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冒険者になる準備だよ
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悪役令嬢ならぬ悪役の正ヒロインから冒険者になりました。
ざまぁ返しされるだけの拙い断罪前に、私は目覚めた。
私の中身が逃亡したのか何なのか、未だに原理は良く分からないが。
記憶が無いまま、取り巻きの男達を理論で殴って正気を取り戻させて、逃亡。
前世の記憶だってぼんやりだ。
何か家に居た、くらいしかない。
私はドレス姿で急いで医務室へ行き、診断書を貰うと、職員棟へと行って残っていた教師に事情を話して家の住所をゲットした。
ついでに、図書館に行って必要な本を数冊借りて、男爵家へと戻った。
男爵家では義両親に記憶喪失になった事を話す。
「……ですので、除籍して頂きたいのですが」
「何の為に平民のお前を引き取ったと思っている!」
あーね、やっぱ平民、孤児コースだったか。
母親は愛人かと思ってたけど、やっぱり幼馴染のペーターが言ってた事は合ってるみたい。
「王子殿下に見初められてましたけど、正しい婚約者にお返ししましたよ?」
「何故だ!……いや他にも高位貴族の令息がいただろう」
「ええ、全て返却済です」
返却してないし、するつもりはないのはこの図書館で借りてきた本だけです。
名前は勿論フルネームだったので、男爵家に請求がくるでしょ。
知らんけど。
「いいから、一人でもつかまえてk」
「男爵家を没落させたいなら、分かりました」
「は?」
隣に立つ母、というか多分継母も驚いた顔をしている。
「王子の婚約者の公爵令嬢にはとっくに目を付けられてましたけど、今日記憶がなくなったという事を伝えて逃げてきたので、まだ抗議や慰謝料の請求は届いてないと思います。でも、明日以降色んな所から届くかもしれませんよ」
「な……」
「いや、何故って、当たり前でしょ。婚約者いる人を誘惑するのがおかしいんだって。婚約破棄にしろ解消にしろ、私が原因なら抗議も慰謝料の要求も当然の権利でしょ?早目に除籍しないと、没落させられますよ」
さあっと顔を青くした父が、バタバタと自分の書斎の方へと歩いていく。
「記憶がないので分かりませんけれど、ご迷惑をおかけしてたのなら申し訳ありません」
とりあえず、私は目の前の女性に頭を下げてお辞儀をして、部屋に戻った。
はーめんどくさ。
あとは、あれだ、部屋を片付けなきゃ。
この世界って魔法はあるみたいだけど、空間魔法はどうなんだろ。
収納魔法は欲しいんだが。
図書館から借りパクしてきた魔法の本を読みふける。
光の魔法は正ヒロインの必須スキルだけど、中身の奴サボってたんじゃねえだろうな。
初級の小回復しかできないんだが?
せめて解毒は覚えたい。
これから冒険に出るんだから。
収納魔法は、高等魔法なんかな…
魔法の基本の基、という本には載ってなかった。
もう一冊は魔術大全という大きな本だからきっと載っているだろうけど、そもそも基礎力が低いと話にならない。
あとは薬草や野草の本だ。
冒険者のお仕事の最低ランクはだいたい薬草採取が定番。
「まずは金だな」
令嬢らしくない事を口走りつつ、私は洋服箪笥を開けた。
あるある。
貢がれた色々な物が!
「よし!全部売っ払おう」
かといって、これを全部運べるかと言えば否。
侯爵令息の家に呼ばれた商人に貰った名刺を引っ張り出して、小間使いに使いを出して貰って呼びつける。
そして、必要の無いドレスと宝石類を全て売り払った。
侯爵家でお買い物した時はお世話になったわね、とか圧をかけつつ交渉したのでまあまあ良い額にはなったと思う。
だが、収納魔法付きの鞄がほしいというと、商人は微妙な顔をした。
「貴族のお嬢様でしたら、召使に運ばせれば良いのでは?」
「用意できないのならできない、と言えばよろしいのよ?」
当然の疑問だが、疑問に答える必要は無い。
欲しいから言ってるのだ、と高圧的に言えば、うーんと商人が考え込む。
「用意できない事はございませんが、収納魔法のついた鞄類は遺跡から発掘されるものでして。まずお貴族様がお持ちになるような華美な見た目はしておりません」
「作れる職人はいないの?」
こっくりと商人は頷く。
「情報は、あります。遥か東の国でそういう物を作れる人物がいるとか。ですが、商品の現物を見たことはございません」
「そう。容量はどれくらいなの?」
「元々の大きさの三倍程度がお手頃でございます。それ以上になると希少価値が跳ね上がりますので」
「背負う形状の大きな鞄と、腰に付ける中程度の鞄が欲しいのだけれど、用意出来る?」
商人は問いかけにうーんと考え込んでから、頷く。
「今日お売り頂いたお品物の半分の額くらいでならご用意出来ます」
「それなら、他の商品も頼もうかしら」
結局2割を残して、私の装備代に消えた。
本当は町を巡って、とも考えたけれど、なるべく時間は有効に使いたい。
私は華奢な見た目だし、剣術をした事なんてない身体だ。
だから神官戦士のような癒しと戦いが出来るバランスファイターは無理。
好きなんだけどなぁ。
かといって、守られるだけのヒーラーや魔法使いなどの後衛はソロ向きではない。
ゲームによっては、攻撃力やバフが盛れるからヒーラーでもソロ可能なものもあったけど。
だとしても打たれ弱いし、この世界はゲームじゃないので死んだらアウトだ。
ならば、シーフレンジャーでいこう。
シーフは室内で、レンジャーは屋外で罠発見や罠解除のスキルもある。
