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未知なる世界と母の過去
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そのベテラン風の忍者は、
亜夢流達を先導して、板の廊下の物音を
立てずに、暗い場所から電気がピカッと
ついている明るい場所に向かって歩いていった。
無口なその男の体に光が当てられると、
その男の服の色は黒色から濃い紺色へと
みるみる、変貌していく。
頭巾で目以外の頭部が隠されているが、
その男の鋭い目と機敏な動きがピリピリと
張り詰めた空気にさせていた。
慎重な面持ちで、奥の部屋へと移動した
亜夢流たち。
亜夢流はまさに、忍者といったその男の
身のこなしに圧倒されながらも、
これから起こる出来事を想像し、
期待と不安で胸がいっぱいになった。
ようやく、奥の部屋へ入っていったが、
そこにはアムルとダイカ以外、誰もいなかった。
「座りたまえ」
男の指示通り、道場のような部屋に入り、
殺風景の忍者のしかけがあるような
不気味なところに、亜夢流は正座して、座った。
ダイカは隣に座り、
亜夢流は木の独特な匂いが充満している
その部屋で怖そうな男忍者との沈黙の時間
を過ごさないといけないと思うと、
息が詰まりそうになったが、唾を飲み込み、
必死に耐えていた。
3人とも何も言葉を発せず、
亜夢流はその50代くらいの
忍者風の男と向かい合い、
そらさず、目を合わせ、
心理戦のような時間が続いた。
正座で、男から声をかけられるのを
ただ、ひたすら待っていた時だった。
「君、なぜここに連れてこられたか
わかってるな?」
「いいえ、分かりません」
亜夢流はわかるはずないと言った表情で
首を横に振った。
「話していないのか?」
その男はダイカの方を向き、
厳しい目線で、ダイカを問い詰める。
「まさか、勝手に連れてきたのか?」
「上から、ただ、連れてこいと言われましたので、
まず、ここに連れ出して来ました」
その忍者風の男に何も悪くないといった
態度で、平然と答えるダイカ。
「なら、今すぐ、話してやりなさい」
「俺がですか?」
「当たり前じゃ!」
その忍者の男はめんどくさそうなダイカに対し、
眉間にしわを寄せた、厳しい表情で、
早くやれと言った仕草を示し、圧をかけた。
「了解です」
忍者の男に言われ、やれやれと言った表情で
カウボーイの帽子を外し、ダイカは
亜夢流の方を向いて、話し始めた。
「アムル、今、お前がいる国は
コンデマソールという魔法の国だ。
お前の住む人間界の世界とは真逆の世界だ」
「あの、本のしおりから出てた男の人も
言ってたけど、本当に魔法の国ってあるの?」
「もちろん、あるさ!
魔法の国は3つあるが、ここは人間界の
日本にも存在する、和と洋が組み合わさった
国だ。だから、ヨーロッパにもあるような
大聖堂もあるし、アジアの国にあるような
寺院もある。
だが、そんな国に暗い影を落としてる問題
があってな、それで今、賢者になるべき人材を
集めているって話さ」
「で、何で、何もとりえないのに、
僕が選ばれたんですか?」
「お前には素質があるんだよ。
能力もあるはずだ!
