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安心安全に?いいえ、自力で!
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今日も朝から弓練。
そして投げ短刀《ナイフ》も。
あ、そうだ。
ノーツさんにお願いしよっと。
「ノーツさん。お願いがあるんですけど。ノーツさんて素手戦闘も出来ますよね?二人に教えてあげてくれますか?」
「ああ、いいぞ」
武器だって落としたり壊れたりして、咄嗟に素手で対応しなくてはならない事もある。
私はまだ射程の短い短剣《ダガー》を使うから、素手戦闘もやり易いけど、剣だと距離感が全く違う。
少しでも習っていた方がいい。
結局その日も二人はひんひん泣かされた。
殴られ、蹴られ、投げ飛ばされ。
容赦ないAランク冒険者の猛攻を受けたのだから仕方ない。
私も私で、罠解除を含めた技術も学びたいし、実地もそろそろやるか。
本当は依頼できちんと稼げるようになってから、と思っていたけど。
お昼の時に、ノーツに相談してみよう。
お昼ご飯にノーツが連れてきてくれた店は、この前とは違う店。
店自体は大きくなくて、町の食堂という感じ。
ノーツ大好きお肉のお店だ。
肉料理を前にして、男子は喜んでガツガツ食べている。
育ち盛りだもんね。
運動後だし。
私もモグモグ食べる。
脂が甘い。
「美味しいですねぇ。何のお肉かな」
「確か北10層の野豚《ワイルド・デュラック》かな?」
「へぇ…迷宮産の動物のお肉も食べられるんですねぇ」
冒険者が狩るのかな?
それとも狩人を鍛えて送り込むのかな?
私の疑問を浮かべた表情に、ノーツが笑う。
「5年くらい前らしいが、狩人ギルドに依頼された冒険者が、10層まで護衛任務をしたらしいぞ。だが、動物とはいえ10層にいるんだ、弱いわけではない。滞りなく狩れる様になるまで時間はかかったようだが、今では安定供給できるくらいにはなっている」
「ふむふむ。乱獲しないように規制とかあるんですかね?」
ダンジョン内の資源とはいえ、無限ではないだろう。
だが、10層に到達できる人間が限られているのもまた事実。
「規制はないかも知れないが、大迷宮《ネルガル》の前には門番がいるからな。大きな荷物は検閲される事になる。流石に魔獣討伐で得たドロップ品などに干渉はしてこないが」
「へぇえ……じゃあ10層まででギリギリの実力で、狩りで生計立てる人もいそうですね」
「いるかも知れないな」
全然どんな場所だか予想つかないけれど、ある一定以上の実力があれば、素材採集でも生きていける道が残されるというのはちょっといいな。
だって、冒険者だって体力は衰えて、引退を余儀なくされるじゃない?
