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連載
ジェレイドへの罰
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カンナとユリアの仕度も整い、三人で一緒に食堂に向かうと、
食堂の前には最近見かけていなかったジェレイドが居た。
スッとマリアローゼを隠すように、ユリアが前に出て、前後をユリアとカンナに挟まれるように、
マリアローゼは食堂へと入っていく。
ジェレイドは心なしか沈んだような顔をしていて、ユリアのメンチ切り…睨む仕草に、
マリアローゼに声をかける事を躊躇って止めたようだ。
食事の席でも静かに談笑しただけで、旅の間に見せたような大きなリアクションは起こさなかった。
食事が終わり、部屋に帰る時に、漸くジェレイドが声をかけてきた。
「ローゼ、ちょっといいかい?」
「駄目でええええええええええす」
うざい事この上ない顔と態度で、ユリアが割って入ってきた。
マリアローゼは内心苦笑しつつも、ユリアの背後をジェレイドを無視する形で通り過ぎる。
カンナも冷たい視線を向けつつ通り過ぎ、食堂の前に迎えに来ていたルーナと共にマリアローゼを部屋まで送った。
ユリアは後を追わせない様に立ちはだかって、ジェレイドを色んな角度から睨んで威嚇している。
「ああ、もう……分かったから。僕はマリアローゼに謝罪したいだけなんだよ」
「東洋にはピッタリの謝罪方法がありますよ」
「それって切腹だよね。土下座とか可愛い事言わなそうな顔してるもんね」
「あ゛ァ゛???」
とジェレイドにドスの聞いた声で凄んだ後で、ユリアは認めた。
「まあ、そうなんですけどね。ちなみに介錯なんて甘っちょろいシステムはなしで」
「地獄」
はあ、とジェレイドは頭をわしわしと掻いた。
「本当に、謝罪したいんだ、マリアローゼに嫌われるのは嫌だし」
「大丈夫ですよ。もう嫌われてますから」
それを聞いたジェレイドは、壁に寄りかかって床にへなへな座ると膝を抱えた。
「そんなぁ……ローゼ…ローゼ……」
「あのですねえ。私は別にシルヴァイン様がどおおおおなってもぜんっっぜん構わないんですけどね。
連鎖であっても、マリアローゼ様の心をちょびっとでも傷つける奴は許しませんよ。
死に値しますマジで。
ローゼ様からお声をかけるまで生き地獄を味わってろ…ください」
最後は、家令のケレスと目がぱちりと合ってしまい、仕方なくユリアは敬語を付け足した。
家令は厳しい顔ににっこりと笑顔を浮かべて、僅かに会釈を返したので、ユリアは味方認定して、ふんすふんすと
マリアローゼの私室へと引き上げた。
私室のマリアローゼは、兄達との習慣となっている勉強会をしていて、カンナとグランスが部屋の前に待機していた。
「ユリアさんも来たので、席を外しても?」
「いいですよー!ちゃんとお嬢様をお守りしてます!」
「どうぞ」
二人に見送られてグランスは、使用人通路へと姿を消した。
「そろそろ夜の警備の時間ですけど、私、今日はマリアローゼ様のお部屋に泊まろうかなっ」
きゃぴ!という、若干うざい様子でユリアが言い出し、カンナがジト目でそれを見た。
「気持ちは分かりますけど。でも万全の体調でお守りするのも我々の仕事ですからね?」
「わーかってますってー!でも何か、私ごときの為に、あの小さくてふわふわで柔らかい白い手でですね、危険極まりない針仕事をなさって、貴重な時間も使われてね?……あんな物頂いてしまったら、もう。
愛し過ぎてぺろぺろしたい」
「何て?」
頷きながら聞いていたのに、最後に不穏な言葉が付け足されて、カンナは思わず聞き返した。
「嫌だなあ、本当に舐めるわけじゃないですよ!?ぺろぺろしたいって言うじゃないですかー、推し…好きな相手に」
「言いませんよ、普通は」
最早、変質者や危険人物を見る目で見られている。
ユリアは可愛く唇を尖らせた。
「え~~言いますよ~~カンナさんぺr…カンナさんはいいかな…」
「失礼ですね。お泊りは今禁止になりました」
「し、私情を挟むの禁止ですよ!」
「権限は私の方が上なので、良いんです。はい、禁止」
