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ギャップ萌え
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「ユリアさんて、割と知能犯ですよね」
遣り取りを見守っていたカンナが、二人の少女が向かった扉を見ながら、くすりと笑う。
今回は止める理由もなかったので、口出しもしなかったのだ。
「まっ!人聞きの悪い!…でもほら、カンナさんと私もちゃっちゃと用意しましょう。お嬢様が楽しめるのが一番ですよ。私も楽しいですし、ねっ?」
「じゃあ私も、ユリアさんを綺麗に飾るとしましょうか」
何だかんだで楽しみながら、ユリアとカンナもお互いに手伝いながらドレスに着替え始めた。
「ルーナ、わたくしは貴女のドレス姿を見たいのだけれど、嫌ではない?」
マリアローゼは部屋に入ると、もじもじとルーナに問いかけた。
そんな姿も可愛らしくて、いじらしくて、ルーナは思わず微笑んでしまう。
「嫌という訳ではないです。お嬢様がご覧になりたいと仰られるのでしたら是非もありません」
「そう、それなら、嬉しいわ」
マリアローゼは慣れた手付きで、クローゼットの中から二着のドレスを選び出してきた。
一つは黒でもう一つは白を基調としたドレスで、其々同系色の糸で刺繍も施されている。
「今夜着る予定でしたのはこちらの、白いドレスなのだけれど…こちらはルーナが着てね。
わたくしは、こちらの黒い方を着ます。髪の色が映えるでしょう?」
「……承りました」
マリアローゼなら白も可憐で美しいし、黒も荘厳で美しいとは思う。
自分に白は似合わないのじゃないか、とルーナは思いつつも、髪の色が映えると言われれば
それも尤もな話ではあるので、後ろ向きな返答をする気にはなれなかった。
マリアローゼを何時もどおり飾り立てて、自分のドレスを身に纏うと、
マリアローゼが宝石と髪飾りを用意して待っていた。
「ルーナは髪が短いけれど、こちら側を少し結んで、この飾りを付けましょう」
「お、お嬢様、……っ……っ」
鏡を見れば、白いドレスと飾りを身につけた自分が視界に入り、やはりお嬢様の方がお似合いになる、と
言いかけて、マリアローゼの笑顔にルーナは言葉を飲み込んだ。
「ほら、よく似合ってますわ。銀や白の宝石だと、貴女の夜を飾る星みたい」
「マリアローゼ様……」
とても綺麗な言葉で褒められて、ルーナは先程までの後ろ向きな自分を恥じ入った。
命だけでなく、マリアローゼは自分を形作る全ての良い事を与えてくれるのだ。
黒い飾りとドレスにつつまれて、何よりも白く…純白なマリアローゼの肌に手を伸ばす。
「私の全てはマリアローゼ様のものです。ずっと、お側に置いて下さい」
「勿論ですわ、ルーナ。わたくしの側にずっと居てね」
「はああああああああああああああ、可愛すぎるぅううぅぅ」
「そ、それはようございましたわ…」
「はあっはあっ…まさかのギャップ萌え…色…まさかの…可愛っ……しんど……つ、辛いっ…!」
最早意味不明である。
カンナが少し呆れた様に、立ち上がってぷるぷる震えるユリアを椅子に座らせた。
「はいはい。辛いなら目隠ししましょうか?」
「そ、そういう意味じゃないんです、可愛すぎて辛いんですぅぅぅ分からないかなぁぁ」
「はいはい」
二人の様子がボケた老人と介護のお姉さんに見えてくる。
マリアローゼは、困った様にルーナの方を振り返ると、ルーナはマリアローゼに微笑んだ。
「料理を運ばせますね。給仕はノクスにお願いしてきます」
「ええ。ノクスにも着飾って欲しいけど、今日は女の子だけの宴ですものね」
にこにことマリアローゼが答えると、ルーナは壁際の紐を引き、料理を運ぶ合図を送る。
