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第三部第一章:英雄の子と灰色の少女
第一話:三代目の不満と二代目達
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「はあ、聖女様を尊敬してるのに魔素と呼びなさい、かぁ」
『聖女の魔法書』をバタンと閉じて、思わずそんなことを呟く。
この世界の心理の一つが書かれた本『魔法書』には、魔素などと言う単語は一言も書かれていない。そこには、二種類のマナが世界を満たしている。と書いてあるだけだ。
一つは陽のマナ。
物理現象を超越する魔法を使う為に必要なエネルギー。それを溜め込む器官を持つ者を魔法使い、細胞と同化させた者を勇者と呼ぶ。
一つは陰のマナ。
収束すれば実体化を持つ魔物の素となるエネルギー。それが実体化した者が魔物で、人の細胞に同化させた者が狛の村と呼ばれる場所に住んでいる人々。
魔法書の説明では、その様になっている。
しかし、現在はその様な呼び方はされていない。
マナに陰陽は無く、あるのは【聖なるマナ】と、その対となる【邪なる魔素】である。
そんな風に、教えられている。
その理由は簡単だ。
かつて世界を救った聖女様は、【狡猾で邪悪な最弱の魔王】通称【藍の魔王】に出し抜かれ、殺されたから。
その【藍の魔王】の為にと名付けられた陰のマナという名前は適切ではない。
聖女様は最初それを負のマナと呼んでいたらしいが、【藍の魔王】の体の半分以上を占めているそれを負と呼ぶのを嫌った聖女様は、陰と名を変えることにしたようだった。
だから、【藍の魔王】が本性を表した時、最初は負のマナでも良いのでは無いかという意見も出ていたらしい。
しかし、それは結局多くの者の賛同を得ることが出来なかった為である。
「マナとは聖女様が名付ける以前から元々呼ばれていた魔法の元であり、それが勇者の体内にも宿っているのならば、それだけをマナと呼ぶべきだ。魔物の元であるソレが、負という文字が付くとは言え同じマナと呼ばれるのは遺憾である」
そんなことを言った有識者達が魔素という呼び方をしたところ、それに世界中が納得してしまったのだ。
聖女様の教え子である二人の魔法使いはそれを快く思っていなかった様だが、世界中が同じ意見を持つ以上は止めようが無かった。
とは言え一人の異常者が言いだしっぺの有識者達を闇討ちした様だったが、幸いなことに全員が一命を取り留め、死者は出なかったらしい。もちろんそれは魔王配下の魔物が行ったテロとして処理された。
結果的にはその異常者を捕まえることこそ出来なかったものの、世界中に広まった魔素という名称は、最早変えることが不可能なレベルで浸透していった。
と言っても、『魔法書』の大半は書き換え不能の為に陰陽のマナの記述は残ったままである。
世界は、そんな下らないことに数年間も費やしていたらしい。
「そんなことよりももっと大切なことってあると思うんだけどな。【英雄レイン】はなんで【最弱の魔王】なのか。その位は気にしてみてもいいと思うのに」
世間的にはその理由は、今までで最も少ない死者数で討伐に成功したから、ということになっている。
通常魔王は何千何万もの勇者、魔法使い、そしてその数倍数十倍もの一般人が犠牲になった上に勝利を得る災害だ。
【藍の魔王】出現以前の犠牲者の最低人数は、不死の英雄がひたすらにマナを削りきって倒した70人程、次いで、魔王を殺す最上位極宝剣を持つベルナールが成し得た100人弱。
それに対して【藍の魔王】での死者数は47人。民間人にはただ一人の犠牲者も無く、且つ一匹の眷属を引き連れた魔王との真っ向勝負で挑んでのこの人数だ。
だからこそ、【藍の魔王】は聖女様をも殺す程に狡猾で残忍だが、いざ戦えば弱い。それが現在の世界の認識。
しかしクラウスが母から聞いた本当の理由は、まるで違う。
いや、その前に世界中の人は本当に聖女様を尊敬しているのかと疑いたくなる程に、現実から離れている。
【藍の魔王】が少人数の犠牲で倒せた理由など、『魔法書』に書いてあるんだから。
――本当にレインさんは二人の弟子が可愛くて仕方ないみたい。
そんな風に、書いてあるのだから。
とは言えもう魔王は出現しない。世界が都合の良い風に真実を曲解してしまっても不都合が無いのだと考えれば、どうしようもない。
聖女様を妙に神聖視するからこそ、その様な間違いが起こるのだろう。
それに対して、母はいつもこう笑う。
「ふふふ、英雄レインはきっとそんなことは全く気にしてないわ。逆におね、聖女サニィはちょっと気にするかもしれないけれど。でもね、本当は国王も分かってるのよ。彼は国の為に世界の情勢に乗っただけで。あの時このグレーズは大切なものを沢山失った。だから、仕方のない選択だったの。あんまり彼を敵視しないであげてね」
