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うっかり約束を忘れてしまった
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あ、そうだ。
聞きたかった事あったんだった。
「エミリーさん、あの薬草採取で助かってる身ではあるんですけど、薬草って育てる事出来ないんですか?」
「専門家ではないので、種類に寄ると思いますけど、出来ますよ」
なあんだ。
出来るんだ。
「でも、城壁の内側って土地が少ないので、畑は無理でしょうね」
土地問題か。
世知辛いな。
それに、わざわざ外に出て危険を冒して世話して採取するよりは、その辺に適当にある奴を持ってきてもらうのが良いのかもしれない。
世話するのにだって、お金も時間もかかるもんね。
だったら手間隙かけずに、育ったもの採ったほうが安上がりか。
私はふむふむと相槌を打つ。
「あの、依頼者に会う事って出来ます?錬金術師か何かですよね?」
「もしかして、錬金術も勉強したいの?」
鋭い!
その通りです。
私が頷くと、エミリーさんはにっこりした。
「じゃあ、先方に聞いてみるわね。あ、でも本なら図書館にもあるし、冒険者カードでも中に入れるのでお勧めよ。あと、専属契約は簡単にしない方が良いわ。人によっては不当な契約を結ぼうとするから、そういう時は遠慮せずに相談してね?」
「はい、わかりました。じゃあ、また明日!」
よーし。
植木鉢買って帰ろう。
土はその辺にあるかな?
公園の土でいいか。
私はすっかりノーツの事を忘れて、意気揚々と市場へ向かった。
「ミア!……夕飯は、どうする?」
追いかけてきたノーツに声をかけられて、私はうっかり忘れていた事を思い出した。
忘れてました、なんて言ったら、また雨に濡れた犬みたいになるんだろうな。
「すいません。考え事しちゃってて…植木鉢を買おうと思うんですよ。今日採ってきた薬草を育ててみようかなって…」
ごめんなさい、と頭を下げると、慌ててノーツに肩をつかまれた。
「いや、謝る事じゃない。そうか、じゃあ俺は一度宿に戻って着替えてくるから、君の宿屋に迎えに行けばいいだろうか?」
そういえば、スライムでべちゃべちゃでしたね。
乾き始めてはいるけど、鎧の手入れも必要だろう。
あれ?
でも、清潔《クリーン》使えば、大抵の汚れは落ちるんじゃ?
「ノーツさんは、魔法全然使えないんですか?」
「………ああ、そうだ……」
ああっ!
雨に打たれてる!
雨の中で項垂れてる犬になってる!
「責めたわけじゃないです!あの、宜しければ清潔《クリーン》しましょうか?」
「いや、拭けば済むことだ。貴重な魔力を使わせるわけには…」
確かにそうかもしれないけど、使わないと上達しないんで。
多分。
清潔《クリーン》
自分以外に使う場合は接触が条件だ。
私はノーツの胸に手を当てて魔法を発動した。
ふわっと風が包むような感じがして、スライム汚れは落ちたようだった。
「おお……すごいな」
「冒険中でもないんですから、遠慮しなくてもいいんですよ」
にこっと微笑むと、ノーツは照れ臭そうに笑った。
「ありがとう。これで鎧の手入れは省略できたな。だが、一度着替えに戻るよ。また後で」
「はーい。待ってますね!」
散歩に行くよーと声をかけられて、尻尾をブンブン振っている犬のように嬉しそうに、ノーツは大きく手を振って歩いて行った。
私はそのまま市場へと向かう。
目当ての植木鉢を購入して、丈夫なハンカチと、大き目の布も買う。
そして今後も必要になるかもしれないので、手に馴染むスコップも買ってポーチに入れた。
うーん。そういえば、この収納魔法のかかったポーチを見て思い出したけど、水袋の収納魔法版とか無いのかな?