そして、扉を開けるとノクスに何事か話し、すぐに戻るとマリアローゼをテーブルへと誘った。
遣り取りを見守っていたカンナが、二人の少女が向かった扉を見ながら、くすりと笑う。
今回は止める理由もなかったので、口出しもしなかったのだ。
「まっ!人聞きの悪い!…でもほら、カンナさんと私もちゃっちゃと用意しましょう。お嬢様が楽しめるのが一番ですよ。私も楽しいですし、ねっ?」
「じゃあ私も、ユリアさんを綺麗に飾るとしましょうか」
何だかんだで楽しみながら、ユリアとカンナもお互いに手伝いながらドレスに着替え始めた。
「ルーナ、わたくしは貴女のドレス姿を見たいのだけれど、嫌ではない?」
マリアローゼは部屋に入ると、もじもじとルーナに問いかけた。
そんな姿も可愛らしくて、いじらしくて、ルーナは思わず微笑んでしまう。
「嫌という訳ではないです。お嬢様がご覧になりたいと仰られるのでしたら是非もありません」
「そう、それなら、嬉しいわ」
マリアローゼは慣れた手付きで、クローゼットの中から二着のドレスを選び出してきた。
一つは黒でもう一つは白を基調としたドレスで、其々同系色の糸で刺繍も施されている。
「今夜着る予定でしたのはこちらの、白いドレスなのだけれど…こちらはルーナが着てね。
わたくしは、こちらの黒い方を着ます。髪の色が映えるでしょう?」
「……承りました」
マリアローゼなら白も可憐で美しいし、黒も荘厳で美しいとは思う。
自分に白は似合わないのじゃないか、とルーナは思いつつも、髪の色が映えると言われれば
それも尤もな話ではあるので、後ろ向きな返答をする気にはなれなかった。
マリアローゼを何時もどおり飾り立てて、自分のドレスを身に纏うと、
マリアローゼが宝石と髪飾りを用意して待っていた。
「ルーナは髪が短いけれど、こちら側を少し結んで、この飾りを付けましょう」
「お、お嬢様、……っ……っ」
鏡を見れば、白いドレスと飾りを身につけた自分が視界に入り、やはりお嬢様の方がお似合いになる、と
言いかけて、マリアローゼの笑顔にルーナは言葉を飲み込んだ。
「ほら、よく似合ってますわ。銀や白の宝石だと、貴女の夜を飾る星みたい」
「マリアローゼ様……」
とても綺麗な言葉で褒められて、ルーナは先程までの後ろ向きな自分を恥じ入った。
命だけでなく、マリアローゼは自分を形作る全ての良い事を与えてくれるのだ。
黒い飾りとドレスにつつまれて、何よりも白く…純白なマリアローゼの肌に手を伸ばす。
「私の全てはマリアローゼ様のものです。ずっと、お側に置いて下さい」
「勿論ですわ、ルーナ。わたくしの側にずっと居てね」
「はああああああああああああああ、可愛すぎるぅううぅぅ」
「そ、それはようございましたわ…」
「はあっはあっ…まさかのギャップ萌え…色…まさかの…可愛っ……しんど……つ、辛いっ…!」
最早意味不明である。
カンナが少し呆れた様に、立ち上がってぷるぷる震えるユリアを椅子に座らせた。
「はいはい。辛いなら目隠ししましょうか?」
「そ、そういう意味じゃないんです、可愛すぎて辛いんですぅぅぅ分からないかなぁぁ」
「はいはい」
二人の様子がボケた老人と介護のお姉さんに見えてくる。
マリアローゼは、困った様にルーナの方を振り返ると、ルーナはマリアローゼに微笑んだ。
「料理を運ばせますね。給仕はノクスにお願いしてきます」
「ええ。ノクスにも着飾って欲しいけど、今日は女の子だけの宴ですものね」
にこにことマリアローゼが答えると、ルーナは壁際の紐を引き、料理を運ぶ合図を送る。
そして、扉を開けるとノクスに何事か話し、すぐに戻るとマリアローゼをテーブルへと誘った。
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