いつもの様に気品を感じさせる笑い方で、そう世界を引率する国王を庇うのが、母オリーブの常だった。
そう、クラウスは【狡猾で邪悪な最弱の魔王】である【英雄レイン】の物語が大好きだ。
そして、その弟子である母のことも、大好きだ。
母である【死んだ英雄オリヴィア】を、心から尊敬している。
だからこそ、一時はこの国を恨んだ。
母が魔王を倒した英雄だと言うことも知らずに、その魔王が、世界を救った英雄であることも知らずに二人を悪魔呼ばわりする王都の市民を、世界中の馬鹿な人達を、一時期は恨んでいた。
尤もその時はまだ、母が英雄オリヴィアではなく、ただの凄く強い一般人のオリーブだと思い込んでいたけれど。
だから母の全てを知った今は、流石に王のことは許している。
王都民や世界中の人々は馬鹿だと思うけれど、母の弟である国王が、流石にただレインを馬鹿にするわけなどないんだから。そして母がいつも王都に出向く時には、そんな国王のサポートをしたり、軍の指導をしていることを、分かっているから。
それでも出てしまう溜息をひとつ吐いて、クラウスは食堂へと足を運んだ。
ここ、宿屋『漣』は、クラウスの生まれ育った家でもある。
母オリーブと、その姉アリス伯母さんに、女将と大将と共に暮らしている。
子どもが出来なかった女将と大将はクラウスのことを実の孫の様に可愛がり、今までそんな少々の精神的な問題以外は何不自由なく育ててきた。
時折アリス伯母さんの娘で母の妹でもあるエリー叔母さんと、アリエルちゃんと呼ばれる友人がやって来てはクラウスに稽古を付けたり勉強を教えたりする。エリー叔母さんは母を凌ぐ剣の達人で、アリエルさんは頭脳的には母と似たようなものだろうけれど、教え方は母より更に上手い。まるでこちらが何を分かっていないのかを完全に分かりきっているかの様な親身な教え方は、エリー叔母さん曰く「流石アリエルちゃん」を体現していた。
後はルークさんやエレナさん、その娘で幼馴染のサラもたまに来るけれど、サラと遊んでいる間にルークさんとエレナさんは母と話をしているイメージで、それ程関わった記憶はなかったけれど、二人共が優しい味方だということをクラウスは理解している。
食堂に入ると、今日はそんな面々が揃っていた。
いつもいつも彼らは、少し気分の落ち込んだ時に狙いすましたかの様にやって来ては、クラウスの悩みを吹き飛ばすかの如く、楽しそうに騒ぎ始める。
今日の夕食も、どうやらそんなことになりそうだ。
『聖女の魔法書』をバタンと閉じて、思わずそんなことを呟く。
この世界の心理の一つが書かれた本『魔法書』には、魔素などと言う単語は一言も書かれていない。そこには、二種類のマナが世界を満たしている。と書いてあるだけだ。
一つは陽のマナ。
物理現象を超越する魔法を使う為に必要なエネルギー。それを溜め込む器官を持つ者を魔法使い、細胞と同化させた者を勇者と呼ぶ。
一つは陰のマナ。
収束すれば実体化を持つ魔物の素となるエネルギー。それが実体化した者が魔物で、人の細胞に同化させた者が狛の村と呼ばれる場所に住んでいる人々。
魔法書の説明では、その様になっている。
しかし、現在はその様な呼び方はされていない。
マナに陰陽は無く、あるのは【聖なるマナ】と、その対となる【邪なる魔素】である。
そんな風に、教えられている。
その理由は簡単だ。
かつて世界を救った聖女様は、【狡猾で邪悪な最弱の魔王】通称【藍の魔王】に出し抜かれ、殺されたから。
その【藍の魔王】の為にと名付けられた陰のマナという名前は適切ではない。
聖女様は最初それを負のマナと呼んでいたらしいが、【藍の魔王】の体の半分以上を占めているそれを負と呼ぶのを嫌った聖女様は、陰と名を変えることにしたようだった。
だから、【藍の魔王】が本性を表した時、最初は負のマナでも良いのでは無いかという意見も出ていたらしい。
しかし、それは結局多くの者の賛同を得ることが出来なかった為である。
「マナとは聖女様が名付ける以前から元々呼ばれていた魔法の元であり、それが勇者の体内にも宿っているのならば、それだけをマナと呼ぶべきだ。魔物の元であるソレが、負という文字が付くとは言え同じマナと呼ばれるのは遺憾である」
そんなことを言った有識者達が魔素という呼び方をしたところ、それに世界中が納得してしまったのだ。
聖女様の教え子である二人の魔法使いはそれを快く思っていなかった様だが、世界中が同じ意見を持つ以上は止めようが無かった。
とは言え一人の異常者が言いだしっぺの有識者達を闇討ちした様だったが、幸いなことに全員が一命を取り留め、死者は出なかったらしい。もちろんそれは魔王配下の魔物が行ったテロとして処理された。
