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ギルドにて

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 結局その日はギルドにたどり着けなかった。
 レムが美味いもの巡りに舌鼓を打ち、普段廃棄していた食材の意外な巧さと酒に合うことが判明し、屋台通りは大賑わいだった。皆が飲めや歌えや食え食えのなか、サザエをもってきてた子とレムはさすがに未成年ということで退散し、その日はおじょうちゃんの家に一泊することとなり、どうやら親御さん(おやっさん)がまとめ役とのことで、別の意味で歓迎された。そして翌朝ギルドに向かい・・・

「すみません、身分証が無いので登録お願いできますか?
 え~と、紹介状?が必要なんですか?それなら・・・まとめやくのおやっさんに連絡してみますね?
 ・・・・・・お待たせしました。今書いてもらってきたのですが、これでいですか?」

 紹介状の力は強力で、あれよあれよという間に話が進み、無事登録が完了した。

「ギルド規約ですか・・・はい・・・はい・・・(ランクや依頼の受け方説明中)・・・なるほど、よくわかりました。
 ありがとうございました」

 概ねシステムはよくあるラノベで予習した通りだった。

「すみません、部位欠損を治すポーションて、幾らですか?あと、普通の傷薬程度のも・・・
 ふむふむ・・・え!そんなにするんですか!?なるほど・・・」

 やはり、部位欠損系を治すとなるとかなりの金額がするようで、通常のポーションの約百倍だそうだ。
 ちなみに通常のポーションだけでも10000イェンはするとのことなので、100万イェンか
 そんな話をなぜ?と聞かれたので、受付の人に昨日出会った冒険者とのやり取りを説明すると、奥から眼鏡をかけたオールバックの威圧感たっぷりの男性が現れて

「すみませんが、少し話が聞こえたので、こちらで詳しいお話を伺ってもよろしいでしょうか?」

 そう切り出して、俺等は奥の部屋に連れていかれ

「誠に申し訳ありませんが、こちらの真偽の水晶に触れたままで、もう一度最初から説明してもらえますか?」

 まぁ、疑いたくなるような内容だったから仕方がないけど、真偽がきちんと判明したら、誠意ある対応を求めますけどね?
 結果は【白】そりゃそうだ、種族とかいろいろごまかすところはあるけど、昨日の出来事に関しては何も隠してやばいところはなかったからね?

「それで?」

「「申し訳ありませんでした」」

 受付の人と奥から出てきた人(サブマスター)の二人は腰を90度折って謝ってきたので、特に問題とすることなく、その謝罪を受け止めた。

「その4人の冒険者に心当たりはありますか?
 先ほども話した通り、部位欠損のポーションを奪われ、その際に通常のポーションも破損し、部位欠損数回分のポーションを1回だけで捨てられ、その後お礼等の言葉もなく逃げていかれたのですよ。あぁそういえば、最初に交わしたウルフやボアの取り分にも文句を言われてましたね」

 追加で出てきた情報の際も、あえてこちらから水晶に触れながら話し、噓偽りがないことをアピールしておいた。

「その4人なんですが、昨日ギルドにて『戦闘中に突然介入してきた二人組に、獲物を横取りされた』と申告がありまして、その二人組の特徴がお二人と酷似してたので、先ほどのような対応になってしまいました」

 受付の人もサブマスターさんも汗がすごいね?

「それで、その4人はどのような立ち位置のガキなんですか?態度を見るに、平民という感じがしなくて・・・」

「おっしゃる通りです。この港町の領主様の甥にあたる冒険者で・・「サブマスター」・・どうしました?」

 この世界には人の話に介入してくるやつばっかりなのか?流行ってるの?

「例の4人組が領主様を連れて、昨日の件の話があると・・・」

 飛んで火にいる・・・ねぇ?

「サブマスターさん?真偽の水晶を握らせてで話を聞いてもらえますか?・・・斥候の人に
 俺達は隣の部屋・・・あそこの絵画ってノゾキアナですよね?から覗かせてもらいますから」

 サブマスターさん「何故バレた!」って顔でこっち見ないでね?
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