上 下
9 / 22

悲しいお知らせ

しおりを挟む
「あなたはどんなスキルを・・・わかりました」



 これさえあれば無敵だぜ!むかしからじーさんに嫌というほど聞かされたからな


「クマに出会ったら○○すれば楽勝じゃ!儂も10回以上これでたすかっておるでな!」


 じーさんは物知りだったからな。孫の俺にはいつも優しかったし、何でも買ってくれたし、色んな自慢話も混ざってはいたけど、そのほとんどがタメになる話だった!じーさんは俺にとって英雄だった!ば~さんとは仲が悪かったけどな


 この世界に飛ばされてから、色々あった。ろくでもない理由で喧嘩したり、奪い奪われ・・・俺たちは何のためにこんな世界に連れてこられたんだ?
 食事も街の外の魔物を狩って、処理して食べないといけない。なんでだ!

「おにーさん暇?暇なら食料調達隊に入らない?そうすればただもらう側の人達よりも多めに食糧もらえるし、特殊スキルで元の世界の食べ物や飲み物が手に入るんだけど、それを回してもらえるんだよ?コーラとかポテチとか」

 悪魔の囁きか?コーラ?ポテチ?そんなもの本当に食べれるのか?半信半疑だったが、せっかく声をかけてもらえたのだから、少しやってみるか・・・本当に暇だったしな。


【数日後】


「ポ・・ポテチだ・・・しかもBig!コーラも2Lで冷えてる!」

「なんかね?氷を出すスキルをもらったやつがいて、戦闘には役に立たなかったけど、ほらココ砂漠地帯でしょ?水も貴重だけど氷なんて夢のまた夢とおもってたら 選ばれし勇者がいたわけよ。彼女もこのおかげで主要メンバー入り出来て、喜んでるのよ」

 無限収納は時間停止機能もあるので、一度冷やして入れておけばいつでも冷たい!
 そこからの行動は早かった。戦闘スキルは確かに持ってないけど、じーさん家が山奥だったことから、夏休みとかには良く山で遊んでたから、身体能力は高めだ。おかげで調達隊のなかでもグングン伸びていき、部下を任せてもらえるようになり、今日は別動隊としての初狩りだ!

「よっしいくぞ!でかい獲物を持って帰るぞ!」

「「「おー!」」」

 意気揚々と出発したものの、今日に限って獲物が少なく

「隊長~、今日はまだホーンラビット3羽だけですよー?」

「おかしいな・・・いつもはもっと大物狩りが続いて、逆に今日みたいな日を望む声もあったほどなのに・・・」

 それもそのはず、普段の調達隊には、無意識に魔物を引き寄せる体質な隊員がいたからであって、狙っていかなければそうそう大物には出会えないものである。別の隊員が

「隊長!あちらの方角になにやら気配が!土煙や鳥も舞ってるようです。もしかしたら」

「何!それは手柄だぞ!よし行くぞお前ら!あいつを仕留めて凱旋だ!」

「「「ぉお~!」」」



「に、に、にげろぉぉぉぉ!ツインヘッドベアーだぁぁぁぁ」

 そこには身の丈3Mはあろう頭が二つあるクマが仁王立ちしていた。ツインヘッドベアー。見たまんまの名称だが、その食欲は旺盛で、頭が二つあれば脳も二つあり、行動管理はどうなってるんだ!ってツッコミが入るほどだが、脳が2つということは満腹中枢も・・・つまり、常に食べ過ぎ状態に陥り、その身体を益々増大化していくデススパイラルに陥っているのだ。良い意味なのか悪い結果なのかは、誰にもわからないが、この辺りでは最大級の脅威であることには間違がない。因みに通常の調達隊でも逃げるほどの脅威だ。

「お前ら逃げろ!」←それダメ

「俺がひきつけてる間に逃げろ!」←それもダメ

 クマに背を向けて奪取している隊員たちに向かって大声で

「クマの対処法なら元の世界で嫌というほど添わったからな!」←ダメだって・・・

「ここでまさかこのスキルが役に立つとはな・・・『死んだふり』!」←え?まじ?