「禁止ですね。もう、お戻り頂いて大丈夫です」
いつの間にか廊下に出てきたルーナが、にっこりと微笑んでいた。
食堂の前には最近見かけていなかったジェレイドが居た。
スッとマリアローゼを隠すように、ユリアが前に出て、前後をユリアとカンナに挟まれるように、
マリアローゼは食堂へと入っていく。
ジェレイドは心なしか沈んだような顔をしていて、ユリアのメンチ切り…睨む仕草に、
マリアローゼに声をかける事を躊躇って止めたようだ。
食事の席でも静かに談笑しただけで、旅の間に見せたような大きなリアクションは起こさなかった。
食事が終わり、部屋に帰る時に、漸くジェレイドが声をかけてきた。
「ローゼ、ちょっといいかい?」
「駄目でええええええええええす」
うざい事この上ない顔と態度で、ユリアが割って入ってきた。
マリアローゼは内心苦笑しつつも、ユリアの背後をジェレイドを無視する形で通り過ぎる。
カンナも冷たい視線を向けつつ通り過ぎ、食堂の前に迎えに来ていたルーナと共にマリアローゼを部屋まで送った。
ユリアは後を追わせない様に立ちはだかって、ジェレイドを色んな角度から睨んで威嚇している。
「ああ、もう……分かったから。僕はマリアローゼに謝罪したいだけなんだよ」
「東洋にはピッタリの謝罪方法がありますよ」
「それって切腹だよね。土下座とか可愛い事言わなそうな顔してるもんね」
「あ゛ァ゛???」
とジェレイドにドスの聞いた声で凄んだ後で、ユリアは認めた。
「まあ、そうなんですけどね。ちなみに介錯なんて甘っちょろいシステムはなしで」
「地獄」
はあ、とジェレイドは頭をわしわしと掻いた。
「本当に、謝罪したいんだ、マリアローゼに嫌われるのは嫌だし」
「大丈夫ですよ。もう嫌われてますから」
それを聞いたジェレイドは、壁に寄りかかって床にへなへな座ると膝を抱えた。
「そんなぁ……ローゼ…ローゼ……」
「あのですねえ。私は別にシルヴァイン様がどおおおおなってもぜんっっぜん構わないんですけどね。
連鎖であっても、マリアローゼ様の心をちょびっとでも傷つける奴は許しませんよ。
死に値しますマジで。
ローゼ様からお声をかけるまで生き地獄を味わってろ…ください」
最後は、家令のケレスと目がぱちりと合ってしまい、仕方なくユリアは敬語を付け足した。
家令は厳しい顔ににっこりと笑顔を浮かべて、僅かに会釈を返したので、ユリアは味方認定して、ふんすふんすと
マリアローゼの私室へと引き上げた。
私室のマリアローゼは、兄達との習慣となっている勉強会をしていて、カンナとグランスが部屋の前に待機していた。
「ユリアさんも来たので、席を外しても?」
「いいですよー!ちゃんとお嬢様をお守りしてます!」
「どうぞ」
二人に見送られてグランスは、使用人通路へと姿を消した。
「そろそろ夜の警備の時間ですけど、私、今日はマリアローゼ様のお部屋に泊まろうかなっ」
きゃぴ!という、若干うざい様子でユリアが言い出し、カンナがジト目でそれを見た。
「気持ちは分かりますけど。でも万全の体調でお守りするのも我々の仕事ですからね?」
「わーかってますってー!でも何か、私ごときの為に、あの小さくてふわふわで柔らかい白い手でですね、危険極まりない針仕事をなさって、貴重な時間も使われてね?……あんな物頂いてしまったら、もう。
愛し過ぎてぺろぺろしたい」
「何て?」
頷きながら聞いていたのに、最後に不穏な言葉が付け足されて、カンナは思わず聞き返した。
「嫌だなあ、本当に舐めるわけじゃないですよ!?ぺろぺろしたいって言うじゃないですかー、推し…好きな相手に」
「言いませんよ、普通は」
最早、変質者や危険人物を見る目で見られている。
ユリアは可愛く唇を尖らせた。
「え~~言いますよ~~カンナさんぺr…カンナさんはいいかな…」
「失礼ですね。お泊りは今禁止になりました」
「し、私情を挟むの禁止ですよ!」
「権限は私の方が上なので、良いんです。はい、禁止」
「禁止ですね。もう、お戻り頂いて大丈夫です」
いつの間にか廊下に出てきたルーナが、にっこりと微笑んでいた。
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