念動力ON！〜スキル授与の列に並び直したらスキル2個貰えた〜

ギルドマスター

「ミーシャさん。ギルドマスターと話があるから取り次いでもらえないかな？」

「カイザーさんどうされましたか？解体場に行かれたのでは？」

「いや、行ったからこそ、ギルドマスターと相談することが増えたんだよ・・・とりあえず面会できるか確認してもらえる？できるんなら即で」

「わ、わかりました。少々お待ちください」

　ミーシャさんが確認に行ってるあいだに一般の受付に並ぶ冒険者やその仲間を見ていると、解体場の職員の言ってた通り、獲物を丸々担いで並んでたりしてるんだけど・・・これって大物だったり数匹だったと気ってどうやって・・・あぁ・・・あれか・・・

　答えを導きだそうと考えた矢先に、答えが出てきた・・・物理的に

「見てくれ大物だ！隣山の麓で遭遇してなんとか半日かかって倒せたが、どうよ！」

　１０人がかりで担ぎ込まれたのは大型のイノシシ・・・ジャイアントボアと言われる胴縁だ。
　しかし残念なことに肉は大味であまり美味くもなく、内臓は新鮮なら一部は可食可能だが、隣山とか言ってたし、処理されてないだろうからな・・・骨もゴミだ。せいぜい素材として牙が使えそうだが、今回の固体は戦闘痕から牙も折れている・・・持ち帰ってればいいけどな・・・皮は生活用品に使えるから…使えるんだが・・・こいつらはそんなことを考えないで倒したのがありありとわかる。
　それは・・・皮の斬り傷や、魔法の着弾痕・・・皮は素材として使えるんだから焼いてどうするんだよ！

「肉は大味で・・・皮も斬り傷が多くて大物加工できない・・・骨や内臓はゴミ・・・あぁ、肉はそもそもまずいなこれ・・・血抜きしてないだろ？・・・総評・・・買取金額よりも処分金額の方が多い。赤字だな。
　討伐依頼なら討伐金が出るだろうけど、移動や人件費や準備費でトータルすればカツカツじゃね？」

　思わずそう口にして、鑑定してみたらこれまたビンゴで、鑑定さんの総評とほぼほぼ同じだった。
　それを聞きつけた討伐してきた冒険者がこっちを見ると絡んできた・・・すまんねぇ・・・

「なぁあんた。ここらで見ない顔だけど俺達に文句あるのか？」

「あぁ、さっきの評価か？すまんねぇ、つい口に出てたようだ。だが、今のが真実だよ。
　それと、俺は先日この街に着いたばかりの冒険者で『星渡り』のカイザーとレムだ。知らないのは当然さ」

「はっ！流れの冒険者かよ！そんなんが俺等の仕事に難癖付けるわけか？何様だ！テメェ」

　おいおいキレやすいな・・・鉄分不足か？
　っと、面会申請と騒ぎを聞きつけてギルマスも降りてきたな・・・ちょうどいい

「いや、すまんね。あんたらが生ゴミをギルドに持ち込むのが見えてね？しかもそれを武勇伝のように語ってるからさ？びっくりして思わず言葉に出ちゃったんだよすまんすまん」

「な！」

「だってそうだろ？隣山の麓からここまでどんだけ距離があるのさ？しかも遭遇？狙って言ってなかったような口ぶりだが、それじゃぁ討伐依頼もされてない？あぁ、後処理で掲示板を探すのか？
　だとしてもだ、血抜きはしてあるのか？保存は？保冷してるのか？
　この街ではイノシシの内臓を食う文化でもあるのか？」

　周りを見回すと、皆首を横に振ってる・・・ないのか・・・美味いのにね？
　喧噪を聞きつけて解体職員も顔出してるね。

「見たところそんな文化はなさそうだ。なら、それだけの大物の内臓はゴミだろ？そのゴミを大事に抱えてここまで運んだのか？
　骨もゴミだよな？何に使うんだ？魔物化してたんならその骨も使えるだろうけど、それ只の動物だろ？武器にしても防具にしても簡単に壊れて怪我するだけだよね？
　そして皮だ・・・なんでそんなに切り付けてるんだ？しかも火魔法で炙って・・・きれいに倒さないと皮が大きく使えないだろ？それだけ切り付けてたら、その部分で切り分けて使うしかないじゃないか？
　あとは・・・やっぱ大事なのは血抜きと解体だな？」

　ここで一息入れて

「なぁ？肉ってのは倒してすぐに血抜きをするべきなんだよ。一番いいのは心臓が動いてる間にな？
　そうしないとどんどん肉の味が落ちていくんだよ。ましてやコイツはジャイアントボアで、そもそも育ちすぎてて大味なんだよ。美味くないんだよ・・・それと解体もな？内臓の中には当然排泄物も含まれてるよな？なんでそんな汚物を持ち込むんだ？
　見たところ・・・可食部分だけなら切り分ければ４～５人で持ち帰れる量だな？勿論適切に解体処理ができてればの話だけど。皮もきちんと処理してれば二人だな。
　もちろん解体して処理しても、その後の骨や内臓の処理も忘れてたらそれこそスタンピードの原因にもなるから注意が必要なんだが・・・ってところで、解体職員さん？今の説明で不足部分はあるかな？」

　聞き入っちゃってたらダメでしょ…本来ギルド職員がこう言った事を冒険者に教え込んでから、狩りに行かせるんだけど、それをしないで持ち帰ったものに文句を言うなんてね？

「ギルドマスターも今の聞いてたでしょ？職員もだけど、冒険者の教育ってどうなってるの？解体処理程度もできないやつがあんなに威張り散らしてたけど、ギルドマスターの見解として、そのジャイアントボア関連の今回の報酬ってどうなる？ギルdマスターなら全職員の仕事を知ってるはずだから、評価できますよね？」