84 / 89
訓練の成果
しおりを挟む
「先に蜂をおびき寄せますから、ここで戦闘しましょう」
私は弓を取り出してつがえる。
まあ、外れてもこちらに気づけばいい。
そう思ったけれど、トスッと矢が当たった蜂はそのまま地面に落ちて動かなくなった。
でも残りの二匹はこちらに気づいて飛んでくる。
王子とメガネは剣を構えているので、それぞれの蜂を迎撃してもらう。
乱戦になれば弓の名手でもない限り仲間に当たる可能性も高い。
私は武器を短剣《ダガー》に持ち替えたが、二人の攻撃で呆気なく迷宮蜂《ダンジョン・ビー》は沈んだ。
おお、意外と強い。
いや、私の矢でも死んだから、迷宮蜂《ダンジョン・ビー》が弱いのかな?
「じゃあ、私の後ろ付いてきてくださいね」
罠を作動させないように、廊下を通り抜けると、メガネの地図にも罠の位置を書き込む。
帰りに通ってまた落ちたら大変だからね。
私は迷宮蜂《ダンジョン・ビー》に当たった矢を回収する。
突き当たりは角になっていて、左に折れる道が続き、右側に部屋があった。
私はそこでも罠と鍵を調べる。
罠があったので解除。
「アル」
「うむ」
私が扉の前から退くと、アルが扉を開けた。
中には骸骨《スケルトン》が二体。
錆びた剣とボロボロの盾を装備している。
「アルは右、私とサーフは左で」
「分かった」
「はい!」
いやー、骸骨《スケルトン》に短剣《ダガー》って、効くのかな?
蹴りの方がまだ効果ありそう。
基本的に打撃武器の方が効果高いんだよね。
いざとなったら魔法でいいか……。
思っていたけど、二人の動きがとても良い。
ひんひん泣いてたのに…。
まあAランク冒険者の猛特訓よりは弱いのかもしれんけど。
私は私で短剣《ダガー》と蹴りで攻撃する。
手応え的には蹴りかなぁ?
なんて思いながら戦っていたら、骨がバラバラと崩れ落ちた。
王子の方も倒せたようだ。
ダンジョン産だからか、スライムも迷宮蜂《ダンジョン・ビー》も跡形も無く消えたけど、何か骸骨《スケルトン》は骨が残された。
きっとドロップだな。
剣や盾も消えたし。
骨は王子の背負い袋に入れた。
王子は何だか自分の手を見つめている。
どうしたんだろう?
疲れたのかな?
「アル大丈夫?休憩します?」
「いや、平気だ。……ノーツさんの訓練の成果だな、と思っていた」
「それなら良かった。サーフも戦えてますしね」
褒めるとメガネは嬉しそうに笑顔を浮かべた。
うん、魔法職なのに、ごめん。
でもね、迷宮攻略にしても討伐にしても、魔法ってそんな序盤からガンガン撃つものじゃないんだよ。
それが出来るのは回復アイテムが豊富で、MP回復も豊富な世界観の話。
ゲームとかね。
出来るだけ温存して、必要な時にぶちかますのが魔法。
私は部屋の中を探索して宝箱を見つけた。
罠も鍵も無いけど、中から出てきたのは短刀《ナイフ》、見るからに普通の短刀《ナイフ》だ。
錆びてないだけマシかもしれない。
それも王子の背負い袋にINする。
地下1階だから仕方ないけど、ろくな物が無いな!
これは再配置《リポップ》したとしても、素通り案件である。
ちなみに、再配置《リポップ》の速度は迷宮《ダンジョン》によっても違うし、規則性はあまり無いらしい。
この最下位迷宮は一日くらいの間隔と聞いていたので、少し潜って帰る場合なら一度倒した敵には遭遇しないという事だ。
私は弓を取り出してつがえる。
まあ、外れてもこちらに気づけばいい。
そう思ったけれど、トスッと矢が当たった蜂はそのまま地面に落ちて動かなくなった。
でも残りの二匹はこちらに気づいて飛んでくる。
王子とメガネは剣を構えているので、それぞれの蜂を迎撃してもらう。
乱戦になれば弓の名手でもない限り仲間に当たる可能性も高い。
私は武器を短剣《ダガー》に持ち替えたが、二人の攻撃で呆気なく迷宮蜂《ダンジョン・ビー》は沈んだ。
おお、意外と強い。
いや、私の矢でも死んだから、迷宮蜂《ダンジョン・ビー》が弱いのかな?