アムルの母はくの一の魔女だったしな」
「くの一の魔女?」
「そうだ、魔法使いの一族に生まれたが、
彼女はくの一になることを選んだ。
彼女はお前を一生懸命、育てていたが、
ある時、突然、失踪したんだ。
今も行方が分かっていない。
お前も小さい頃はよくこの道場に
母親と来ていたよ」
「母は僕を捨てたって思ってたよ。
いきなり、居なくなって、
僕は叔母さんのとこに預けられたって
聞いてたから……」
亜夢流には母の記憶が全くない。
どんな母だったのかさえ、覚えてない。
以前、叔母のリイナが見せてくれた写真だけは
見たことあったが、写真だけでは特に
何も感じなかった。痩せ型で、ボサボサ髪の
メガネかけの冴えない女性って感じの女性。
このダイカというおじさんは母のことを
よく知っているようだった。
亜夢流はなんだか新しいことがありすぎて、
よく、頭が整理できなかった。
疲労も困憊していて、目も虚ろになってきた
亜夢流。
二人のやり取りを見ていた、あの忍者風の男は
黙って聞いていた様子だったが、
ポケットの中から白い扇子を取り出し、二人の間に割って入ってきた。
「これで、もうよいだろう。
亜夢流、お前は魔法使いの血が流れている。
あと、性格的にも魔法使いとして、申し分ない。
何も分かっていない状況だろうから、
訓練が必要になるが、後は忍耐とやり抜く
強い意志があれば、能力のある賢者になれる
だろう」
「賢者?魔法使いだなんて、嘘みたいだよ。
明日朝起きたら、夢からさめるんじゃない
かな?」
「それはないだろうな。
もう、今日は遅いから、一旦、解散しよう!
お前さんも眠いだろうしな。
申し遅れたが、私の名前はクロオギだ。
忍者術を教えることになる。
詳しくはまた、明日話すことにしよう!」
その忍者は不気味に、笑いながら、
そういうとすぐに、ぱっと消えていった。
その速さはあまりにも早く、どこに行って
しまったか亜夢流には考える隙間も与えてくれ
なかった。
亜夢流が呆気に取られていると、
ダイカが、何やら白い敷布のようなものを
ポケットから取り出した。
今日はこれで、今後のお前の新しい住まいに
移動するぞ!」
そういうと、ダイカは二人分は覆いかぶせる
であろう長い敷布を自分と亜夢流の頭
からかぶせ、何か呪文のようなものを
唱え始めた。
「何するの?」
「まぁ、見てろ!目を瞑れよ、アムル!」
亜夢流は目を閉じたが、
頭がぐるぐるするような感覚を覚え、また
ダイカにしがみつく。
なんだろう、この感覚は海の中にいるような
息が苦しくなり、不思議な感覚に追われた。
「もういいぞ」
ダイカに言われて、目を開けると、
服は濡れていなく、さっきと同じ状態で、
亜夢流は海辺の木でできた、
白い洋風の家の前にいた。
茶色の三角屋根に、茶色の煙突があり、
目の前にはステンドグラスでできた
綺麗なドアが見える。
「ここがお前の家だ。
元々はここで、アムルと母親は一緒に暮らす
ことになってたんだ。叶わなかったけどな…」
「え、こんな、素敵な家、初めてだよ。
すごいね…ここに僕だけ住むの?」
アムルは見知らぬ母が残したという家を
感慨深い様子で見渡す。
今までの窮屈なマンション暮らしとは
違う、誰にも気を遣わなくていい場所。
亜夢流には何か自由な、夢の空間のような場所
のように思えた。
「一人、お前の世話をしてくれる信頼するやつを
準備してるが、今日はお前一人だ」
「うん?誰か違う人が住むの?」
「まぁ、それはおいおいな」
亜夢流はいろいろ質問したかったが、
疲労が|困憊していて、
その余裕がなくなっていった。
ダイカは軽く、亜夢流の頭を撫で、
すぐさま、黒い星の形をしたキーホルダー付きの
鍵を渡した。
「じゃあ、これがお前の鍵だ。
大事に扱うんだぞ」
「これが、僕の家の鍵なんだね。
うん、なくさないようにするよ」
「じゃあ、明日、8時頃起こしにくるよ!
