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入村

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「旅人かい?ここは『イフル』という村だよ。申し訳ないが身分証を確認させてもらってもいいかな?」

 村の入り口には門番が構えており、通例なセリフの後に、これまた通例な身分証の確認・・・ということは次は賞罰確認かな?

「行商人とその護衛・・・と、そのちっこいのは従魔っと・・・で?ソコの黒いのと白いのは?野良か?」

「違うにゃ!」
「野良じゃないにゃ!」

 あぁ忘れてた・・・精霊っても・・・そもそもの存在がおかしいからな・・・

「クロ?シロ?戻ってて?」

 そう言って門番の目の前で腕輪に戻すと

「・・・まぁいいだろう。最後に水晶に触れてもらえるかな?」

 考えることを諦めたようだ・・・順に水晶に触れていくが、特にどうということはない

「何もなしだな。ようこそイフルへ!
 従魔とさっきの黒いのと白いの・・・の責任は主人に・・・わかってると思うが。あまり手を焼かせないようにな?」

 面倒事の事前回避・・・っと・・・

「わかってます。向こうから何かされなければ、大人しくて可愛い子達なので・・・それで、冒険者ギルドの場所を教えてもらえますか?」

「ギルドならその道をまっすぐいけば、突き当たりにある。行商エリアは・・・ギルドで聞いてくれ」 

 そう言って門番は門に帰っていく・・・

「・・・あ!宿の場所も聞けばよかった!」

 スー?自分の役割・・・分担したでしょ?遂行してくれなきゃねぇ・・・

「村の人に聞きながらでいいから、よろしくね?じゃぁまた後で・・・」

 腕輪から出てきたクロとシロは、リルを伴って村の奥へと走り去っていき、スーは・・・挙動不審・・・慣れろ!

「さって、スーはほっといてみたいだね?トール」

「デ!?デェ~トォ!!??」

 トールも流石姉妹・・・挙動不審のお手本のように・・・まぁ、あまりそんな姿を晒すのも悪手なので、サッとトールの手を取り

「じゃ、行こうか」

 ギルドまでエスコート・・・っても、これ側から見たら事案では?トールはほら・・・小さいから・・・色々と・・・

「ママー、あのお姉ちゃん迷子防止かな?」

「・・・しっ・・・」

「「・・・」」

 二人とも黙って歩いて・・・ん?トールさん?

 ふっと気がつくと、最初は握っていただけの手が、指と指を絡めた恋人繋ぎのようになっていて・・・トールの方からその手をニギニギし出した

「・・・攻めるねぇ~・・・」

 お返しにボクからもニギニギと・・・

 ニギニギニギニギニギニギニギニギニギニギニギニギ・・・

「ママ~」

「見ちゃいけません!」
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