水を沢山持ち歩けるって、かなり助かると思うんだけど。
思わず色々な露店を覗こうとしてハッとする。
ノーツとの約束を再び忘れる所だった。
また今度買い物に来よう。
私は宿屋へと向かった。
聞きたかった事あったんだった。
「エミリーさん、あの薬草採取で助かってる身ではあるんですけど、薬草って育てる事出来ないんですか?」
「専門家ではないので、種類に寄ると思いますけど、出来ますよ」
なあんだ。
出来るんだ。
「でも、城壁の内側って土地が少ないので、畑は無理でしょうね」
土地問題か。
世知辛いな。
それに、わざわざ外に出て危険を冒して世話して採取するよりは、その辺に適当にある奴を持ってきてもらうのが良いのかもしれない。
世話するのにだって、お金も時間もかかるもんね。
だったら手間隙かけずに、育ったもの採ったほうが安上がりか。
私はふむふむと相槌を打つ。
「あの、依頼者に会う事って出来ます?錬金術師か何かですよね?」
「もしかして、錬金術も勉強したいの?」
鋭い!
その通りです。
私が頷くと、エミリーさんはにっこりした。
「じゃあ、先方に聞いてみるわね。あ、でも本なら図書館にもあるし、冒険者カードでも中に入れるのでお勧めよ。あと、専属契約は簡単にしない方が良いわ。人によっては不当な契約を結ぼうとするから、そういう時は遠慮せずに相談してね?」
「はい、わかりました。じゃあ、また明日!」
よーし。
植木鉢買って帰ろう。
土はその辺にあるかな?
公園の土でいいか。
私はすっかりノーツの事を忘れて、意気揚々と市場へ向かった。
「ミア!……夕飯は、どうする?」
追いかけてきたノーツに声をかけられて、私はうっかり忘れていた事を思い出した。
忘れてました、なんて言ったら、また雨に濡れた犬みたいになるんだろうな。
「すいません。考え事しちゃってて…植木鉢を買おうと思うんですよ。今日採ってきた薬草を育ててみようかなって…」
ごめんなさい、と頭を下げると、慌ててノーツに肩をつかまれた。
「いや、謝る事じゃない。そうか、じゃあ俺は一度宿に戻って着替えてくるから、君の宿屋に迎えに行けばいいだろうか?」
そういえば、スライムでべちゃべちゃでしたね。
乾き始めてはいるけど、鎧の手入れも必要だろう。
あれ?
でも、清潔《クリーン》使えば、大抵の汚れは落ちるんじゃ?
「ノーツさんは、魔法全然使えないんですか?」
「………ああ、そうだ……」
ああっ!
雨に打たれてる!
雨の中で項垂れてる犬になってる!
「責めたわけじゃないです!あの、宜しければ清潔《クリーン》しましょうか?」
「いや、拭けば済むことだ。貴重な魔力を使わせるわけには…」
確かにそうかもしれないけど、使わないと上達しないんで。
多分。
清潔《クリーン》
自分以外に使う場合は接触が条件だ。
私はノーツの胸に手を当てて魔法を発動した。
ふわっと風が包むような感じがして、スライム汚れは落ちたようだった。
「おお……すごいな」
「冒険中でもないんですから、遠慮しなくてもいいんですよ」
にこっと微笑むと、ノーツは照れ臭そうに笑った。
「ありがとう。これで鎧の手入れは省略できたな。だが、一度着替えに戻るよ。また後で」
「はーい。待ってますね!」
散歩に行くよーと声をかけられて、尻尾をブンブン振っている犬のように嬉しそうに、ノーツは大きく手を振って歩いて行った。
私はそのまま市場へと向かう。
目当ての植木鉢を購入して、丈夫なハンカチと、大き目の布も買う。
そして今後も必要になるかもしれないので、手に馴染むスコップも買ってポーチに入れた。
うーん。そういえば、この収納魔法のかかったポーチを見て思い出したけど、水袋の収納魔法版とか無いのかな?
水を沢山持ち歩けるって、かなり助かると思うんだけど。
思わず色々な露店を覗こうとしてハッとする。
ノーツとの約束を再び忘れる所だった。
また今度買い物に来よう。
私は宿屋へと向かった。
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