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帰還

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 さて、この人は現実を直視できるだろうか・・・

「家はこの近くなんですか?」

「なんだまだいたのか・・・いやここから少し歩いた先なんだが・・・」

 何その言い方・・・そうですか

「なら俺はこれで一旦消えますね?」

「あぁそうしてくれ・・・懐かしいな・・・・」

 これがあの異世界で千人近くをまとめていた人なの?まぁ、重責から解放されればこんなものかな?

 ◇リーダーさん視点◇

「なんだよ!やっぱり帰れるじゃないか!存在が消えただとか言ってたけど、僕はここに存在してるじゃないか!それを恩着せがましくもったいぶりやがって・・・これならあいつらも連れて帰って・・・きちんと学校にも通わせることが出来るし・・・なにより、このスキルがあればぼ・・・俺は!」

「クソっ。家までちょっと遠いな・・・これならもう少し近くまで転移させれば良かったな・・・ん?
 おーい、田中~!久しぶりだな!」

「ん?(誰だコイツ?・・・関わり合いになると面倒そうだから無視して逃げるか)」

「田中じゃなかったのか?まぁいいや」

「スキル『魔法創造』!『脚力強化』『スタミナ強化』そして収納からスポーツドリンクを用意して・・・少し早めのジョギングで・・・15分くらいかな?」

 ふぅふぅはぁはぁ・・・結構疲れたな・・・でもこれならスポーツ選手にでもなって・・・よし

「懐かしの我が家(実家)だ!職場は・・色々問題になってそうだから、先に実家に帰って両親と相談しなきゃな?
 異世界に行ってたって言っても信じてもらえないかもしれないけど、スキルで魔法を見せれば・・・」

 あれ?この時間なら母さん家にいるはずなのに、カギがかかってる・・・
 車が2台ともあるってことは父さんもいるってことか・・・庭にいるのかな?
 やっぱり庭にいたよ。BBQ?趣味が変わったのかな?

「ただいま!父さんも母さんも庭でBBQするなんて、趣味変わったの?二人ともインドア派だったでしょ?」

 あれ?父さんも母さんも( ゚д゚)ポカーンしてるんだけど

「どうしたの?」

「あなたは誰ですか?」

「へ?」

 父さんは母さんを背後に隠すように僕との間に立ち塞がり

「それ以上こちらに来ないでもらえるかな?私としてもあまり荒事にしたくはないのだが」

 父さん?何言ってるの?

「ヤダなぁ、父さん。たしかにちょっと事情があって仕事に穴をあけちゃったけど、そんなに怒らなくてもいいじゃない」

「・・・私達夫婦に子供はいない・・・これは近所の皆さんがご存知の事だ!・・・それを・・・新手の詐欺か!?」

「ちょっと!何言ってんの?僕だよ!要蔵だよ!」

「知らん!私も妻もお前のような男は知らん!それ以上何か言うなら警察を呼ぶぞ!」

 父さん何言ってんの?そんな・・・召喚されて仕事休む形になってクビになったんだろうけど、だからってそんな風に・・・

「そんな母さんも何か言ってくれよ!」

「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!助けてぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

 え?

「どうした六条の奥さん!」
「六条さんどうなされた?」
「ん?なんだ貴様は!暴漢か?」
「おい!不審な男がいるぞ!警察に連絡を・・・いや、集会所から刺又をとってこい」
「やっぱり警察にも連絡を入れておく!」

 何事だ?田邊さんも鳥居さんも上村さんも何言ってるんだ?小さい頃海とか山に連れて行ってくれたじゃないか

「刺又とってきたぞ!警察の指導で訓練させられたけど、役に立つ日が来るなんてな!」
「そんなのが役に立つ日なんて来なくてよかったんだがな?」
「そう言うなよ、六畳の奥さんはみんなのアイドルじゃないか!」

「おい、そこのお前!おとなしくするなら俺達も手荒な真似はしたくはない。
 でもな?警察が来るまでおとなしくしないってんなら・・・どうする?」

 ここで荒事を起こして追われる身になってもいいことは無いし、今はきっと混乱してるだけだろうから・・・

「おとなしくするから・・・これでいいか?」

 その場に座り、警察が来るのを待つ姿勢になると、周囲の空気も少し和らいだ・・・
 そして警察が到着して、父さんたちと話しをした後で、俺は警察まで連行されて、取り調べ?を受けることになった。



「それで?名前と住所と連絡先は?」

「だからさっきから何度も何度も言ってるだろ!?」

「はいはい、で?本当の名前と住所は?身分証はあるの?」

「だから言ってるだろ!俺の名前は六条要蔵。住所は・・・実家の電話番号は・・・免許証ならさっき渡しただろ!」

 おかしい。さっきから全然話が通じないのか前に進まない・・・最初に名前や住所等を紙に書いて、免許証も渡したのに、こんな三文コントの台本のようなやり取りばかりだ

「なぁ?あんたらみたいなわけのわからないことばかり言う人じゃなくて、もっとまともな人間を呼んでくれよ!」

 そして話が全く進まない中、夕方となり一旦留置所に入れられて、明日仕切り治すこととなった。

「なんでこんなところに入れられないといけないんだ!出せ!出さないなら自力で出るぞ!」

 そのまま無視されて、翌朝の取り調べが再開したんだが、前日と何も変わらなかった。

「はい、それで?そろそろ本当の名前と連絡先を教えてくれる気になったかな?
 このまま強情を張ってても疲れるだけだし、何も前に進まないんだぞ?
 この紙に名前と連絡先を書いて、本人確認が取れたらすぐに帰れるんだから」

「だからそれは、昨日も書いただろ!何枚も何枚も!今も書いたじゃないか!さっさと出せ!」
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