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小魚しか取れない奴らとは違う
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「ああ、良かった、ミア。伝えたい事があったんだ」
ギルドに報告に戻ると、ノーツが待っていたようで、話しかけてきた。
ずっと待ってたのかな?
かわいそう。
スーパーの前でご主人を待っている犬みたい。
「え?ずっと待ってたんですか?」
「あ、いや、報告に来ると思って少し前からだから、気にしなくていい」
「それなら良かったです。えっと?伝えたい事って何ですか?」
私が問いかけると、少し困ったようにノーツは周囲を見回した。
人が多いここでは話せない内容か。
私はエミリーさんに声をかける。
「奥の部屋お借りします」
「ええ、どうぞー」
当然のように王子とメガネも付いて来ようとしたけれど、無言で受付を指差したら、しおしおと戻って行った。
何の話か分からない以上、付属物はいらん。
部屋に入ると、ノーツはさっきよりも申し訳なさそうにしている。
耳を伏せて、俯いている大きなわんこ。
「え?何か叱られるような事したんですか?」
私がノーツを叱るとか、そんな要素無いと思うんだけどなぁ?
ノーツは僅かに頷いてるけど。
一体何なんだろう?
怒らないから言ってみなさい。
ってよく言うけど、絶対怒るよね。
益々理由が分からないぞ。
「……あの、薬だ」
ああ、あげたやつ。
試作品だ。
「落として割っちゃったとか?その位で怒りませんよ?」
別に怪我がなく戻ってきてくれれば良いってお守りみたいな、保険みたいなものだし。
どうせ飲んだら無くなる、消え物だ。
後生大事に取っておく物ではない。
「いや違う。20階層の水の街で、荷物整理をしている時に、錬金術師に見られてしまったんだ」
「薬を、ですか?」
ははあ、それは厄介な。
かと言って、見せびらかした訳でもないのに、怒ったりしませんが。
でも、ノーツは相変わらず申し訳なさそう。
「自ら迷宮にも挑むダーヴィドという高名な錬金術師なんだが、どうしても製作者が知りたいというので、確認してからと答えたんだ。薬も譲って欲しいと言われたが、断った」
んんん、流石です。
うちの子供達だったら、ドヤ顔で私の名前をバラしそう。
後で注意しておかないとな。
とはいえ、この街一番の錬金術師で、私が今一番話したい人だ。
怪我の功名とはこういう事をいうのだろう。
「ご配慮ありがとうございます、ノーツさん。私も話をしてみたいと思っていた相手なので、口外しないという約束でなら、その人にだけ名前を教えても大丈夫です。機会を作ってもらえれば、薬も持っていくと伝えてください」
「……そうか!」
ぱあっとノーツの顔が明るく輝く。
良かった良かった。
伏せていた耳もピコーンと立ち上がってるみたい。
「あと、宜しければこの後、夕食を食べに行きますけど、一緒にどうですか?」
「ああ、喜んで」
「冒険のお話聞きたいです」
にこにこ話をしながら、ギルドの広間に戻ると、二人は掌に銀貨を載せて肩を下げていた。
ああ。
稼ぎの少なさにまた打ちひしがれているのね。
無理も無いけど。
小魚しか獲って来れない鵜だもんな。
「さ、二人とも。夕食にしましょう」
二人は顔を上げると、にこにこしているノーツに目を向けた。
王子がぽそりと言う。
「その、ノーツさんも一緒にか?」
「そうですよ。冒険の話、アルとサーフも聞きたいでしょう?」
そう言ったら興味が湧いたのか、二人は頷いた。
単純で素直なのは良いことだ。
私は私の報酬を受け取って、三人と一緒に「黄金の野うさぎ亭」に向かった。
ノーツにも是非クレープを食べて貰いたい。
ギルドに報告に戻ると、ノーツが待っていたようで、話しかけてきた。
ずっと待ってたのかな?
かわいそう。
スーパーの前でご主人を待っている犬みたい。
「え?ずっと待ってたんですか?」
「あ、いや、報告に来ると思って少し前からだから、気にしなくていい」
「それなら良かったです。えっと?伝えたい事って何ですか?」
私が問いかけると、少し困ったようにノーツは周囲を見回した。
人が多いここでは話せない内容か。
私はエミリーさんに声をかける。
「奥の部屋お借りします」
「ええ、どうぞー」
当然のように王子とメガネも付いて来ようとしたけれど、無言で受付を指差したら、しおしおと戻って行った。
何の話か分からない以上、付属物はいらん。
部屋に入ると、ノーツはさっきよりも申し訳なさそうにしている。
耳を伏せて、俯いている大きなわんこ。
「え?何か叱られるような事したんですか?」
私がノーツを叱るとか、そんな要素無いと思うんだけどなぁ?
ノーツは僅かに頷いてるけど。
一体何なんだろう?
怒らないから言ってみなさい。
ってよく言うけど、絶対怒るよね。
益々理由が分からないぞ。
「……あの、薬だ」
ああ、あげたやつ。
試作品だ。
「落として割っちゃったとか?その位で怒りませんよ?」
別に怪我がなく戻ってきてくれれば良いってお守りみたいな、保険みたいなものだし。
どうせ飲んだら無くなる、消え物だ。
後生大事に取っておく物ではない。
「いや違う。20階層の水の街で、荷物整理をしている時に、錬金術師に見られてしまったんだ」
「薬を、ですか?」
ははあ、それは厄介な。
かと言って、見せびらかした訳でもないのに、怒ったりしませんが。
でも、ノーツは相変わらず申し訳なさそう。
「自ら迷宮にも挑むダーヴィドという高名な錬金術師なんだが、どうしても製作者が知りたいというので、確認してからと答えたんだ。薬も譲って欲しいと言われたが、断った」
んんん、流石です。
うちの子供達だったら、ドヤ顔で私の名前をバラしそう。
後で注意しておかないとな。
とはいえ、この街一番の錬金術師で、私が今一番話したい人だ。
怪我の功名とはこういう事をいうのだろう。
「ご配慮ありがとうございます、ノーツさん。私も話をしてみたいと思っていた相手なので、口外しないという約束でなら、その人にだけ名前を教えても大丈夫です。機会を作ってもらえれば、薬も持っていくと伝えてください」
「……そうか!」
ぱあっとノーツの顔が明るく輝く。
良かった良かった。
伏せていた耳もピコーンと立ち上がってるみたい。
「あと、宜しければこの後、夕食を食べに行きますけど、一緒にどうですか?」
「ああ、喜んで」
「冒険のお話聞きたいです」
にこにこ話をしながら、ギルドの広間に戻ると、二人は掌に銀貨を載せて肩を下げていた。
ああ。
稼ぎの少なさにまた打ちひしがれているのね。
無理も無いけど。
小魚しか獲って来れない鵜だもんな。
「さ、二人とも。夕食にしましょう」
二人は顔を上げると、にこにこしているノーツに目を向けた。
王子がぽそりと言う。
「その、ノーツさんも一緒にか?」
「そうですよ。冒険の話、アルとサーフも聞きたいでしょう?」
そう言ったら興味が湧いたのか、二人は頷いた。
単純で素直なのは良いことだ。
私は私の報酬を受け取って、三人と一緒に「黄金の野うさぎ亭」に向かった。
ノーツにも是非クレープを食べて貰いたい。
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