悪役令嬢? 何それ美味しいの? 溺愛公爵令嬢は我が道を行く

ひよこ1号

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変わらないこと

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昼食の後、マリアローゼはキースに貰った商会についての情報を、マリアローゼ用に纏めた物を貰い、部屋へと戻った。
これから城に登城して、陛下と王妃殿下に拝謁して、それから父の執務室で商会の会頭と面談…
5歳児としては到底あり得ない日程である。
ルーナと一緒にドレスを選んで、今日は落ち着いたモスグリーンのドレスに決定した。
金糸と銀糸の縫い取りは、裾や縁に控えめに、だが繊細に施されている。
同じ色のリボンを頭の両側に結び、残りは髪を捻りながら巻きつけて、後頭部で葉っぱの透かし彫りの金のバレッタで一つに留める。
大人になったら、コルセットだけでなく、バッスルやクリノリンなど、
様々に装飾を際立たせるなど服というより道具に近い物も流行によっては身につけなければならない。
その時までにもっと手軽な物を魔道具で作るか、流行をもっと楽な服へと誘導するか、ゆっくりでも良いが考えなくてはいけないな、とマリアローゼはルーナのよく動く器用な手を見詰めながら思った。

それにしても。
折に触れて、ルーナの凄まじいまでの成長振りを見ては感心していたけれど、
わたくしは成長できているのかしら?
いや、していない。

反語で〆ても、問題は解決しない。

「ルーナ、わたくし、貴女に比べるとあまり成長できていない気が致しますの。
貴女の主人として相応しくありたいのだけれど、体力以外に何か足りないところがあれば、教えてくださる?」

ぴた、とルーナの手が止った。
ルーナを振り仰ぐと、真摯な視線をマリアローゼに注いでいる。

「お嬢様。マリアローゼお嬢様はルーナにとって、完璧以上のお嬢様です。
助けていただいた私の命はお嬢様のものですから、ずっとお側にいて、一生お仕え致します。
寧ろまだ相応しくないのは、私の方でございます。体力だって、私も全然足りていません。
でも、私は何より、ずっと、お嬢様は変わらないで頂きたいです」

マリアローゼは、ふむ、と頷いた。

「確かに、わたくしは変化にばかり目を向けていたのかもしれません。
変わらずに居る事もまた、同じ位に大切な事ですわね。ルーナ、ありがとう。
貴女の言葉はとても嬉しいですわ」

劣等感や焦りよりも、それをどう昇華して自分の力にしていくかの方が大事だ。
そして、家族やルーナやノクスが愛してくれる、自分を見失わない事も。

マリアローゼは、ロランドから預かった指輪を親指にはめ込んだ。
使わなかったけれど、守ろうとしてくれた気持ちは伝わってくる。

「陛下に拝謁した後、ロランド様とお話出来るといいのですけれど
…アルベルト様にも改めて御礼を言わなければ」
「お言葉を交わすのが難しければ、お手紙を差し上げれば喜ばれると存じます」

ぼんやりと呟いた言葉に、ルーナのはきはきした答えを聞いて、マリアローゼはこくん、と頷いた。

「そうですわね。無理でしたらそう致しましょう」

そこで、コンコンとノックの音が響いた。
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