でもポータルで安全に行き来できる階層で、割と安全にアイテム採取で暮らせるなら。
落ちぶれて、ランク下がって、資格を剥奪されて…なんて事にもならない。
「うーん、今の実力で東の迷宮っていけると思います?」
「それは、大丈夫だろう。低層なら即死級の罠《トラップ》もないし、練習にはいいと思う。俺が付き添っても良い」
付き添い……付き添いかぁぁ……。
安心安全の迷宮攻略かぁ……。
「いや、何時までもノーツさんに甘えているわけにはいかない」
「そうですよ。私達も実力を試さないと」
迷ってたら王子とメガネが騒ぎ出した。
殊勝な事言うじゃん。
その意気やよし。
「二人もこう言ってるので、宝石商の所へ寄ってから行って来ます」
「そうか」
少し残念そうではあるけれど、ノーツは優しげに笑った。
いつもお世話をかけております。
私もちゃんと罠《トラップ》感知や鍵開け出来るか、気になるし、頑張ってみよう。
遅くなったら迎えに来て欲しい、なんて言おうと思ったけど止めた。
それじゃ頼ってる事になるもんな。
少しずつでも自分達の力で進まないと駄目だ。
そして投げ短刀《ナイフ》も。
あ、そうだ。
ノーツさんにお願いしよっと。
「ノーツさん。お願いがあるんですけど。ノーツさんて素手戦闘も出来ますよね?二人に教えてあげてくれますか?」
「ああ、いいぞ」
武器だって落としたり壊れたりして、咄嗟に素手で対応しなくてはならない事もある。
私はまだ射程の短い短剣《ダガー》を使うから、素手戦闘もやり易いけど、剣だと距離感が全く違う。
少しでも習っていた方がいい。
結局その日も二人はひんひん泣かされた。
殴られ、蹴られ、投げ飛ばされ。
容赦ないAランク冒険者の猛攻を受けたのだから仕方ない。
私も私で、罠解除を含めた技術も学びたいし、実地もそろそろやるか。
本当は依頼できちんと稼げるようになってから、と思っていたけど。
お昼の時に、ノーツに相談してみよう。
お昼ご飯にノーツが連れてきてくれた店は、この前とは違う店。
店自体は大きくなくて、町の食堂という感じ。
ノーツ大好きお肉のお店だ。
肉料理を前にして、男子は喜んでガツガツ食べている。
育ち盛りだもんね。
運動後だし。
私もモグモグ食べる。
脂が甘い。
「美味しいですねぇ。何のお肉かな」
「確か北10層の野豚《ワイルド・デュラック》かな?」
「へぇ…迷宮産の動物のお肉も食べられるんですねぇ」
冒険者が狩るのかな?
それとも狩人を鍛えて送り込むのかな?
私の疑問を浮かべた表情に、ノーツが笑う。
「5年くらい前らしいが、狩人ギルドに依頼された冒険者が、10層まで護衛任務をしたらしいぞ。だが、動物とはいえ10層にいるんだ、弱いわけではない。滞りなく狩れる様になるまで時間はかかったようだが、今では安定供給できるくらいにはなっている」
「ふむふむ。乱獲しないように規制とかあるんですかね?」
ダンジョン内の資源とはいえ、無限ではないだろう。
だが、10層に到達できる人間が限られているのもまた事実。
「規制はないかも知れないが、大迷宮《ネルガル》の前には門番がいるからな。大きな荷物は検閲される事になる。流石に魔獣討伐で得たドロップ品などに干渉はしてこないが」
「へぇえ……じゃあ10層まででギリギリの実力で、狩りで生計立てる人もいそうですね」
「いるかも知れないな」
全然どんな場所だか予想つかないけれど、ある一定以上の実力があれば、素材採集でも生きていける道が残されるというのはちょっといいな。
だって、冒険者だって体力は衰えて、引退を余儀なくされるじゃない?
でもポータルで安全に行き来できる階層で、割と安全にアイテム採取で暮らせるなら。
落ちぶれて、ランク下がって、資格を剥奪されて…なんて事にもならない。
「うーん、今の実力で東の迷宮っていけると思います?」
「それは、大丈夫だろう。低層なら即死級の罠《トラップ》もないし、練習にはいいと思う。俺が付き添っても良い」
付き添い……付き添いかぁぁ……。
安心安全の迷宮攻略かぁ……。
「いや、何時までもノーツさんに甘えているわけにはいかない」
「そうですよ。私達も実力を試さないと」
迷ってたら王子とメガネが騒ぎ出した。
殊勝な事言うじゃん。
その意気やよし。
「二人もこう言ってるので、宝石商の所へ寄ってから行って来ます」
「そうか」
少し残念そうではあるけれど、ノーツは優しげに笑った。
いつもお世話をかけております。
私もちゃんと罠《トラップ》感知や鍵開け出来るか、気になるし、頑張ってみよう。
遅くなったら迎えに来て欲しい、なんて言おうと思ったけど止めた。
それじゃ頼ってる事になるもんな。
少しずつでも自分達の力で進まないと駄目だ。
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