結果的にはその異常者を捕まえることこそ出来なかったものの、世界中に広まった魔素という名称は、最早変えることが不可能なレベルで浸透していった。
と言っても、『魔法書』の大半は書き換え不能の為に陰陽のマナの記述は残ったままである。
世界は、そんな下らないことに数年間も費やしていたらしい。
「そんなことよりももっと大切なことってあると思うんだけどな。【英雄レイン】はなんで【最弱の魔王】なのか。その位は気にしてみてもいいと思うのに」
世間的にはその理由は、今までで最も少ない死者数で討伐に成功したから、ということになっている。
通常魔王は何千何万もの勇者、魔法使い、そしてその数倍数十倍もの一般人が犠牲になった上に勝利を得る災害だ。
【藍の魔王】出現以前の犠牲者の最低人数は、不死の英雄がひたすらにマナを削りきって倒した70人程、次いで、魔王を殺す最上位極宝剣を持つベルナールが成し得た100人弱。
それに対して【藍の魔王】での死者数は47人。民間人にはただ一人の犠牲者も無く、且つ一匹の眷属を引き連れた魔王との真っ向勝負で挑んでのこの人数だ。
だからこそ、【藍の魔王】は聖女様をも殺す程に狡猾で残忍だが、いざ戦えば弱い。それが現在の世界の認識。
しかしクラウスが母から聞いた本当の理由は、まるで違う。
いや、その前に世界中の人は本当に聖女様を尊敬しているのかと疑いたくなる程に、現実から離れている。
【藍の魔王】が少人数の犠牲で倒せた理由など、『魔法書』に書いてあるんだから。
――本当にレインさんは二人の弟子が可愛くて仕方ないみたい。
そんな風に、書いてあるのだから。
とは言えもう魔王は出現しない。世界が都合の良い風に真実を曲解してしまっても不都合が無いのだと考えれば、どうしようもない。
聖女様を妙に神聖視するからこそ、その様な間違いが起こるのだろう。
それに対して、母はいつもこう笑う。
「ふふふ、英雄レインはきっとそんなことは全く気にしてないわ。逆におね、聖女サニィはちょっと気にするかもしれないけれど。でもね、本当は国王も分かってるのよ。彼は国の為に世界の情勢に乗っただけで。あの時このグレーズは大切なものを沢山失った。だから、仕方のない選択だったの。あんまり彼を敵視しないであげてね」
いつもの様に気品を感じさせる笑い方で、そう世界を引率する国王を庇うのが、母オリーブの常だった。
そう、クラウスは【狡猾で邪悪な最弱の魔王】である【英雄レイン】の物語が大好きだ。
そして、その弟子である母のことも、大好きだ。
母である【死んだ英雄オリヴィア】を、心から尊敬している。
だからこそ、一時はこの国を恨んだ。
母が魔王を倒した英雄だと言うことも知らずに、その魔王が、世界を救った英雄であることも知らずに二人を悪魔呼ばわりする王都の市民を、世界中の馬鹿な人達を、一時期は恨んでいた。
尤もその時はまだ、母が英雄オリヴィアではなく、ただの凄く強い一般人のオリーブだと思い込んでいたけれど。
だから母の全てを知った今は、流石に王のことは許している。
王都民や世界中の人々は馬鹿だと思うけれど、母の弟である国王が、流石にただレインを馬鹿にするわけなどないんだから。そして母がいつも王都に出向く時には、そんな国王のサポートをしたり、軍の指導をしていることを、分かっているから。
それでも出てしまう溜息をひとつ吐いて、クラウスは食堂へと足を運んだ。
ここ、宿屋『漣』は、クラウスの生まれ育った家でもある。
母オリーブと、その姉アリス伯母さんに、女将と大将と共に暮らしている。
子どもが出来なかった女将と大将はクラウスのことを実の孫の様に可愛がり、今までそんな少々の精神的な問題以外は何不自由なく育ててきた。
時折アリス伯母さんの娘で母の妹でもあるエリー叔母さんと、アリエルちゃんと呼ばれる友人がやって来てはクラウスに稽古を付けたり勉強を教えたりする。エリー叔母さんは母を凌ぐ剣の達人で、アリエルさんは頭脳的には母と似たようなものだろうけれど、教え方は母より更に上手い。まるでこちらが何を分かっていないのかを完全に分かりきっているかの様な親身な教え方は、エリー叔母さん曰く「流石アリエルちゃん」を体現していた。
後はルークさんやエレナさん、その娘で幼馴染のサラもたまに来るけれど、サラと遊んでいる間にルークさんとエレナさんは母と話をしているイメージで、それ程関わった記憶はなかったけれど、二人共が優しい味方だということをクラウスは理解している。
食堂に入ると、今日はそんな面々が揃っていた。
いつもいつも彼らは、少し気分の落ち込んだ時に狙いすましたかの様にやって来ては、クラウスの悩みを吹き飛ばすかの如く、楽しそうに騒ぎ始める。
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