超短編集:『全員アホの冒険』

七つ目の子

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オークの砦

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 この世界には人間と動物、そして人間を襲うモンスターがいる。
 その中で人間だけは神の祝福を受け、死んでも無限に生き返るのだ。

 彼らは寿命まで決して命尽きない。
 そして彼らは夢見ているのだ。
 いつかモンスターのいなくなる世界を。


 ある一つの冒険者パーティがあった。
 メンバーはリーダーのメイジ、バーサーカー、プリースト、レンジャー、バンディット、そして山賊だ。
 理想的な組み合わせと言える。


「おい! あそこにオークの砦があるぞ! 奇襲をかけよう!」

 リーダーはパーティメンバーに伝える。

「うおおおおおおおおおおおお!!」

 叫び声を上げながら全員で突撃する。

 そして爆死する。

 どうやら地雷が仕掛けてあったようだ。


 次の日。

「おい! あそこにオークの砦があるぞ! 奇襲をかけよう!」

 リーダーは言う。昨日と同じ砦の前で。

「うおおおおおおおおおおおお!!」

 叫び声を上げながら全員で突撃する。

 そして矢で射抜かれ全滅する。

 どうやら叫び声で気づかれてしまったようだ。


 また次の日

「おい! あそこに昨日見た砦があるぞ! 奇襲をかけよう!」

 リーダーは言う。その砦は一昨日も見ている。

「うおおおおおおおおおおおお!!」

 叫び声を上げながら全員で突撃する。

 そして堀に落ちて溺れる。

 どうやら今日は橋が上げられていたようだ。


 さらに次の日。

「おい! あそこの砦、今日は門が閉まっているぞ!」

 リーダーは言う。門は今までも閉まっていた。

「うおおおおおおおおおおおお!!」

 叫び声を上げながら全員で突撃する。

 上から熱された油をかけられ全滅する。

 どうやら素手で開けるのは難しいようだ。


 次の日。

 「おい! あそこの砦、どうやれば攻略できるんだ!」

 リーダーは問う。

 プリーストは答える。
「突撃するしかないでしょう!」

 レンジャーは答える。
「突撃するしかないでしょう!」

 バーサーカーは答える。
「今日は帰って作戦を立てましょう。」

 バンディットは答える。
「突撃するしかないでしょう!」

 山賊は答える。
「まず、叫び声を上げるのは止めましょう。気づかれてしまいます。そしてリーダーと俺のエクスプロージョンで門扉を爆破し、レンジャーと俺のステルスで侵入します。その後混乱を引き起こすので、その機に乗じてみんなで乗り込んでください。なあに、オークはそれほど賢くないので大丈夫ですよ。」

 リーダーは怒る。
「結局何が言いたいのか全く分からん!もうちょっと分かりやすく言ってくれ!」

 山賊は答える。
「突撃するしかないでしょう!」

「うおおおおおおおおおおおお!!」

 叫び声を上げながら全員で突撃する。

 そして爆死する。

 どうやら再び地雷が仕掛けてあったようだ。



 数年後、オークの間でこの様な噂が語られる。

「人間と言うものは勇敢だ。どれだけ負けてもどれだけ負けても決して諦めない。決して雄叫びを上げるのを止めない。一度も負けてはいないが、奴らは正しく戦士だ。」


 数十年後、オークの間でこの様な伝説が語られる。

 人間マジ怖い。ゾンビの様にしわしわになっても決して諦めない。決して雄叫びを上げるのを止めない。一度も負けていないが、降参した砦があるらしい。」



                                  おわり
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