「じゃあ、私の後ろ付いてきてくださいね」
罠を作動させないように、廊下を通り抜けると、メガネの地図にも罠の位置を書き込む。
帰りに通ってまた落ちたら大変だからね。
私は迷宮蜂《ダンジョン・ビー》に当たった矢を回収する。
突き当たりは角になっていて、左に折れる道が続き、右側に部屋があった。
私はそこでも罠と鍵を調べる。
罠があったので解除。
「アル」
「うむ」
私が扉の前から退くと、アルが扉を開けた。
中には骸骨《スケルトン》が二体。
錆びた剣とボロボロの盾を装備している。
「アルは右、私とサーフは左で」
「分かった」
「はい!」
いやー、骸骨《スケルトン》に短剣《ダガー》って、効くのかな?
蹴りの方がまだ効果ありそう。
基本的に打撃武器の方が効果高いんだよね。
いざとなったら魔法でいいか……。
思っていたけど、二人の動きがとても良い。
ひんひん泣いてたのに…。
まあAランク冒険者の猛特訓よりは弱いのかもしれんけど。
私は私で短剣《ダガー》と蹴りで攻撃する。
手応え的には蹴りかなぁ?
なんて思いながら戦っていたら、骨がバラバラと崩れ落ちた。
王子の方も倒せたようだ。
ダンジョン産だからか、スライムも迷宮蜂《ダンジョン・ビー》も跡形も無く消えたけど、何か骸骨《スケルトン》は骨が残された。
きっとドロップだな。
剣や盾も消えたし。
骨は王子の背負い袋に入れた。
王子は何だか自分の手を見つめている。
どうしたんだろう?
疲れたのかな?
「アル大丈夫?休憩します?」
「いや、平気だ。……ノーツさんの訓練の成果だな、と思っていた」
「それなら良かった。サーフも戦えてますしね」
褒めるとメガネは嬉しそうに笑顔を浮かべた。
うん、魔法職なのに、ごめん。
でもね、迷宮攻略にしても討伐にしても、魔法ってそんな序盤からガンガン撃つものじゃないんだよ。
それが出来るのは回復アイテムが豊富で、MP回復も豊富な世界観の話。
ゲームとかね。
出来るだけ温存して、必要な時にぶちかますのが魔法。
私は部屋の中を探索して宝箱を見つけた。
罠も鍵も無いけど、中から出てきたのは短刀《ナイフ》、見るからに普通の短刀《ナイフ》だ。
錆びてないだけマシかもしれない。
それも王子の背負い袋にINする。
地下1階だから仕方ないけど、ろくな物が無いな!
これは再配置《リポップ》したとしても、素通り案件である。
ちなみに、再配置《リポップ》の速度は迷宮《ダンジョン》によっても違うし、規則性はあまり無いらしい。
この最下位迷宮は一日くらいの間隔と聞いていたので、少し潜って帰る場合なら一度倒した敵には遭遇しないという事だ。
32
お気に入りに追加
283
あなたにおすすめの小説
今日も聖女は拳をふるう
こう7
ファンタジー
この世界オーロラルでは、12歳になると各国の各町にある教会で洗礼式が行われる。
その際、神様から聖女の称号を承ると、どんな傷も病気もあっという間に直す回復魔法を習得出来る。
そんな称号を手に入れたのは、小さな小さな村に住んでいる1人の女の子だった。
女の子はふと思う、「どんだけ怪我しても治るなら、いくらでも強い敵に突貫出来る!」。
これは、男勝りの脳筋少女アリスの物語。
【完結】妹に全部奪われたので、公爵令息は私がもらってもいいですよね。
曽根原ツタ
恋愛
ルサレテには完璧な妹ペトロニラがいた。彼女は勉強ができて刺繍も上手。美しくて、優しい、皆からの人気者だった。
ある日、ルサレテが公爵令息と話しただけで彼女の嫉妬を買い、階段から突き落とされる。咄嗟にペトロニラの腕を掴んだため、ふたり一緒に転落した。
その後ペトロニラは、階段から突き落とそうとしたのはルサレテだと嘘をつき、婚約者と家族を奪い、意地悪な姉に仕立てた。
ルサレテは、妹に全てを奪われたが、妹が慕う公爵令息を味方にすることを決意して……?
