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ツンデレなアルトの消極的なお誘い
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薬草採取しつつ、家に連れて帰る薬草ちゃんを決めて、育てる量を増やそうかなーなんて思いながら、ギルドに向かうと、エミリーさんが待ち構えていた。
そして、来て、と言って奥に連れて行かれる。
「昨日ね、専属契約についてはお断りしたんだけど…」
エミリーさんが言いながら、机の上にぴらりと置かれたのは、指名依頼。
アーヴォからだろう。
基本的に依頼は受けてから、依頼人などの情報も明かされるのだが、昨日の今日だ。
分かりやすい。
しかも、青い薬草と指定。
5銀貨。
いや一本5銀貨なら分かるけどさあ、1日の量ってだいたい10~30本程度。
そんなに取れるわけねぇんだよ。
取れてたらもっと市場に出てるでしょ。
これだから引き篭もりは。
「あーこれは無理ですね。たまたま、1本だけ、見つけたものなので。そうそう簡単に摂れる薬草じゃないんだと思いますよ」
私はめちゃくちゃ適当にそう言った。
嘘だけど。
これ以上秘密を増やすのも良くないし。
でもエミリーさんは笑顔で圧をかけてくる。
「じゃあ、そういう風に説明しておくわね。でも、どの辺に生えてたかとか、そういう情報がないと困るわねぇ?」
ちらり、とエミリーさんはこちらを見る。
流石は受付嬢。
可愛い。
じゃなくて、海千山千である。
んぐぐ。
「あー……うー……ん。じゃあ、これも秘匿事項って事で、エミリーさんの心の中だけに留めて、冒険者情報にも載せないで貰えるなら」
「いいわ」
エミリーさんは即答する。
ここまでお世話になってるんだから仕方ない。
私は覚悟を決めた。
「前に私、家で育てられないのかって聞いたじゃないですか?」
「ええ、そうね。覚えてる」
「だから、試しに育ててみたんですよ。って言っても引っこ抜いてきたの植え替えて水あげただけなんですけど」
「それが、変異したという事かしら?」
確証は無いけど、家にいる子達は皆同じ色である。
私はこっくりと頷いた。
「光魔法の影響かしらね……植物に直接回復魔法をかけたりは?」
「してません。お水あげて光合成させてるだけです」
「コウゴウセイ?」
「ああ、日光を当ててるだけですね」
この世界には光合成とかの知識や概念はないか。
水と光、それさえあれば植物は育つのだ。
まあ、原理を知らなくても問題はない。
エミリーさんは黙り込んで考えているが、うん、と一つ頷いた。
「取り合えず、依頼主にはどこで採取したのか覚えていないけど、突然変異という事にして、連絡しておくわ」
「お願いします。お手数おかけして申し訳ないです」
「いえいえ、冒険者の扶助もギルドのお仕事ですから。でも、薬草採取の時は気をつけてね。人を雇って狙ってくる可能性もあるから」
ああ。
ありそう。
何かやだなあ。
暫くは、門から近い場所で採ることにしよう。
それか、もう少しアルトに、市街地での技術《スキル》とか徹底して教わろうかな。
少なくとも金銭的には大聖堂勤務で賄えるし。
面倒臭い奴に絡まれたのだから仕方ない。
半分以上は自業自得だし。
でもその前にご忠告どおり図書館で錬金術の初歩を勉強して、材料も買い足して作ってみよう。
良いものが出来れば儲けものだし、薬草も使い切りたいしね。
アルトとの訓練は順調で、簡単な罠設置や罠解除は習得済だ。
鍵開けも拙いながら何とか出来るようにはなっている。
今は戦闘訓練も素振りじゃなくて、模擬戦闘をこなせるようになっていて、短剣《ダガー》レベルも5まで上がった。
そのほかにも素手戦闘や蹴り等のスキルも上がっている。
「なあ、あれから……ノーツとはどうなんだ?」
「……え?どうって?何もありませんけど?ああ、挨拶はしますよ、訓練場で」
市街地での尾行を教わりながら、アルトに聞かれたことを答える。
何でアルトが気にするんだろう?嫉妬?
