悪役令嬢? 何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く

ひよこ1号

文字の大きさ
上 下
234 / 357
連載

美しい兄達と

しおりを挟む
旅行の準備に加えて、突然のお茶会の準備に追われて、使用人達は大変だったに違いない。
朝食を終えて、ドレスを着付けてもらいながら、マリアローゼは庭で動き回る彼らを眺めた。
朝から天気も良く、庭には初夏の日差しが降り注いでいる。
料理や菓子を並べる天幕が作られ、所々にテーブルやベンチが設えられている。

今回は子供達が主役のお茶会なので、子供達は立食、母達は少し離れた天幕の下でお茶会となる様子が庭からは見て取れた。

「どんな方々がいらっしゃるのか、少し楽しみですわね」

「お嬢様に悪い虫がつかないかユリアは心配ですよ!!!」

ふんすふんすと鼻息荒く、ユリアが窓辺から一緒に庭を見下ろしながら言った。

「まあ……大丈夫だと思いますけれど……」

「何も大丈夫じゃないですよ。マリアローゼ様はこんなにも愛らしく、可愛らしく……カワヨ……」

説明している内に、ほわほわとユリアの顔が笑み崩れた。
その様子を見て、マリアローゼは苦笑する。

「有難う存じます。そんなに褒めてくださって。今日は色々な方がいらっしゃいますから、きっと他にも可愛らしい令嬢が沢山いらっしゃいますわ」

「マリアローゼ様を越える令嬢は絶対にいませんよ!」

ユリアには確固たる自信がある様だ。
マリアローゼは同意するようにこくこくと頷くルーナを見るが、何も言わずにこく、と後押しするように頷かれた。
絶対の信頼を裏切らないように、頑張ろう……とマリアローゼは重圧を感じながらも微笑み返した。

用意を終えて、階下に降りて行くと、既に玄関ホールには兄達が集っていた。
改めて見ると、かなり壮観である。
着飾った兄達は、それはそれは其々違う魅力に溢れていて、立ち絵として完璧なのである。
金の髪にアイスブルーの瞳のシルヴァインは、長兄だけあって、1人だけ立派な大人の体躯をしている。
着こなしも白と青を基調にした派手すぎないが爽やかな出で立ちだ。
次男のキースは父に似た冷たそうな美貌で、線は細そうだが兄と共に鍛えてはいるので、背は平均より高い。
紺色と銀を基調にした、明るい色で溢れる会場では逆に目立ちそうな装いである。
双子の兄はそれぞれ赤に青の差し色、青に赤の差し色という、真逆の色を使いながら同じ意匠の服を着ている。
髪と眼の色に合わせていて、少し派手だが良く似合っている。
すぐ上の兄のノアークは、黒と白を基調として、金糸の刺繍で装っている。
落ち着いた色が好きな分、金糸で均衡をとっているようで、とてもかっこいい。
普段は前髪を垂らしているが、今日は上げて後ろに流しているのも普段と違ってとてもいい。

スチル回収と騒ぎまくっていたかつての妹を思い出すと、懐かしさに頬が緩んだ。
全員が、嬉しそうな笑顔を向けてくれて、マリアローゼは幸せな気持ちで兄達の輪に入って行った。

「お兄様達、とても素敵ですわ」

「妖精より美しいよ、俺のお姫様」

早速シルヴァインが大仰に跪いて、マリアローゼの手を取ると甲に口付ける。

「綺麗ですよ、マリアローゼ」

やや視線を逸らしつつも、頬を染めてキースが褒めてくれた。

「可愛いローゼ」
「凄く可愛い」

双子は何度も口にしながら、両側からマリアローゼを抱きしめる。

「ほっぺにならキスしてもいーい?」
「いいよね?ローゼ」

「パーティーが終るまで、悪戯で騒ぎを起こさなかったら考えて差し上げます」

笑顔で言うと、頭の上で顔を見合わせた双子がくすくすと笑っている。

「……似合っている」

目が合うと、照れくさそうにノアークはそれだけ呟いた。
マリアローゼも嬉しそうに微笑んで、するりとノアークの腕に手を回した。

「わたくし、今日はノアークお兄様にエスコートして頂きますわ」
しおりを挟む
❤キャライメージはPixivにあるので、宜しければご覧になって下さいませ
感想 135