出来損ない王女(5歳)が、問題児部隊の隊長に就任しました
瑠美るみ子
ファンタジー
魔法至上主義のグラスター王国にて。
レクティタは王族にも関わらず魔力が無かったため、実の父である国王から虐げられていた。
そんな中、彼女は国境の王国魔法軍第七特殊部隊の隊長に任命される。
そこは、実力はあるものの、異教徒や平民の魔法使いばかり集まった部隊で、最近巷で有名になっている集団であった。
王国魔法のみが正当な魔法と信じる国王は、国民から英雄視される第七部隊が目障りだった。そのため、褒美としてレクティタを隊長に就任させ、彼女を生贄に部隊を潰そうとした……のだが。
「隊長~勉強頑張っているか~?」
「ひひひ……差し入れのお菓子です」
「あ、クッキー!!」
「この時間にお菓子をあげると夕飯が入らなくなるからやめなさいといつも言っているでしょう! 隊長もこっそり食べない! せめて一枚だけにしないさい!」
第七部隊の面々は、国王の思惑とは反対に、レクティタと交流していきどんどん仲良くなっていく。
そして、レクティタ自身もまた、変人だが魔法使いのエリートである彼らに囲まれて、英才教育を受けていくうちに己の才能を開花していく。
ほのぼのとコメディ七割、戦闘とシリアス三割ぐらいの、第七部隊の日常物語。
*小説家になろう・カクヨム様にても掲載しています。
[完結]いらない子と思われていた令嬢は・・・・・・
青空一夏
恋愛
私は両親の目には映らない。それは妹が生まれてから、ずっとだ。弟が生まれてからは、もう私は存在しない。
婚約者は妹を選び、両親は当然のようにそれを喜ぶ。
「取られる方が悪いんじゃないの? 魅力がないほうが負け」
妹の言葉を肯定する家族達。
そうですか・・・・・・私は邪魔者ですよね、だから私はいなくなります。
※以前投稿していたものを引き下げ、大幅に改稿したものになります。
冷たかった夫が別人のように豹変した
京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。
ざまぁ。ゆるゆる設定
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【コミカライズ決定】地味令嬢は冤罪で処刑されて逆行転生したので、華麗な悪女を目指します!~目隠れ美形の天才王子に溺愛されまして~
胡蝶乃夢
恋愛
婚約者である王太子の望む通り『理想の淑女』として尽くしてきたにも関わらず、婚約破棄された挙句に冤罪で処刑されてしまった公爵令嬢ガーネット。
時間が遡り目覚めたガーネットは、二度と自分を犠牲にして尽くしたりしないと怒り、今度は自分勝手に生きる『華麗な悪女』になると決意する。
王太子の弟であるルベリウス王子にガーネットは留学をやめて傍にいて欲しいと願う。
処刑された時、留学中でいなかった彼がガーネットの傍にいることで運命は大きく変わっていく。
これは、不憫な地味令嬢が華麗な悪女へと変貌して周囲を魅了し、幼馴染の天才王子にも溺愛され、ざまぁして幸せになる物語です。
悪役令嬢?いま忙しいので後でやります
みおな
恋愛
転生したその世界は、かつて自分がゲームクリエーターとして作成した乙女ゲームの世界だった!
しかも、すべての愛を詰め込んだヒロインではなく、悪役令嬢?
私はヒロイン推しなんです。悪役令嬢?忙しいので、後にしてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる