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魂の片割れ
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「ああ、思い出そうとしなくていい。思い出す必要はない。ただの魂の片割れなんだ。兄妹としての」
何それ怖い。
もしかして、これは恐怖な話をして、怖がらせようとするドッキリか何かだろうか。
思い出すと死んでしまう、みたいな都市伝説が流行った記憶がある。
「……思い出そうとして思い出せるものではないかもしれませんけど、何故分かるのです?」
「僕は、何度も転生を繰り返してきたからね。一緒に転生しない事もあるけれど、一緒に転生したら分かるんだ。君が生まれる事が」
え、何それ怖い。
そんな話読んだことないんですが。
わたくしが知らないだけかしら?
転生し続けていたら、記憶の量だけで脳みそがパーンしそう……。
マリアローゼは眉を顰めるが、ジェレイドは困った様に微笑むだけで、それ以上は何も言わない。
ので、とりあえず話を戻す事にした。
「ええと。それで?片割れという事は番?のようなものですの?ジェレイド叔父様は、わたくしを守ってくださるの?わたくしと結ばれたいのですか?ご自分の嫉妬と引き換えにわたくしを…」
「悪かった、悪かった、もう、絶対にしないし、君の愛する者達には慈悲を持つから。それに、僕達は兄と妹という意味での片割れで、恋愛ではない。だから君と結ばれる事は今まで一度も無かったし、今も望んではいない。ただ、家族として側に居たいんだ。僕はただ、君と君のいる今の人生を、最後まで穏やかに生きる事が望みで、君に嫌われたい訳じゃない」
叔父と姪の危ない関係を望むかと思いきや、望みはマリアローゼと寸分違わぬ所に落ち着いた。
前回の転生では何も思い出さなかったし、若くして死んだけれど、家族も人生も平凡だったように思う。
だとすれば、今回がイレギュラーに前世の記憶だけがぽっと出てきたに過ぎないのだろう。
それに、何だか悲しい話でもある。
「ジェレイド叔父様は、その、ずっと記憶がお有りなの?」
「そうだね。有るよ」
柔らかく微笑んだジェレイドに、一匙の悲しみが見える。
「運命なんて、有って無い様な物だよ。そうあれ、と決められていても気持ちはどうにもならないからね。君は、今まで通りこの世界で自由に生きて行く。僕はそれを庇護して生きる。もし、君か僕が死ぬ時が来て、その時までに君の信頼を取り戻せていたら、また兄妹として生まれ変われるように願ってくれ」
「寂しく、ありませんの?わたくしは忘れてしまうのに」
先ほど聞こうとした問いかけを投げて、マリアローゼはジェレイドを見詰めた。
「寂しくないよ。君はいつも家族を大事にするから、変わらない部分を感じるととても嬉しくなるし、
自由で穏やかな生活を送らせてあげられるのは、嬉しい。たとえ刹那でも」
「そうですのね、わかりました。謝罪を受け入れます。あと…今まで守ってくださった事、御礼申し上げます」
「ああ……君は優しいなぁ……」
ジェラルドともシルヴァインとも似た顔で、へらりとジェレイドが微笑う。
きっと、何度も辛い目にあってきたのだろうと思うと、マリアローゼの心は痛んだ。
自分だと、兄だと名乗れない事もあっただろう。
親しくしてきた記憶をなくした相手を、何度でも一から愛するなんて。
でも今回は、きちんと家族を守り、彼にも安住の地のある暮らしをあげたい。
マリアローゼは立ち上がると、ジェレイドの近くに立ち、その髪をナデナデと撫でた。
くだらない嫉妬だと思っていたが、思っていたより複雑で根が深かった。
思い出さなくていいと言うのだから、金輪際この話は胸にしまって表には出さないようにしよう。
マリアローゼは心に固く誓った。
何それ怖い。
もしかして、これは恐怖な話をして、怖がらせようとするドッキリか何かだろうか。
思い出すと死んでしまう、みたいな都市伝説が流行った記憶がある。
「……思い出そうとして思い出せるものではないかもしれませんけど、何故分かるのです?」
「僕は、何度も転生を繰り返してきたからね。一緒に転生しない事もあるけれど、一緒に転生したら分かるんだ。君が生まれる事が」
え、何それ怖い。
そんな話読んだことないんですが。
わたくしが知らないだけかしら?
転生し続けていたら、記憶の量だけで脳みそがパーンしそう……。
マリアローゼは眉を顰めるが、ジェレイドは困った様に微笑むだけで、それ以上は何も言わない。
ので、とりあえず話を戻す事にした。
「ええと。それで?片割れという事は番?のようなものですの?ジェレイド叔父様は、わたくしを守ってくださるの?わたくしと結ばれたいのですか?ご自分の嫉妬と引き換えにわたくしを…」
「悪かった、悪かった、もう、絶対にしないし、君の愛する者達には慈悲を持つから。それに、僕達は兄と妹という意味での片割れで、恋愛ではない。だから君と結ばれる事は今まで一度も無かったし、今も望んではいない。ただ、家族として側に居たいんだ。僕はただ、君と君のいる今の人生を、最後まで穏やかに生きる事が望みで、君に嫌われたい訳じゃない」
叔父と姪の危ない関係を望むかと思いきや、望みはマリアローゼと寸分違わぬ所に落ち着いた。
前回の転生では何も思い出さなかったし、若くして死んだけれど、家族も人生も平凡だったように思う。
だとすれば、今回がイレギュラーに前世の記憶だけがぽっと出てきたに過ぎないのだろう。
それに、何だか悲しい話でもある。
「ジェレイド叔父様は、その、ずっと記憶がお有りなの?」
「そうだね。有るよ」
柔らかく微笑んだジェレイドに、一匙の悲しみが見える。
「運命なんて、有って無い様な物だよ。そうあれ、と決められていても気持ちはどうにもならないからね。君は、今まで通りこの世界で自由に生きて行く。僕はそれを庇護して生きる。もし、君か僕が死ぬ時が来て、その時までに君の信頼を取り戻せていたら、また兄妹として生まれ変われるように願ってくれ」
「寂しく、ありませんの?わたくしは忘れてしまうのに」
先ほど聞こうとした問いかけを投げて、マリアローゼはジェレイドを見詰めた。
「寂しくないよ。君はいつも家族を大事にするから、変わらない部分を感じるととても嬉しくなるし、
自由で穏やかな生活を送らせてあげられるのは、嬉しい。たとえ刹那でも」
「そうですのね、わかりました。謝罪を受け入れます。あと…今まで守ってくださった事、御礼申し上げます」
「ああ……君は優しいなぁ……」
ジェラルドともシルヴァインとも似た顔で、へらりとジェレイドが微笑う。
きっと、何度も辛い目にあってきたのだろうと思うと、マリアローゼの心は痛んだ。
自分だと、兄だと名乗れない事もあっただろう。
親しくしてきた記憶をなくした相手を、何度でも一から愛するなんて。
でも今回は、きちんと家族を守り、彼にも安住の地のある暮らしをあげたい。
マリアローゼは立ち上がると、ジェレイドの近くに立ち、その髪をナデナデと撫でた。
くだらない嫉妬だと思っていたが、思っていたより複雑で根が深かった。
思い出さなくていいと言うのだから、金輪際この話は胸にしまって表には出さないようにしよう。
マリアローゼは心に固く誓った。
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