ざまぁ返しを全力回避したヒロインは、冒険者として生きていく~別れた筈の攻略対象たちが全員追ってきた~

ひよこ1号

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悲報:二人は好みじゃない

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「リサです。ミアちゃんのお嫁さんです」

可愛らしくふふっと笑う姿に、ノーツとアルトはぽかんと口を開けた。
リサさんの方が一枚上手ですね。

「そうなんです。綺麗でしょう?しかもお料理がすごく美味しいんです」

何だか呆然としている二人を席に案内して座らせると、たたたっと軽やかな足音がして、何かが腰に抱きついた。

「違うもん!ミア姉のお嫁さんはリヤだもん!」
「そうそう。そうだったね。はあ可愛い!で、二人は何食べます?」

抱きついてきたリヤちゃんを抱きしめつつ、頭を撫でながら注文を取ると、やっと我に返った二人が店の壁に貼ってあるメニューを見る。

「特製ランチの大盛りと、今日の煮込み料理を頼む」
「俺は特製ランチで」

リヤちゃんは注文を聞くと、てきぱきと奥に伝えて、水の入ったカップを二人の前にとん、と置いた。
私は奥に行くと、賄い料理の手伝いをする。
そして、ノーツとアルトの席で御飯を食べる事を伝えた。

「今日は向こうで二人と食べますね」
「ねえねえミア姉は、どっちと付き合ってるの?」

突然の爆弾発言である。
お嬢さんはおマセさんですな。

「えー?私はリヤちゃん一筋だよ?」
「そういうのいいから」

女子ってこういうとこあるよね。
めっちゃ冷たいじゃん?

「どっちでもないよ。二人は先生みたいなもので、今日の依頼にちょっと付き添って貰うだけ。リヤちゃんはどっちがいいとかあるの?」
「うーん、どっちも趣味じゃないかなー」

辛辣すぎぃ。
筋肉と影のある男は駄目、と。
私は心のメモに記した。

「ねーママは?」

おっと、そっちにも聞く??
でも、私も知りたい。
知りたいので、黙って見ていると、リサさんはうーん、と眉を下げる。

「そうねぇ。どっちも違うかなぁ?同じ歳くらいの男性の方が素敵に見えるのよね」

あー年下駄目かぁ!
残念!

私は出来上がった賄い御飯を持って、リヤちゃんはランチを持って、席に戻った。

「お待たせしました」
「向こうで一緒に食べなくていいのか?……その、嫁と」

あれ?本気にしてる?
私は思わず頬をほんのり染めつつ、目を逸らしているノーツを見つめた。

「ええ。アルトさんとノーツさん二人きりにすると喧嘩するかキスしそうなので」
「それはない」

二人の声が重なった。
息はぴったりですな。
でも喧嘩はするよね。
私は二人の間の席に座ると、先程の事を思い出した。
一応伝えないと、いけませんね。

「ここで、非常に残念なお知らせがあります」

私は沈痛な面持ちを作って言うと、二人が真剣な顔になる。
予定が変更になったのか?と思ったのかもしれない。
でも違う。
リヤちゃんが、煮込みスープをノーツの前に置いた。

「リサさんとリヤちゃんは、二人の事は趣味じゃないそうです」
「そういう情報はいらないんだが……?」
「わざわざ言う必要あるか……?」

ノーツとアルトが非常に悲しそうに言うので、私も心を鬼にした。

「だって、二人とも!あんなに!綺麗で!可愛いでしょう?余計な夢を見ないようにという親切です」
「小さな親切大きなお世話って言葉知ってるか?」

アルトが目を眇めながら、フォークで私を指してくる。
私は賄いを食べながら、答えた。

「食器で人の事指すのはお行儀が悪いですよ。ほら食べて食べて。美味しく栄養摂ったら薬草摘みです」
「付いてくる必要なかったかもな……」
「うるさいぞ」

おや?
今更薬草摘みの監視係がつまらないと気づいたのかな?

私はアルトを見て、頷く。

「別にご飯食べたら帰っても大丈夫ですよ?」

私の言葉で、何故かぱあっとノーツが明るい顔になり、逆にアルトが渋い顔になる。

「いや別に。用があるわけじゃねーし、すぐそこだろ?」
「まあ、すぐそこですけど……」

付いてくると分かったからか、ノーツが溜息を吐いてもりもりとご飯を食べ始めた。
何だろう?
ノーツが犬だとすると、アルトは猫かな?
楽しそうにしてると邪魔したい人なのかもしれない。
性格悪い。
でも猫だと思うと可愛いから不思議。
実際は猫じゃないから微妙だけど。

私は賄いを味わいつつ、冒険についての話を二人に聞くことにした。
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