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キスの意味は
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次にキースが机越しに身を乗り出したので、マリアローゼもキースに身体を近づけると、髪にそっとキスを落とされる。
「これからも、ちゃんと守りますからね」
「ありがとう存じます、キースお兄様。頼りにしておりますわ」
そして最後のボス……シルヴァインは屈託のない笑みを見せている。
「俺はどこにしようかなー…全員と違うところがいいなぁ」
不穏な空気を感じて、マリアローゼはとりあえず口を両手で防御した。
だが、シルヴァインはそれを特に気にした風も無く、くい、と顎を掴んで顔を上向かせる。
そ、そ、そういう行動が女たらしなのですわ!!!!!
「さあ、目を閉じて、ローゼ」
言われなくても、間近に顔があったら直視する勇気はありません!!!
ともいえずに、マリアローゼはぎゅっと目を閉じている。
ちゅ、と唇が触れたのは瞼だった。
そして、力を抜きかけた時、もう片方の瞼にもちゅ、とキスを落とされる。
「あ……2回、2回は反則ですわ……!!」
目を開けられないまま、口から手を外して抗議するが、笑われただけだった。
「そういうルールは最初に決めておかないとね」
最近色々あっただけに、唇をガードしてしまって、逆に意識をしているようで恥ずかしくなったマリアローゼは、顔を薔薇色に染めたまま、シルヴァインを睨んだ。
「ローゼ、悩んでも仕方ない事は悩まなくてもいい。解決してほしいなら俺達に相談して」
ああ、そうか。
浮かない顔をしていたから、元気付けてくれたのですね……
いや、違う。
多少……かなり、楽しんでいた部分はあったはず。
流されそうになりつつ、それでも兄の言葉は真実なので、マリアローゼはこくん、と頷いた。
「確かに仰るとおりです。遠慮なく頼らせて頂きますわ」
そして、マリアローゼはノクスとルーナに向き直る。
「さあ、頑張ったのですからノクスとルーナも、わたくしにキスをしていいですわよ」
自分で言っておいて、マリアローゼは何て上から目線な要求をしているのかしら?と混乱した。
勢いで言ってしまったのである。
兄達は反対するかと思いきや、興味が勝ったようで、侍女と侍従である二人をじっと見ている。
ルーナは、薄っすらと頬を染めてこくん、と頷くと、マリアローゼの頬にそっと、唇を押し当てた。
「これからも、ルーナはお嬢様の為に頑張ります」
にっこりと笑って、マリアローゼも微笑み返した。
ルーナがノクスの為に身体を退けると、ノクスはマリアローゼの手を掬い上げて、手の甲に触れるだけのキスを落とす。
「私も、お嬢様の為に精進する所存で御座います」
と、侍従らしいきちんとした佇まいに、兄弟もマリアローゼも感心したように頷いたが、ルーナだけは顔を真っ赤に、トマトのように真っ赤に染めている。
「あ、あの、私、……失礼な事を……」
手、という選択肢を忘れていたからだろうか?
流石に兄達がくすくすと笑うと、ルーナは固く目を瞑ってしまった。
「ルーナ、ルーナはわたくしのルーナなのですから、何処にキスしてもいいのですよ」
そう言いながら、マリアローゼは赤く染まったルーナの頬に唇を押し当てる。
「ね?ルーナ」
驚いたように目を開けたルーナに、マリアローゼが微笑むと、漸くルーナも頷いてはにかんだ。
「はい、お嬢様」
「これからも、ちゃんと守りますからね」
「ありがとう存じます、キースお兄様。頼りにしておりますわ」
そして最後のボス……シルヴァインは屈託のない笑みを見せている。
「俺はどこにしようかなー…全員と違うところがいいなぁ」
不穏な空気を感じて、マリアローゼはとりあえず口を両手で防御した。
だが、シルヴァインはそれを特に気にした風も無く、くい、と顎を掴んで顔を上向かせる。
そ、そ、そういう行動が女たらしなのですわ!!!!!
「さあ、目を閉じて、ローゼ」
言われなくても、間近に顔があったら直視する勇気はありません!!!
ともいえずに、マリアローゼはぎゅっと目を閉じている。
ちゅ、と唇が触れたのは瞼だった。
そして、力を抜きかけた時、もう片方の瞼にもちゅ、とキスを落とされる。
「あ……2回、2回は反則ですわ……!!」
目を開けられないまま、口から手を外して抗議するが、笑われただけだった。
「そういうルールは最初に決めておかないとね」
最近色々あっただけに、唇をガードしてしまって、逆に意識をしているようで恥ずかしくなったマリアローゼは、顔を薔薇色に染めたまま、シルヴァインを睨んだ。
「ローゼ、悩んでも仕方ない事は悩まなくてもいい。解決してほしいなら俺達に相談して」
ああ、そうか。
浮かない顔をしていたから、元気付けてくれたのですね……
いや、違う。
多少……かなり、楽しんでいた部分はあったはず。
流されそうになりつつ、それでも兄の言葉は真実なので、マリアローゼはこくん、と頷いた。
「確かに仰るとおりです。遠慮なく頼らせて頂きますわ」
そして、マリアローゼはノクスとルーナに向き直る。
「さあ、頑張ったのですからノクスとルーナも、わたくしにキスをしていいですわよ」
自分で言っておいて、マリアローゼは何て上から目線な要求をしているのかしら?と混乱した。
勢いで言ってしまったのである。
兄達は反対するかと思いきや、興味が勝ったようで、侍女と侍従である二人をじっと見ている。
ルーナは、薄っすらと頬を染めてこくん、と頷くと、マリアローゼの頬にそっと、唇を押し当てた。
「これからも、ルーナはお嬢様の為に頑張ります」
にっこりと笑って、マリアローゼも微笑み返した。
ルーナがノクスの為に身体を退けると、ノクスはマリアローゼの手を掬い上げて、手の甲に触れるだけのキスを落とす。
「私も、お嬢様の為に精進する所存で御座います」
と、侍従らしいきちんとした佇まいに、兄弟もマリアローゼも感心したように頷いたが、ルーナだけは顔を真っ赤に、トマトのように真っ赤に染めている。
「あ、あの、私、……失礼な事を……」
手、という選択肢を忘れていたからだろうか?
流石に兄達がくすくすと笑うと、ルーナは固く目を瞑ってしまった。
「ルーナ、ルーナはわたくしのルーナなのですから、何処にキスしてもいいのですよ」
そう言いながら、マリアローゼは赤く染まったルーナの頬に唇を押し当てる。
「ね?ルーナ」
驚いたように目を開けたルーナに、マリアローゼが微笑むと、漸くルーナも頷いてはにかんだ。
「はい、お嬢様」
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