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訓練の成果

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「先に蜂をおびき寄せますから、ここで戦闘しましょう」

私は弓を取り出してつがえる。
まあ、外れてもこちらに気づけばいい。
そう思ったけれど、トスッと矢が当たった蜂はそのまま地面に落ちて動かなくなった。
でも残りの二匹はこちらに気づいて飛んでくる。
王子とメガネは剣を構えているので、それぞれの蜂を迎撃してもらう。
乱戦になれば弓の名手でもない限り仲間に当たる可能性も高い。
私は武器を短剣《ダガー》に持ち替えたが、二人の攻撃で呆気なく迷宮蜂《ダンジョン・ビー》は沈んだ。
おお、意外と強い。
いや、私の矢でも死んだから、迷宮蜂《ダンジョン・ビー》が弱いのかな?

「じゃあ、私の後ろ付いてきてくださいね」

罠を作動させないように、廊下を通り抜けると、メガネの地図にも罠の位置を書き込む。
帰りに通ってまた落ちたら大変だからね。
私は迷宮蜂《ダンジョン・ビー》に当たった矢を回収する。
突き当たりは角になっていて、左に折れる道が続き、右側に部屋があった。
私はそこでも罠と鍵を調べる。
罠があったので解除。

「アル」
「うむ」

私が扉の前から退くと、アルが扉を開けた。
中には骸骨《スケルトン》が二体。
錆びた剣とボロボロの盾を装備している。

「アルは右、私とサーフは左で」
「分かった」
「はい!」

いやー、骸骨《スケルトン》に短剣《ダガー》って、効くのかな?
蹴りの方がまだ効果ありそう。
基本的に打撃武器の方が効果高いんだよね。
いざとなったら魔法でいいか……。

思っていたけど、二人の動きがとても良い。
ひんひん泣いてたのに…。
まあAランク冒険者の猛特訓よりは弱いのかもしれんけど。
私は私で短剣《ダガー》と蹴りで攻撃する。
手応え的には蹴りかなぁ?
なんて思いながら戦っていたら、骨がバラバラと崩れ落ちた。
王子の方も倒せたようだ。

ダンジョン産だからか、スライムも迷宮蜂《ダンジョン・ビー》も跡形も無く消えたけど、何か骸骨《スケルトン》は骨が残された。
きっとドロップだな。
剣や盾も消えたし。
骨は王子の背負い袋に入れた。
王子は何だか自分の手を見つめている。
どうしたんだろう?
疲れたのかな?

「アル大丈夫?休憩します?」
「いや、平気だ。……ノーツさんの訓練の成果だな、と思っていた」
「それなら良かった。サーフも戦えてますしね」

褒めるとメガネは嬉しそうに笑顔を浮かべた。
うん、魔法職なのに、ごめん。
でもね、迷宮攻略にしても討伐にしても、魔法ってそんな序盤からガンガン撃つものじゃないんだよ。
それが出来るのは回復アイテムが豊富で、MP回復も豊富な世界観の話。
ゲームとかね。
出来るだけ温存して、必要な時にぶちかますのが魔法。

私は部屋の中を探索して宝箱を見つけた。
罠も鍵も無いけど、中から出てきたのは短刀《ナイフ》、見るからに普通の短刀《ナイフ》だ。
錆びてないだけマシかもしれない。
それも王子の背負い袋にINする。
地下1階だから仕方ないけど、ろくな物が無いな!
これは再配置《リポップ》したとしても、素通り案件である。

ちなみに、再配置《リポップ》の速度は迷宮《ダンジョン》によっても違うし、規則性はあまり無いらしい。
この最下位迷宮は一日くらいの間隔と聞いていたので、少し潜って帰る場合なら一度倒した敵には遭遇しないという事だ。
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