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ゴブリンと勇者
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この世界には人間と動物、そして人間を襲うモンスターがいる。
その中で人間だけは神の祝福を受け、死んでも無限に生き返るのだ。
彼らは寿命まで決して命尽きない。
そして彼らは夢見ているのだ。
いつかモンスターのいなくなる世界を。
ある一つの冒険者パーティがあった。
メンバーはリーダーの村人A、村人B、村人C、村人D、そして荷物持ちの勇者である。
まだまだ新人パーティではあるが、聖剣を持つリーダーの村人Aは期待の新人として一目置かれていた。
「今日はゴブリン狩りだ! ちゃんと着いてこいよ荷物持ち!」
リーダーは言う。彼はとても強いのだ。実家の権力が。
「ウッス。ジブン、ツイテクッス」
勇者は答える。リーダーに逆らえば村八分なのである。
実際に聖剣を抜いたのは自分であろうと、村八分は怖いのである。
「オメエはホントーになさけねえなぁ。主体性ってもんはないのかぁ? ア、リーダー、コレ水ッス」
村人Bは勇者を馬鹿にする。彼はいつでもリーダーを立てることを忘れない。
「ところでリーダーちゃんよ、ゴヴリンってのはなんなんだ? ゴヴリンって。」
村人Cはリーダーに問う。彼はネイティヴに拘るのだ。ちなみにゴブリンのスペルはGoblinである。
「子鬼ってやつでさぁ。ちっこくて緑で、まあ、カエルみたいなもんよ」
村人Dが答える。確かに手も足も顔もある。似たようなものだ。
そんなこんなで、彼らはゴブリンの集落へと到着した。
「ッス、村ヨリ人数、オオイッスネ。」
勇者はビビっている。なにせ村には彼らの世帯しかいなかったのだ。無理はない。
全くお前はなさけねぇなさけねぇ。ア、リーダー、コレ武器ッス」
村人Bはいつでもリーダーを立てることを忘れない。
「よし、それじゃあ突撃だ! たかが50匹、楽勝だろうがよ! ほらいけ荷物持ち!」
リーダーは勇者を蹴り出して先に行かせる。敵は300匹のゴブリンだ。
「ウ、ウッス。ジブン、イクッス」
勇者は駆け出す。全員分の荷物を手に持って。
「よっしゃ、リーダーちゃんよ。ゴヴリン倒そうぜゴヴリン!」
村人Cも突撃する。そして50匹を超えるゴヴリンに群がられる。
「あ、やべえなあいつ。俺達も行きましょうぜカエルの群れに」
村人Dの声にリーダーも村人Bも慌てて突撃する。そして250匹のゴブリンに群がられる。
いつの日か、この時が来ることは分かっていたのだ。
ゴブリン達は勇者にだけは手を出さなかった。怖かったのである。
蹂躙された村人ABCDは毎日毎日ゴブリンに挑んだ。荷物を取り返すため。
だが、いつまで経ってもやつらは増え続ける。
何故ならば、ゴブリンの王となった勇者は、村人達を蹴散らす快感を覚えたのだ。
数年後、ゴブリン達の間には一つの格言が生まれる。
「豚も煽てりゃ木に登る」
図らずも、人間達の間にその格言が生まれる遥か昔の話であった。
おわり
その中で人間だけは神の祝福を受け、死んでも無限に生き返るのだ。
彼らは寿命まで決して命尽きない。
そして彼らは夢見ているのだ。
いつかモンスターのいなくなる世界を。
ある一つの冒険者パーティがあった。
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まだまだ新人パーティではあるが、聖剣を持つリーダーの村人Aは期待の新人として一目置かれていた。
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「オメエはホントーになさけねえなぁ。主体性ってもんはないのかぁ? ア、リーダー、コレ水ッス」
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「ところでリーダーちゃんよ、ゴヴリンってのはなんなんだ? ゴヴリンって。」
村人Cはリーダーに問う。彼はネイティヴに拘るのだ。ちなみにゴブリンのスペルはGoblinである。
「子鬼ってやつでさぁ。ちっこくて緑で、まあ、カエルみたいなもんよ」
村人Dが答える。確かに手も足も顔もある。似たようなものだ。
そんなこんなで、彼らはゴブリンの集落へと到着した。
「ッス、村ヨリ人数、オオイッスネ。」
勇者はビビっている。なにせ村には彼らの世帯しかいなかったのだ。無理はない。
全くお前はなさけねぇなさけねぇ。ア、リーダー、コレ武器ッス」
村人Bはいつでもリーダーを立てることを忘れない。
「よし、それじゃあ突撃だ! たかが50匹、楽勝だろうがよ! ほらいけ荷物持ち!」
リーダーは勇者を蹴り出して先に行かせる。敵は300匹のゴブリンだ。
「ウ、ウッス。ジブン、イクッス」
勇者は駆け出す。全員分の荷物を手に持って。
「よっしゃ、リーダーちゃんよ。ゴヴリン倒そうぜゴヴリン!」
村人Cも突撃する。そして50匹を超えるゴヴリンに群がられる。
「あ、やべえなあいつ。俺達も行きましょうぜカエルの群れに」
村人Dの声にリーダーも村人Bも慌てて突撃する。そして250匹のゴブリンに群がられる。
いつの日か、この時が来ることは分かっていたのだ。
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