 注)諸説ありますが、基本”死んだふり”はクマに対して有効ではありません。
   
   大声をあげてはいけません。
    刺激されて驚き、襲い掛かってきます。
   背中を向けて逃げると追いかけてきます。
    対峙したまま相手の目を見てゆっくりと後退りしましょう。
   死んだふりはやめましょう。
    逆に興味をもって触れてきます。
    その恐怖は目を閉じていても感じてしまうので、結局動いてしまいます。
   そもそもの大前提としてここは”異世界”です。

「なんで?なんで寄ってくるんだよ!じーさんはこれで何度も助かったって!」

 (じーさんの法螺話である。孫に良い顔したくて出ていた話で、ば~さんはそれを知ってたので、夫婦仲は悪かったのである)

「でも解除すれば食われる・・・イテェ!コイツ噛みやがった!
 なんでだよ!なんでだよ!」


 しかし彼の功績は大きかった。身を挺して喰われる事で部下たちの逃げる時間を稼ぎ、討伐隊を編成し、今後につながる被害を彼一人で食い止めたのである。二階級特進であるが、その褒章を受け取る家族はいなかった。彼女も・・・




 




しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

魔法のせいだからって許せるわけがない

ユウユウ
ファンタジー
 私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。  すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

(完結)足手まといだと言われパーティーをクビになった補助魔法師だけど、足手まといになった覚えは無い!

ちゃむふー
ファンタジー
今までこのパーティーで上手くやってきたと思っていた。 なのに突然のパーティークビ宣言!! 確かに俺は直接の攻撃タイプでは無い。 補助魔法師だ。 俺のお陰で皆の攻撃力防御力回復力は約3倍にはなっていた筈だ。 足手まといだから今日でパーティーはクビ?? そんな理由認められない!!! 俺がいなくなったら攻撃力も防御力も回復力も3分の1になるからな?? 分かってるのか? 俺を追い出した事、絶対後悔するからな!!! ファンタジー初心者です。 温かい目で見てください(*'▽'*) 一万文字以下の短編の予定です!

家族に無能と追放された冒険者、実は街に出たら【万能チート】すぎた、理由は家族がチート集団だったから

ハーーナ殿下
ファンタジー
 冒険者を夢見る少年ハリトは、幼い時から『無能』と言われながら厳しい家族に鍛えられてきた。無能な自分は、このままではダメになってしまう。一人前の冒険者なるために、思い切って家出。辺境の都市国家に向かう。  だが少年は自覚していなかった。家族は【天才魔道具士】の父、【聖女】の母、【剣聖】の姉、【大魔導士】の兄、【元勇者】の祖父、【元魔王】の祖母で、自分が彼らの万能の才能を受け継いでいたことを。  これは自分が無能だと勘違いしていた少年が、滅亡寸前の小国を冒険者として助け、今までの努力が実り、市民や冒険者仲間、騎士、大商人や貴族、王女たちに認められ、大活躍していく逆転劇である。

転生したらチートでした

ユナネコ
ファンタジー
通り魔に刺されそうになっていた親友を助けたら死んじゃってまさかの転生!?物語だけの話だと思ってたけど、まさかほんとにあるなんて!よし、第二の人生楽しむぞー!!

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです

かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。 強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。 これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

アラヒフおばさんのゆるゆる異世界生活

ゼウママ
ファンタジー
50歳目前、突然異世界生活が始まる事に。原因は良く聞く神様のミス。私の身にこんな事が起こるなんて…。 「ごめんなさい!もう戻る事も出来ないから、この世界で楽しく過ごして下さい。」と、言われたのでゆっくり生活をする事にした。 現役看護婦の私のゆっくりとしたどたばた異世界生活が始まった。 ゆっくり更新です。はじめての投稿です。 誤字、脱字等有りましたらご指摘下さい。

処理中です...