悪役令嬢? 何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く

ひよこ1号

文字の大きさ
上 下
220 / 357
連載

ジェレイドへの罰

しおりを挟む
カンナとユリアの仕度も整い、三人で一緒に食堂に向かうと、
食堂の前には最近見かけていなかったジェレイドが居た。
スッとマリアローゼを隠すように、ユリアが前に出て、前後をユリアとカンナに挟まれるように、
マリアローゼは食堂へと入っていく。

ジェレイドは心なしか沈んだような顔をしていて、ユリアのメンチ切り…睨む仕草に、
マリアローゼに声をかける事を躊躇って止めたようだ。
食事の席でも静かに談笑しただけで、旅の間に見せたような大きなリアクションは起こさなかった。

食事が終わり、部屋に帰る時に、漸くジェレイドが声をかけてきた。

「ローゼ、ちょっといいかい?」

「駄目でええええええええええす」

うざい事この上ない顔と態度で、ユリアが割って入ってきた。
マリアローゼは内心苦笑しつつも、ユリアの背後をジェレイドを無視する形で通り過ぎる。
カンナも冷たい視線を向けつつ通り過ぎ、食堂の前に迎えに来ていたルーナと共にマリアローゼを部屋まで送った。
ユリアは後を追わせない様に立ちはだかって、ジェレイドを色んな角度から睨んで威嚇している。

「ああ、もう……分かったから。僕はマリアローゼに謝罪したいだけなんだよ」
「東洋にはピッタリの謝罪方法がありますよ」
「それって切腹だよね。土下座とか可愛い事言わなそうな顔してるもんね」
「あ゛ァ゛???」

とジェレイドにドスの聞いた声で凄んだ後で、ユリアは認めた。

「まあ、そうなんですけどね。ちなみに介錯なんて甘っちょろいシステムはなしで」
「地獄」

はあ、とジェレイドは頭をわしわしと掻いた。

「本当に、謝罪したいんだ、マリアローゼに嫌われるのは嫌だし」
「大丈夫ですよ。もう嫌われてますから」

それを聞いたジェレイドは、壁に寄りかかって床にへなへな座ると膝を抱えた。

「そんなぁ……ローゼ…ローゼ……」

「あのですねえ。私は別にシルヴァイン様がどおおおおなってもぜんっっぜん構わないんですけどね。
連鎖であっても、マリアローゼ様の心をちょびっとでも傷つける奴は許しませんよ。
死に値しますマジで。
 ローゼ様からお声をかけるまで生き地獄を味わってろ…ください」

最後は、家令のケレスと目がぱちりと合ってしまい、仕方なくユリアは敬語を付け足した。
家令は厳しい顔ににっこりと笑顔を浮かべて、僅かに会釈を返したので、ユリアは味方認定して、ふんすふんすと
マリアローゼの私室へと引き上げた。

私室のマリアローゼは、兄達との習慣となっている勉強会をしていて、カンナとグランスが部屋の前に待機していた。

「ユリアさんも来たので、席を外しても?」

「いいですよー!ちゃんとお嬢様をお守りしてます!」
「どうぞ」

二人に見送られてグランスは、使用人通路へと姿を消した。
「そろそろ夜の警備の時間ですけど、私、今日はマリアローゼ様のお部屋に泊まろうかなっ」

きゃぴ!という、若干うざい様子でユリアが言い出し、カンナがジト目でそれを見た。

「気持ちは分かりますけど。でも万全の体調でお守りするのも我々の仕事ですからね?」
「わーかってますってー!でも何か、私ごときの為に、あの小さくてふわふわで柔らかい白い手でですね、危険極まりない針仕事をなさって、貴重な時間も使われてね?……あんな物頂いてしまったら、もう。
愛し過ぎてぺろぺろしたい」
「何て?」

頷きながら聞いていたのに、最後に不穏な言葉が付け足されて、カンナは思わず聞き返した。

「嫌だなあ、本当に舐めるわけじゃないですよ!?ぺろぺろしたいって言うじゃないですかー、推し…好きな相手に」
「言いませんよ、普通は」

最早、変質者や危険人物を見る目で見られている。
ユリアは可愛く唇を尖らせた。

「え~~言いますよ~~カンナさんぺr…カンナさんはいいかな…」
「失礼ですね。お泊りは今禁止になりました」
「し、私情を挟むの禁止ですよ!」
「権限は私の方が上なので、良いんです。はい、禁止」
「禁止ですね。もう、お戻り頂いて大丈夫です」

いつの間にか廊下に出てきたルーナが、にっこりと微笑んでいた。
しおりを挟む
❤キャライメージはPixivにあるので、宜しければご覧になって下さいませ
感想 135

あなたにおすすめの小説

【コミカライズ2月28日引き下げ予定】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。

氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。 私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。 「でも、白い結婚だったのよね……」 奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。 全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。 一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。 断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?

gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。 そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて 「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」 もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね? 3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。 4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。 1章が書籍になりました。

政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~

つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。 政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。 他サイトにも公開中。

私が死んで満足ですか?

マチバリ
恋愛
王太子に婚約破棄を告げられた伯爵令嬢ロロナが死んだ。 ある者は面倒な婚約破棄の手続きをせずに済んだと安堵し、ある者はずっと欲しかった物が手に入ると喜んだ。 全てが上手くおさまると思っていた彼らだったが、ロロナの死が与えた影響はあまりに大きかった。 書籍化にともない本編を引き下げいたしました

【完結】悪役令嬢は3歳?〜断罪されていたのは、幼女でした〜

白崎りか
恋愛
魔法学園の卒業式に招かれた保護者達は、突然、王太子の始めた蛮行に驚愕した。 舞台上で、大柄な男子生徒が幼い子供を押さえつけているのだ。 王太子は、それを見下ろし、子供に向って婚約破棄を告げた。 「ヒナコのノートを汚したな!」 「ちがうもん。ミア、お絵かきしてただけだもん!」 小説家になろう様でも投稿しています。

余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました

結城芙由奈@2/28コミカライズ発売
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】 私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。 2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます *「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています ※2023年8月 書籍化

あなた方はよく「平民のくせに」とおっしゃいますが…誰がいつ平民だと言ったのですか?

水姫
ファンタジー
頭の足りない王子とその婚約者はよく「これだから平民は…」「平民のくせに…」とおっしゃられるのですが… 私が平民だとどこで知ったのですか?

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
番外編を閲覧することが出来ません。
過去1ヶ月以内にレジーナの小説・漫画を1話以上レンタルしている と、レジーナのすべての番外編を読むことができます。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。