時計も家の中にあるから、確認しろよ」
「うん、わかった!」
ダイカは亜夢流の元を去り、口笛で馬を
呼び出し、そのまま、ピューっと消えていった。
アムルは玄関の階段を上がり、汗っぽい手で、
そっと、水色のドアの鍵を
開け、中に入っていく。
夜空は満開の星空が輝き、まるで、
亜夢流の新しい旅立ちを見守っているかのよう
だった。
こうして、亜夢流の夜は台風のように
過ぎていった。
亜夢流達を先導して、板の廊下の物音を
立てずに、暗い場所から電気がピカッと
ついている明るい場所に向かって歩いていった。
無口なその男の体に光が当てられると、
その男の服の色は黒色から濃い紺色へと
みるみる、変貌していく。
頭巾で目以外の頭部が隠されているが、
その男の鋭い目と機敏な動きがピリピリと
張り詰めた空気にさせていた。
慎重な面持ちで、奥の部屋へと移動した
亜夢流たち。
亜夢流はまさに、忍者といったその男の
身のこなしに圧倒されながらも、
これから起こる出来事を想像し、
期待と不安で胸がいっぱいになった。
ようやく、奥の部屋へ入っていったが、
そこにはアムルとダイカ以外、誰もいなかった。
「座りたまえ」
男の指示通り、道場のような部屋に入り、
殺風景の忍者のしかけがあるような
不気味なところに、亜夢流は正座して、座った。
ダイカは隣に座り、
亜夢流は木の独特な匂いが充満している
その部屋で怖そうな男忍者との沈黙の時間
を過ごさないといけないと思うと、
息が詰まりそうになったが、唾を飲み込み、
必死に耐えていた。
3人とも何も言葉を発せず、
亜夢流はその50代くらいの
忍者風の男と向かい合い、
そらさず、目を合わせ、
心理戦のような時間が続いた。
正座で、男から声をかけられるのを
ただ、ひたすら待っていた時だった。
「君、なぜここに連れてこられたか
わかってるな?」
「いいえ、分かりません」
亜夢流はわかるはずないと言った表情で
首を横に振った。
「話していないのか?」
その男はダイカの方を向き、
厳しい目線で、ダイカを問い詰める。
「まさか、勝手に連れてきたのか?」
「上から、ただ、連れてこいと言われましたので、
まず、ここに連れ出して来ました」
その忍者風の男に何も悪くないといった
態度で、平然と答えるダイカ。
「なら、今すぐ、話してやりなさい」
「俺がですか?」
「当たり前じゃ!」
その忍者の男はめんどくさそうなダイカに対し、
眉間にしわを寄せた、厳しい表情で、
早くやれと言った仕草を示し、圧をかけた。
「了解です」
忍者の男に言われ、やれやれと言った表情で
カウボーイの帽子を外し、ダイカは
亜夢流の方を向いて、話し始めた。
「アムル、今、お前がいる国は
コンデマソールという魔法の国だ。
お前の住む人間界の世界とは真逆の世界だ」
「あの、本のしおりから出てた男の人も
言ってたけど、本当に魔法の国ってあるの?」
「もちろん、あるさ!
魔法の国は3つあるが、ここは人間界の
日本にも存在する、和と洋が組み合わさった
国だ。だから、ヨーロッパにもあるような
大聖堂もあるし、アジアの国にあるような
寺院もある。
だが、そんな国に暗い影を落としてる問題
があってな、それで今、賢者になるべき人材を
集めているって話さ」
「で、何で、何もとりえないのに、
僕が選ばれたんですか?」
「お前には素質があるんだよ。
能力もあるはずだ!
