レイ様??」
慌ててジェレイドを振り仰いで助けを求めるが、ジェレイドはうっとりとした目を向けている。
「こんなに可憐で美しいのに、才女でもあるなんて、天使かな??」
相変わらず言葉すら通じていないのである。
「ふふ、ローゼの素晴らしさはこの世界に生まれてきた事ですわよ。さあさあ、ご飯に致しましょう」
母の助け舟に乗り、何とか褒め殺しから抜け出したマリアローゼは、昼食を嬉しそうに食べ始めた。
甘える双子に、新しい玩具を与えて慰めようとしただけなのだけれど、思ったより大事になってしまったのである。
美味しいスープとサンドイッチを平らげて、食後のゼリーを食べつつマリアローゼは首を傾げた。
ユリアを見ると、ほわわーと嬉しそうにゼリーを頬張っている。
「ユリアさんもゼリーが好きなのですか?」
「はい、大好きです!公爵家でしか食べれませんし!」
「えっ?」
マリアローゼは、食後によく出てくるものだから、ゼリーやプリンは一般的なのかと思っていたのだ。
「プリンはありますよ、もっと雑味は多いですけど、材料ぶち込んで蒸すだけですからね」
身も蓋もない言い方だが、それで間違いはない。
転生者がいなかったとしても、何れ生み出される菓子である事は間違いないのだ。
「でもゼリーは…えーと羊羹ぽい食感の物はありますけど、こんなぷるっぷるのつやつやなゼリーは無いです」
「そうですのね……」
羊羹だったら、寒天…天草から作れるものだろう。
植物性だから、菓子に使うのも難しくはない。
動物性のゼラチンは、魚や肉を煮た時にぷるぷるに固まる煮凝りで、動物特有の臭いも含んでいる。
ゼリーはゼラチンからなので、匂いを除去して効果を得る手法を知っていなければお菓子に転用は出来ない。
ジェレイドを見上げると、ふふっとジェレイドが悪戯っぽく笑った。
「バレたか~。領地の特産にしようと思って開発してたんだ。牧畜はフォルティス家に任せてるんだけど、うちで牛の骨から加工してゼラチンを作っているんだよ。そのうちフォルティスに技術ごと受け渡す予定がある。
君がその内レストランを始めると思ってね」
「それも未来予知、ですの?」
「そういう事かもね」
最後は濁して、片目を瞑ってみせる。
相変わらず胡散臭さ満点のジェレイドに、マリアローゼは唇を尖らせた。
「全部が見えてた訳じゃないし、君は君の好きなように生きていいんだよ、ローゼ。
でも一朝一夕にはいかない技術もあるだろう?例えばそう、てんさい糖とかね?」
何もかも掌の上で、マリアローゼが考え付きそうな技術は残してあったのかと思うと、微妙に悔しくもあったのだが、ジェレイドの言うとおり、何もかもをマリアローゼが賄えるわけではない。
だが、そんな悔しさを吹き飛ばす言葉に、マリアローゼは嬉しげに問いかけた。
「ま、まさか!?…ではトマトもございますの!??」
「いや、無い」
気になっていたトマトは無いと笑顔で即答されて、マリアローゼは伸ばした背を縮めた。
しょんぼりする5歳児なのである。
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