悪役令嬢? 何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く

ひよこ1号

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三人目の王子(幼児)

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確かに、預かった指輪は大事な物でもあるし、手元に戻らないと大問題になる筈だ。
指輪は魔道具として、というよりも隠し通路のギミックも作動させる使い道もあるかもしれない。
王家の刻印が入っている事で、他者の手に渡れば悪事にも使われてしまうだろう。

マリアローゼは女学生のように楽しげにはしゃいでいる二人を見ながら明後日の方向に考えを落ち着けていた。

「ええ、ご都合が宜しければお願い申し上げます」

王妃の送った合図を見て、離れた天幕にいた侍女の一人が城の中へと歩いて行く。
暫くすると、アルベルトとロランドがそれぞれ、正装に近い優美な装いで、庭に現れた。

「まあ、お洒落して。男の子は分かりやすいですね」
「ふふっ」

カメリアの言葉に、ミルリーリウムが笑う。
身体を寄せ合うように笑い合う姿は、本当に仲の良い姉妹だ。
マリアローゼは椅子から立ち上がって、二人を迎えた。

「アルベルト殿下、ロランド殿下、ご機嫌麗しゅう」

マリアローゼのお辞儀に、二人も丁寧な礼を返した。

「久しぶり、マリアローゼ嬢」
「お帰りなさい、マリアローゼ嬢」

二人の挨拶にマリアローゼはにっこりと微笑み返した。

「アルベルト様には旅の間、大変お世話になりました。御恩は一生忘れません」
「力になれたかどうかは分からないけど、君が無事に戻って来られた事を嬉しく思うよ」

途端に、王族であるアルベルトに本を取りに行かせたりした事を思い出して、マリアローゼはもじもじとした。

「あの、旅での不躾な振る舞いについては、忘れてくださると嬉しいです」

言った後で思い出したが、夜着のまま、訪問を受けた事まで思い出して、冷や汗も出そうだった。
だが、アルベルトはふっと楽しそうな笑顔になり、首を横に振った。

「頼られるのも、無防備な姿を見れたのも、あの贈り物も、全部楽しい思い出だよ」

最後の一言に、それもですの!とマリアローゼは目を瞬いた。
兄には痛烈な批判を受けたのだった。
王族に贈る物ではない、と。

「僕も、お土産と手紙、とても嬉しかったよ」

援護するように言われて、マリアローゼは恥ずかしそうにはにかんだ。

「どうしても、わたくし、自分の好きな物を贈ってしまう癖があるみたいで、相応しい贈り物ではなかったのですが喜んで戴けたのでしたら、安心致しました」

二人の王子は笑顔で頷く。

「ロランド殿下も、わたくしに預けてくださった指輪、心強かったですわ。お返し致しますね」

親指にはめていた指輪を抜き取って、ロランドに差し出すと、ロランドは照れくさそうに受け取った。
そんな会話の最中、二人の後ろから子供を抱えた乳母が近づいてきた。

丸々もちもちとしたその子供とは初対面だ。
父譲りの金髪に、母譲りの赤い瞳、末の弟の第三王子殿下(幼児)であった。
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