悪役令嬢? 何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く

ひよこ1号

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王弟殿下も拗らせ系?

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にっこりと微笑んだマリアローゼに、ゼナイダは優しい笑みを浮かべて会釈すると、
エネアを抱えたまま城の方へと戻って行った。
マリアローゼはお茶会の席へと戻ろうとして、庭に人影を見つけて立ち止まる。
その人物は、マリアローゼを待ち構えていたかのように、佇んでいた。

金の髪に、空色の瞳。
見た目は王族一家とよく似ているが、顔付きは少し違う。
何といえば良いのか分からないが、獰猛さを感じさせるような、悪く言えば育ちの悪さだろうか。
アルベルトやロランドにある、どこか緩やかなおっとりとした雰囲気がまるでないのだ。

「これは、フィロソフィ公爵令嬢。お初にお目にかかります。キルクルスと申します」
「ご丁寧な挨拶、感謝致しますわ。キルクルス王弟殿下」

マリアローゼも、王族に対する礼儀正しいお辞儀をして、再びキルクルスと相対した。
キルクルスはこの国の王弟の1人だ。
本来ならば、王弟殿下と呼ぶべきかどうか迷う、複雑な出自の王子だ。
先王陛下は、現王であるアルフォンソの母であるユリア妃との間に2人の男児もうけた。
更に、貴族である側妃に1人、平民である側妾に2人。
側妾の兄の方が、目の前にいるキルクルスである。

王国では基本的に側妾を認めていない。
平民の血を王家に混ぜてはいけない、という考えと一夫一婦制が基本だからである。
歴代の王の中でも先王は慣例を無視した珍しい部類の人間だ。
だからこそ、庶民の血を受け継ぐキルクルスは王位継承権を持つ直系の血筋でありつつも、王座からは遠い距離にいる。


ニヤリ、と片方の口角を引き上げるような、野卑た笑みを浮かべて、キルクルスは言い放った。

「おや、公爵家は私を王弟と認めてくださるとはな」
「認めるも何も、王弟でいらっしゃいますもの。殿下は違うと仰せでございますの?」

スン、と表情を失くして、キルクルスは答えた。

「違わない」

貴方は何がしたいのですか。

公爵家の後ろ盾が得たいのなら、さっきのような露骨に嫌な態度は悪手でしかない。
素が出てしまったのだろうか?
それなら尚更、王には向かない。
冷たい感情を表に出さずに済む様に、マリアローゼは話題を変えた。

「此処で、何をしていらっしゃいましたの?」

よく分からないが、何か用があるのなら話を進めて貰って、お茶会の続きに戻りたかった。
マリアローゼはキルクルスの返事を待つように、静かに見詰める。

もしかしてこの人も拗らせているのだろうか?

失礼な事を思いながら、マリアローゼはむっつりとしている王子を置いて、お茶会に戻ろうかなと思い始めた。
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