あなたにおすすめの小説

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

(完結)もふもふと幼女の異世界まったり旅

あかる
ファンタジー
死ぬ予定ではなかったのに、死神さんにうっかり魂を狩られてしまった!しかも証拠隠滅の為に捨てられて…捨てる神あれば拾う神あり? 異世界に飛ばされた魂を拾ってもらい、便利なスキルも貰えました! 完結しました。ところで、何位だったのでしょう?途中覗いた時は150~160位くらいでした。応援、ありがとうございました。そのうち新しい物も出す予定です。その時はよろしくお願いします。

子持ち主婦がメイドイビリ好きの悪役令嬢に転生して育児スキルをフル活用したら、乙女ゲームの世界が変わりました

あさひな
ファンタジー
二児の子供がいるワーキングマザーの私。仕事、家事、育児に忙殺され、すっかりくたびれた中年女になり果てていた私は、ある日事故により異世界転生を果たす。 転生先は、前世とは縁遠い公爵令嬢「イザベル・フォン・アルノー」だったが……まさかの乙女ゲームの悪役令嬢!? しかも乙女ゲームの内容が全く思い出せないなんて、あんまりでしょ!! 破滅フラグ(攻略対象者)から逃げるために修道院に逃げ込んだら、子供達の扱いに慣れているからと孤児達の世話役を任命されました。 そりゃあ、前世は二児の母親だったので、育児は身に染み付いてますが、まさかそれがチートになるなんて! しかも育児知識をフル活用していたら、なんだか王太子に気に入られて婚約者に選ばれてしまいました。 攻略対象者から逃げるはずが、こんな事になるなんて……! 「貴女の心は、美しい」 「ベルは、僕だけの義妹」 「この力を、君に捧げる」 王太子や他の攻略対象者から執着されたり溺愛されながら、私は現世の運命に飲み込まれて行くーー。 ※なろう(現在非公開)とカクヨムで一部掲載中

うたた寝している間に運命が変わりました。

gacchi
恋愛
優柔不断な第三王子フレディ様の婚約者として、幼いころから色々と苦労してきたけど、最近はもう呆れてしまって放置気味。そんな中、お義姉様がフレディ様の子を身ごもった?私との婚約は解消?私は学園を卒業したら修道院へ入れられることに。…だったはずなのに、カフェテリアでうたた寝していたら、私の運命は変わってしまったようです。

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?

おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました! 皆様ありがとうございます。 「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」 眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。 「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」 ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。 ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視 上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

私の家族はハイスペックです! 落ちこぼれ転生末姫ですが溺愛されつつ世界救っちゃいます!

りーさん
ファンタジー
 ある日、突然生まれ変わっていた。理由はわからないけど、私は末っ子のお姫さまになったらしい。 でも、このお姫さま、なんか放置気味!?と思っていたら、お兄さんやお姉さん、お父さんやお母さんのスペックが高すぎるのが原因みたい。 こうなったら、こうなったでがんばる!放置されてるんなら、なにしてもいいよね! のんびりマイペースをモットーに、私は好きに生きようと思ったんだけど、実は私は、重要な使命で転生していて、それを遂行するために神器までもらってしまいました!でも、私は私で楽しく暮らしたいと思います!

転生先は盲目幼女でした ~前世の記憶と魔法を頼りに生き延びます~

丹辺るん
ファンタジー
前世の記憶を持つ私、フィリス。思い出したのは五歳の誕生日の前日。 一応貴族……伯爵家の三女らしい……私は、なんと生まれつき目が見えなかった。 それでも、優しいお姉さんとメイドのおかげで、寂しくはなかった。 ところが、まともに話したこともなく、私を気に掛けることもない父親と兄からは、なぜか厄介者扱い。 ある日、不幸な事故に見せかけて、私は魔物の跋扈する場所で見捨てられてしまう。 もうダメだと思ったとき、私の前に現れたのは…… これは捨てられた盲目の私が、魔法と前世の記憶を頼りに生きる物語。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。