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「もう・・・殺して」

 私の名前はのぞみ。勇者専門学校からこの世界に召喚された勇者の1人だ。他にも3人・・・加奈と男子が2人。
 いま弱気な声で呟いたのは加奈だ。今私と加奈は簡素なドレスを着させられて、ベッドとソファーに横たわっている。

「加奈・・・」

「希・・・お願いがあるの・・・私には攻撃魔法が使えない・・・だから自害もできない・・・それ以前にこののせいで・・・だから・・・あなたの攻撃魔法で・・・私を殺して!そうすればこの世界からも解放されるわ・・・」

「でも・・・この首輪は・・・」

「それは私に考えがあるから・・・明日・・・うまく行ったら私の案に乗っかって・・・こんな鎖切った国も世界も何もかもを!・・・戻ったところであの二人には会わせる顔もないけど・・・それでも・・・お願い・・・」

 加奈に何か考えがある・・・うまくいけば・・・でも・・・うまく行ったら?加奈を・・・殺せるの?私も・・・自害できるの?でも・・・そうでもして今のこの状況から・・・逃げ出したい!彼に会いたい・・・でも・・・加奈の言う通り・・・戻れても・・・会わせる顔がない・・・どんな顔して会えというの?

「加奈・・・それでも・・・今は・・・体を休めましょう・・・」

「・・・うん。おやすみ・・・希・・・」

 今夜は珍しく夜伽がない・・・その分明日は激しいんだろうか・・・この隷属の首輪で・・・魔法が使えないけど・・・どうするんだろう・・・考えても仕方がない・・・私も寝なきゃ・・・



 翌朝・・・簡単な食事が運ばれてきて・・・昼前・・・が来た・・・

「ぐっへっへっへ、今日こそは俺様の子種を仕込んでやるぜ!」
「馬鹿兄の子種じゃ勇者が可哀想だよ・・・俺の子供を孕んでこそ、王家が強くなるんだ!」
「兄さん達は・・・穴があれば俺は誰でもいいんだけどね」
「「お前こそ」」

 こいつらはこの世界の王族で、今回勇者召喚できた私たちを送還途中で拉致し、子孫繁栄を謳って・・・やってることはゴブリンやオークと何が違うんだろう?

「オラ!脱げ!それとも脱がされたいのか?」
「違うよ・・・服をビリビリに割かれて無理やりされたいんだよ」
「・・・どうでもいいからさっさと穴塞げよ・・・俺は残った穴でいいからさ」

 ゲスい・・・でも・・・この首輪のせいで逆らえない・・・せめての抵抗で、感じてないフリをするくらいだが・・・

「希・・・」

 加奈がこちらを見てる・・・何か仕掛けるつもりかしら・・・

・・・私はもう疲れてしまいました・・・なので・・・あちらの世界のことは諦めて・・・に身を委ねようと思います。でも・・・そのためにはこの首輪が邪魔です。逆らう気ももう無いし、どうせならお互いに気持ち良くなりませんか?」

 ちょ!加奈!何を!!??

「・・・いいねぇ・・・人形を抱くのも飽き飽きしてたんだ・・・変な気は起こすなよ?」

 そういって加奈の首輪が外れた。まさか!?

「・・・そうね・・・変な意地を張ってても帰れないんなら・・・快楽に堕ちるのも悪く無いわね・・・・・・今日は趣向を変えて・・・私にお任せくださいませんか?」

 そして私の首輪も外れ、魔力が体の隅々まで浸透していくのがわかり、これなら・・・
 ドレスを脱ぎ去った加奈が近寄ってきて・・・私もドレスを脱ぎ捨てて・・・

「希・・・フルブースト!マキシマイズ!」
「・・・先に帰っててね・・・私もすぐに行くから・・・魔力増強!・・・生命力変換!ツインブースト!」

「な!なにを!!」
「おい!」
「・・・あ~あ・・・俺知~らね・・・」

「加奈・・・ゴメンね・・・接触することで効果を100%にする・・・『デス!』・・・バーストレイ!・・・サイクロン!・・・これで最後・・・メテオレイン!」

 空から直径数十メートルクラスの隕石が・・・赤く炎を纏って落ちてくる・・・それも数個でなく・・・100近く!それらは城から城下街・・・山から川から術者を中心に半径数キロ圏内を焦土と化し・・・そして

「リミット解除!私の全生命力魔力精神力!持っていけ!」

 一際大きな隕石が私の真上から私を飲み込み・・・

「これで・・・みんなのところに帰れるんだ」

 そしてこの日・・・王都が消滅した・・・


◇勇者専門学校魔法陣の間◇

「ハァハァハァ・・・帰って・・・これたの?」

「先生!加奈さんです!ふ・・来るな!裸なんですよ!男どもは即刻出ていけぇぇぇぇ!」

 そして数分後、希も帰ってきて・・・女性職員等に運ばれて・・・3日後・・・2人はその若い命を自らの手で・・・

「なんでだ・・・なんでなんだよぉぉ!」
「何も言ってくれないんだな・・・」

 2人の男性の叫びが・・・

 これが・・・異変の始まりだった・・・これから起こる・・・未曾有の・・・

『ショウ?なんとかならなかったのか?』

『うん・・・介入する間がなかった・・・これは僕の不手際だ・・・許せないな・・・』

 ショウ・・・姿を消しててもそれだけの殺気を出したら・・・ほ~ら・・・目の前にいる関係者全員が気絶・・・するだけでなく、大小どちらも漏らしていた・・・

『ショウ・・・猛省!』
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