「そんなに心配しなくても、ノーツさんを取ったりしませんよ」
「……そっちじゃねぇ」
「え?そっちってどっちですか」
私が聞き返すと、アルトはふいっと顔を背けた。
なんなん?
何か複雑な恋愛模様でもあるのかな?
「もしかして、アルトさんの好きな相手がノーツさん好きだから、ノーツさんを誰かとくっつけたいとか?」
「勝手に話を複雑にするんじゃねぇ」
えー、シンプルにしたらしたで怒るくせに。
もっと直球で来いよ!
「えー、アルトさんがノーツさんを好きって言うと怒るでしょ?じゃあ他に何があるんですか。あっ、ただの応援?」
「応援はしてねぇ。もういい」
「てか、最近ずっと一番私が会話してるのアルトさんじゃないですか」
そう言うと、何だか気まずそうにしている。
あ。
これは。
「もしかして、ノーツさんが私の剣の指導したいから、辞めろとか言われてます?弟子の取り合いですか?でもまだ習いたい事あるから無理だなぁ……」
「そうか、ならいい」
いいんだ。
皆、先生になりたいお年頃かな?
よく分からんけど。
でも、こう一人じゃ入りにくいお店もあるのは事実で。
「もしノーツさんが寂しがってるなら、また食事でも連れてって貰おうかなー。奢ってくれるし」
「別に、飯ぐらい俺も奢るが?」
えっ?
ツンデレ?
ツンデレなお誘いきた?
でも、正直アルトさんの連れて行ってくれる店、興味ある。
「じゃあ、連れてってくださいよ。アルトさんのお勧めの店」
「……おい、そんな簡単に決めていいのか」
悩んで悩み抜いて決めなきゃならんの?
それもそれでめんどくない?
「アルトさんのお勧めのお店興味あるし、知らない仲でもないし、いいじゃないですか」
「まあ、お前がいいなら、いいけど」
私が背中をばしばしすると、アルトは頬を指でぽりぽり掻いた。
少しだけ頬が染まっている。
そして、来て、と言って奥に連れて行かれる。
「昨日ね、専属契約についてはお断りしたんだけど…」
エミリーさんが言いながら、机の上にぴらりと置かれたのは、指名依頼。
アーヴォからだろう。
基本的に依頼は受けてから、依頼人などの情報も明かされるのだが、昨日の今日だ。
分かりやすい。
しかも、青い薬草と指定。
5銀貨。
いや一本5銀貨なら分かるけどさあ、1日の量ってだいたい10~30本程度。
そんなに取れるわけねぇんだよ。
取れてたらもっと市場に出てるでしょ。
これだから引き篭もりは。
「あーこれは無理ですね。たまたま、1本だけ、見つけたものなので。そうそう簡単に摂れる薬草じゃないんだと思いますよ」
私はめちゃくちゃ適当にそう言った。
嘘だけど。
これ以上秘密を増やすのも良くないし。
でもエミリーさんは笑顔で圧をかけてくる。
「じゃあ、そういう風に説明しておくわね。でも、どの辺に生えてたかとか、そういう情報がないと困るわねぇ?」
ちらり、とエミリーさんはこちらを見る。
流石は受付嬢。
可愛い。
じゃなくて、海千山千である。
んぐぐ。
「あー……うー……ん。じゃあ、これも秘匿事項って事で、エミリーさんの心の中だけに留めて、冒険者情報にも載せないで貰えるなら」
「いいわ」
エミリーさんは即答する。
ここまでお世話になってるんだから仕方ない。
私は覚悟を決めた。
「前に私、家で育てられないのかって聞いたじゃないですか?」
「ええ、そうね。覚えてる」
「だから、試しに育ててみたんですよ。って言っても引っこ抜いてきたの植え替えて水あげただけなんですけど」
「それが、変異したという事かしら?」
確証は無いけど、家にいる子達は皆同じ色である。
私はこっくりと頷いた。
「光魔法の影響かしらね……植物に直接回復魔法をかけたりは?」