鍵開けも出来るから、宝箱が開けられないとかもない。
よし。
今日はもう寝よう。
疲れた私はすぐに寝た。
ぐう。
ざまぁ返しされるだけの拙い断罪前に、私は目覚めた。
私の中身が逃亡したのか何なのか、未だに原理は良く分からないが。
記憶が無いまま、取り巻きの男達を理論で殴って正気を取り戻させて、逃亡。
前世の記憶だってぼんやりだ。
何か家に居た、くらいしかない。
私はドレス姿で急いで医務室へ行き、診断書を貰うと、職員棟へと行って残っていた教師に事情を話して家の住所をゲットした。
ついでに、図書館に行って必要な本を数冊借りて、男爵家へと戻った。
男爵家では義両親に記憶喪失になった事を話す。
「……ですので、除籍して頂きたいのですが」
「何の為に平民のお前を引き取ったと思っている!」
あーね、やっぱ平民、孤児コースだったか。
母親は愛人かと思ってたけど、やっぱり幼馴染のペーターが言ってた事は合ってるみたい。
「王子殿下に見初められてましたけど、正しい婚約者にお返ししましたよ?」
「何故だ!……いや他にも高位貴族の令息がいただろう」
「ええ、全て返却済です」
返却してないし、するつもりはないのはこの図書館で借りてきた本だけです。
名前は勿論フルネームだったので、男爵家に請求がくるでしょ。
知らんけど。
「いいから、一人でもつかまえてk」
「男爵家を没落させたいなら、分かりました」
「は?」
隣に立つ母、というか多分継母も驚いた顔をしている。
「王子の婚約者の公爵令嬢にはとっくに目を付けられてましたけど、今日記憶がなくなったという事を伝えて逃げてきたので、まだ抗議や慰謝料の請求は届いてないと思います。でも、明日以降色んな所から届くかもしれませんよ」
「な……」
「いや、何故って、当たり前でしょ。婚約者いる人を誘惑するのがおかしいんだって。婚約破棄にしろ解消にしろ、私が原因なら抗議も慰謝料の要求も当然の権利でしょ?早目に除籍しないと、没落させられますよ」
さあっと顔を青くした父が、バタバタと自分の書斎の方へと歩いていく。
「記憶がないので分かりませんけれど、ご迷惑をおかけしてたのなら申し訳ありません」
とりあえず、私は目の前の女性に頭を下げてお辞儀をして、部屋に戻った。
はーめんどくさ。
あとは、あれだ、部屋を片付けなきゃ。
この世界って魔法はあるみたいだけど、空間魔法はどうなんだろ。
収納魔法は欲しいんだが。
図書館から借りパクしてきた魔法の本を読みふける。
光の魔法は正ヒロインの必須スキルだけど、中身の奴サボってたんじゃねえだろうな。
初級の小回復しかできないんだが?
せめて解毒は覚えたい。
これから冒険に出るんだから。
収納魔法は、高等魔法なんかな…
魔法の基本の基、という本には載ってなかった。
もう一冊は魔術大全という大きな本だからきっと載っているだろうけど、そもそも基礎力が低いと話にならない。
あとは薬草や野草の本だ。
冒険者のお仕事の最低ランクはだいたい薬草採取が定番。
「まずは金だな」
令嬢らしくない事を口走りつつ、私は洋服箪笥を開けた。
あるある。
貢がれた色々な物が!
「よし!全部売っ払おう」
かといって、これを全部運べるかと言えば否。
侯爵令息の家に呼ばれた商人に貰った名刺を引っ張り出して、小間使いに使いを出して貰って呼びつける。
そして、必要の無いドレスと宝石類を全て売り払った。
侯爵家でお買い物した時はお世話になったわね、とか圧をかけつつ交渉したのでまあまあ良い額にはなったと思う。
だが、収納魔法付きの鞄がほしいというと、商人は微妙な顔をした。
「貴族のお嬢様でしたら、召使に運ばせれば良いのでは?」
「用意できないのならできない、と言えばよろしいのよ?」
当然の疑問だが、疑問に答える必要は無い。
欲しいから言ってるのだ、と高圧的に言えば、うーんと商人が考え込む。
「用意できない事はございませんが、収納魔法のついた鞄類は遺跡から発掘されるものでして。まずお貴族様がお持ちになるような華美な見た目はしておりません」
「作れる職人はいないの?」
こっくりと商人は頷く。
「情報は、あります。遥か東の国でそういう物を作れる人物がいるとか。ですが、商品の現物を見たことはございません」
「そう。容量はどれくらいなの?」
「元々の大きさの三倍程度がお手頃でございます。それ以上になると希少価値が跳ね上がりますので」
「背負う形状の大きな鞄と、腰に付ける中程度の鞄が欲しいのだけれど、用意出来る?」
商人は問いかけにうーんと考え込んでから、頷く。
「今日お売り頂いたお品物の半分の額くらいでならご用意出来ます」
「それなら、他の商品も頼もうかしら」
結局2割を残して、私の装備代に消えた。
本当は町を巡って、とも考えたけれど、なるべく時間は有効に使いたい。
私は華奢な見た目だし、剣術をした事なんてない身体だ。
だから神官戦士のような癒しと戦いが出来るバランスファイターは無理。
好きなんだけどなぁ。
かといって、守られるだけのヒーラーや魔法使いなどの後衛はソロ向きではない。
ゲームによっては、攻撃力やバフが盛れるからヒーラーでもソロ可能なものもあったけど。
だとしても打たれ弱いし、この世界はゲームじゃないので死んだらアウトだ。
ならば、シーフレンジャーでいこう。
シーフは室内で、レンジャーは屋外で罠発見や罠解除のスキルもある。
鍵開けも出来るから、宝箱が開けられないとかもない。
よし。
今日はもう寝よう。
疲れた私はすぐに寝た。
ぐう。
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