ざまぁ返しを全力回避したヒロインは、冒険者として生きていく~別れた筈の攻略対象たちが全員追ってきた~

ひよこ1号

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怪しい女神像

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そのまま道なりに進み突き当たりの角を曲がるとすぐ階段がある。
王子とメガネは一緒に地図を覗き込んだ。

「こことここの道はつながりそうですね」
「ああ、真っ直ぐ進めば最後の道になりそうだな」
「そうですね。この先に下に行く階段があると思います。その前にそこの扉の部屋に入ってみましょう」

曲がり角の直前にある、部屋の扉を私は指差した。

「扉?」
「扉ですか?」

二人が怪訝な顔をする。
ああ、そうか。
これは隠し扉なのか。
偽装されていて気づきにくくなっているのかもしれない。

セオリー通りなら、隠し扉には罠《トラップ》がないのだが、一応確認はする。
壁の一部を押せば、ガコッと音を立てて、壁の一部が開いたので二人もおお、と声をあげた。
部屋の中を探索すると、宝箱ではなく本棚に魔道書と、何かの設計図を発見した。
その他に宝箱も一つ有り、小さな宝石の欠片が手に入る。

「ふむふむ。設計図なんてあるんですね。何の、かは分かりませんけれど」

王子の背負い袋に纏めて入れる。

「設計図か」
「何が作れるのか、気になりますね」

二人も楽しそう。
そういえば、迷宮については少しだけ調べてみたけど、専門的な知識だけで、遺物についてはまだまだ知らない。
この前マティアスに贈られた本も、基本的な道具《アイテム》というより、高位の宝物のようだった。
低層で用意されるような、設計図のような物は載っていない。
これは遺物を鑑定できる信用できそうな人物が必要かもしれないな。

私達は部屋を出ると、予想を確かめる為に最初に曲がらなかった左に折れる道をまっすぐすすむ。
進んだら十字路で、右側にボロっちい木の盾が落ちていた。
迷宮子鬼《ダンジョン・ゴブリン》の戦利品《ドロップ》だろう。
私の回収しわすれた矢も転がっていた。

「あ、矢を回収し忘れてましたね」

二本の矢を矢筒に戻す。
木の盾も一応拾って、王子の背負い袋に入れた。

「じゃあ、やはり今この十字路ですね。まっすぐ進みましょう」

私は頷いて先頭を歩く。
真っ直ぐ行くと突き当たって右に進む道。
左側に部屋の扉があり、奥には下へ続く階段がある。

私は扉まで戻って罠《トラップ》と鍵の解除をする。
そして、王子が扉を開けた。
中には洞窟蝙蝠《ケイブ・バット》が4匹飛んでいる。
王子は先陣を切って、一匹に切りかかった。
メガネも、王子とは別の個体に切りかかる。
私は後方を飛んでいる洞窟蝙蝠《ケイブ・バット》に狙いを定めて弓で撃つ。
矢が当たった洞窟蝙蝠《ケイブ・バット》は地面に落ちてバタバタしているが、飛び立つ事は出来ない。
王子もメガネも一匹ずつ始末して、残りの一匹を王子が攻撃すると、地面にいる洞窟蝙蝠《ケイブ・バット》にメガネがトドメをさした。
何だか連携出来てるじゃん。
ママちょっと感動。
こういう役割分担が自然に出来るのっていいよね。
パーティーで攻略する醍醐味を感じる。

「あ、蝙蝠の羽が落ちてますね」

メガネが幾つかの羽を拾い上げる。
錬金術に使えそうな材料で、私はにこにこした。

「戦利品《ドロップ》だね。今の戦い、二人とも凄く良かったですよ」

褒めると、二人とも顔を見合わせてから、笑顔になる。
私は二人の頭をナデナデしてあげた。
まあ、それはそれとして、今日は最後に反省会やるけどな。
甘やかすだけでは良くないので。

一階で話し合った通り、もう一階下、地下三階まで私達は探索する事にする。
階段を下りて、左右を確認。
敵もいないし罠《トラップ》も無いので通路に降り立つ。
左はすぐに曲がり角、右に続く道はまっすぐだ。
私はまず右側の道を進む。
すると、間もなく右へ続く道が見えて、扉も無い小部屋に、女神のような像が設置されていた。
うう……これは怪しい!
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