「してません。お水あげて光合成させてるだけです」
「コウゴウセイ?」
「ああ、日光を当ててるだけですね」
この世界には光合成とかの知識や概念はないか。
水と光、それさえあれば植物は育つのだ。
まあ、原理を知らなくても問題はない。
エミリーさんは黙り込んで考えているが、うん、と一つ頷いた。
「取り合えず、依頼主にはどこで採取したのか覚えていないけど、突然変異という事にして、連絡しておくわ」
「お願いします。お手数おかけして申し訳ないです」
「いえいえ、冒険者の扶助もギルドのお仕事ですから。でも、薬草採取の時は気をつけてね。人を雇って狙ってくる可能性もあるから」
ああ。
ありそう。
何かやだなあ。
暫くは、門から近い場所で採ることにしよう。
それか、もう少しアルトに、市街地での技術《スキル》とか徹底して教わろうかな。
少なくとも金銭的には大聖堂勤務で賄えるし。
面倒臭い奴に絡まれたのだから仕方ない。
半分以上は自業自得だし。
でもその前にご忠告どおり図書館で錬金術の初歩を勉強して、材料も買い足して作ってみよう。
良いものが出来れば儲けものだし、薬草も使い切りたいしね。
アルトとの訓練は順調で、簡単な罠設置や罠解除は習得済だ。
鍵開けも拙いながら何とか出来るようにはなっている。
今は戦闘訓練も素振りじゃなくて、模擬戦闘をこなせるようになっていて、短剣《ダガー》レベルも5まで上がった。
そのほかにも素手戦闘や蹴り等のスキルも上がっている。
「なあ、あれから……ノーツとはどうなんだ?」
「……え?どうって?何もありませんけど?ああ、挨拶はしますよ、訓練場で」
市街地での尾行を教わりながら、アルトに聞かれたことを答える。
何でアルトが気にするんだろう?嫉妬?
「そんなに心配しなくても、ノーツさんを取ったりしませんよ」
「……そっちじゃねぇ」
「え?そっちってどっちですか」
私が聞き返すと、アルトはふいっと顔を背けた。
なんなん?
何か複雑な恋愛模様でもあるのかな?
「もしかして、アルトさんの好きな相手がノーツさん好きだから、ノーツさんを誰かとくっつけたいとか?」
「勝手に話を複雑にするんじゃねぇ」
えー、シンプルにしたらしたで怒るくせに。
もっと直球で来いよ!
「えー、アルトさんがノーツさんを好きって言うと怒るでしょ?じゃあ他に何があるんですか。あっ、ただの応援?」
「応援はしてねぇ。もういい」
「てか、最近ずっと一番私が会話してるのアルトさんじゃないですか」
そう言うと、何だか気まずそうにしている。
あ。
これは。
「もしかして、ノーツさんが私の剣の指導したいから、辞めろとか言われてます?弟子の取り合いですか?でもまだ習いたい事あるから無理だなぁ……」
「そうか、ならいい」
いいんだ。
皆、先生になりたいお年頃かな?
よく分からんけど。
でも、こう一人じゃ入りにくいお店もあるのは事実で。
「もしノーツさんが寂しがってるなら、また食事でも連れてって貰おうかなー。奢ってくれるし」
「別に、飯ぐらい俺も奢るが?」
えっ?
ツンデレ?
ツンデレなお誘いきた?
でも、正直アルトさんの連れて行ってくれる店、興味ある。
「じゃあ、連れてってくださいよ。アルトさんのお勧めの店」
「……おい、そんな簡単に決めていいのか」
悩んで悩み抜いて決めなきゃならんの?
それもそれでめんどくない?
「アルトさんのお勧めのお店興味あるし、知らない仲でもないし、いいじゃないですか」
「まあ、お前がいいなら、いいけど」
私が背中をばしばしすると、アルトは頬を指でぽりぽり掻いた。
少しだけ頬が染まっている。
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