アムルの母はくの一の魔女だったしな」
「くの一の魔女?」
「そうだ、魔法使いの一族に生まれたが、
彼女はくの一になることを選んだ。
彼女はお前を一生懸命、育てていたが、
ある時、突然、失踪したんだ。
今も行方が分かっていない。
お前も小さい頃はよくこの道場に
母親と来ていたよ」
「母は僕を捨てたって思ってたよ。
いきなり、居なくなって、
僕は叔母さんのとこに預けられたって
聞いてたから……」
亜夢流には母の記憶が全くない。
どんな母だったのかさえ、覚えてない。
以前、叔母のリイナが見せてくれた写真だけは
見たことあったが、写真だけでは特に
何も感じなかった。痩せ型で、ボサボサ髪の
メガネかけの冴えない女性って感じの女性。
このダイカというおじさんは母のことを
よく知っているようだった。
亜夢流はなんだか新しいことがありすぎて、
よく、頭が整理できなかった。
疲労も困憊していて、目も虚ろになってきた
亜夢流。
二人のやり取りを見ていた、あの忍者風の男は
黙って聞いていた様子だったが、
ポケットの中から白い扇子を取り出し、二人の間に割って入ってきた。
「これで、もうよいだろう。
亜夢流、お前は魔法使いの血が流れている。
あと、性格的にも魔法使いとして、申し分ない。
何も分かっていない状況だろうから、
訓練が必要になるが、後は忍耐とやり抜く
強い意志があれば、能力のある賢者になれる
だろう」
「賢者?魔法使いだなんて、嘘みたいだよ。
明日朝起きたら、夢からさめるんじゃない
かな?」
「それはないだろうな。
もう、今日は遅いから、一旦、解散しよう!
お前さんも眠いだろうしな。
申し遅れたが、私の名前はクロオギだ。
忍者術を教えることになる。
詳しくはまた、明日話すことにしよう!」
その忍者は不気味に、笑いながら、
そういうとすぐに、ぱっと消えていった。
その速さはあまりにも早く、どこに行って
しまったか亜夢流には考える隙間も与えてくれ
なかった。
亜夢流が呆気に取られていると、
ダイカが、何やら白い敷布のようなものを
ポケットから取り出した。
今日はこれで、今後のお前の新しい住まいに
移動するぞ!」
そういうと、ダイカは二人分は覆いかぶせる
であろう長い敷布を自分と亜夢流の頭
からかぶせ、何か呪文のようなものを
唱え始めた。
「何するの?」
「まぁ、見てろ!目を瞑れよ、アムル!」
亜夢流は目を閉じたが、
頭がぐるぐるするような感覚を覚え、また
ダイカにしがみつく。
なんだろう、この感覚は海の中にいるような
息が苦しくなり、不思議な感覚に追われた。
「もういいぞ」
ダイカに言われて、目を開けると、
服は濡れていなく、さっきと同じ状態で、
亜夢流は海辺の木でできた、
白い洋風の家の前にいた。
茶色の三角屋根に、茶色の煙突があり、
目の前にはステンドグラスでできた
綺麗なドアが見える。
「ここがお前の家だ。
元々はここで、アムルと母親は一緒に暮らす
ことになってたんだ。叶わなかったけどな…」
「え、こんな、素敵な家、初めてだよ。
すごいね…ここに僕だけ住むの?」
アムルは見知らぬ母が残したという家を
感慨深い様子で見渡す。
今までの窮屈なマンション暮らしとは
違う、誰にも気を遣わなくていい場所。
亜夢流には何か自由な、夢の空間のような場所
のように思えた。
「一人、お前の世話をしてくれる信頼するやつを
準備してるが、今日はお前一人だ」
「うん?誰か違う人が住むの?」
「まぁ、それはおいおいな」
亜夢流はいろいろ質問したかったが、
疲労が|困憊していて、
その余裕がなくなっていった。
ダイカは軽く、亜夢流の頭を撫で、
すぐさま、黒い星の形をしたキーホルダー付きの
鍵を渡した。
「じゃあ、これがお前の鍵だ。
大事に扱うんだぞ」
「これが、僕の家の鍵なんだね。
うん、なくさないようにするよ」
「じゃあ、明日、8時頃起こしにくるよ!
時計も家の中にあるから、確認しろよ」
「うん、わかった!」
ダイカは亜夢流の元を去り、口笛で馬を
呼び出し、そのまま、ピューっと消えていった。
アムルは玄関の階段を上がり、汗っぽい手で、
そっと、水色のドアの鍵を
開け、中に入っていく。
夜空は満開の星空が輝き、まるで、
亜夢流の新しい旅立ちを見守っているかのよう
だった。
こうして、亜夢流の夜は台風のように
過ぎていった。
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